鎮懐石八幡宮

出典：安藤希章著『神殿大観』（2011-） 最終更新：2011年5月24日 (火)

鎮懐石八幡宮は鎮懐石を祀る八幡宮。「子負原八幡宮」とも称す。祭神は「神功皇后、応神天皇、武内宿祢」である（現地解説板）。

『古事記』『日本書紀』によると、新羅出兵のとき、神功皇后が応神天皇の出産を延期させるために腰に石を巻いた。凱旋後、この伊斗（怡土郡）の地に奉安したという。『万葉集』にも、筑前国怡土郡深江の子負原というところの、海に臨む丘の上に二つの石があり、これが神功皇后が用いた鎮懐の石だと記している。『万葉集』に基づき、この石を鎮懐石という（あるいは月延石ともいう）。卵のような形の大小の石が二つあったという。『筑前風土記』および『筑紫風土記』にも記述がある。江戸時代、鎮懐石は寛永年間ごろに盗難にあってしまったという。しかし、のちに深江村にて奇瑞を起こす石が発見されたために、これが鎮懐石であろうということになった。よって、1685年(貞享2年)、深江村津ノ上に八幡宮が創建され、この石が奉安された。この石は横7寸、高6寸、径5寸という。1936年(昭和11年)、萩ノ原の現在地に遷座した。鎮懐石碑や九州最古の万葉歌碑がある。村社。（『筑前国続風土記』、神社由緒書、『福岡県神社誌』）