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倭姫宮

出典:安藤希章著『神殿大観』(2011-) 最終更新:2022年12月19日 (月)

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倭姫宮
やまとひめ の みや
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概要
奉斎 倭姫命
所在地 三重県伊勢市楠部町
格式など 伊勢神宮皇大神宮別宮
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目次

概要

倭姫宮は倭姫命を祀る神社である。伊勢神宮の別宮となっている。

奉斎

  • 倭姫命

歴史

創建前

『倭姫命世記』によると、雄略天皇23年2月、尾上山峰に退いて、「石隠」したとある。これが死去に関する唯一の記事である。平安時代後期の1082年(永保2年)の奥書のある『岩窟本縁』に「尾部御陵」として倭姫命の墓について記述がある。これは現在の宇治山田陵墓参考地である。近世までは常明寺の境内であった場所であった。一方、室町時代に書かれた度会家行の『類聚神祇本源』では、「尾上社」を倭姫社と仮定している。この「尾上社」が常明寺の辺りにあったという推定から、江戸時代前期の1673年(延宝1年)10月14日、宮司大中臣精長(1663年(寛文3年)の伊勢神宮諸摂社復興に尽力)が常明寺門外に倭姫命を祀る神社を創建した。これには宮崎文庫(現・神宮文庫)を創設した出口延佳や与村弘正も関与したらしい。しかし、この神社は旧地ではないということで破却された。ところが、その後、しばしば神異が起こるということで地元の者が小祠を建てて尾上社と称え、祀っていた。この神社は、明治になり無格社となったが1909年(明治42年)3月11日に県社箕曲中松原神社に合祀された。

また常明寺境内にあった神落萱神社にも倭姫命を祀るという伝承があった。この神社は村社であったが、同じく1909年(明治42年)3月11日に県社箕曲中松原神社に合祀された。ただ、その後も復祀したのか、常明寺跡地に現存している。

倭姫宮の創建

1886年(明治19年)、伊勢神宮周辺の景観を整備するために神苑会が設立された。その設立趣旨のなかに倭姫を祀る神社の創建が含まれていた。1887年(明治20年)、宮司鹿島則文が倭姫を祀る神社の創建を政府に請願している。このとき鹿島は、その神社を別宮とすることを提案しているのは興味深い。ただし、その鎮座候補地は斎宮跡であった。これを受けて、社寺局長の調査があったがそれ以上の動きはなかった。

1889年(明治22年)11月、御巫清直が『尾部御陵紀源』を記して倭姫の陵墓について考証している(『倭姫命陵墓考』という著書もある。)。1896年(明治29年)11月、伊勢国史学会が『倭姫命石隠考』を編纂して、いつか社殿の建立を願うと述べた。1901年(明治34年)3月、大宮司冷泉為紀、政府に請願して別宮として神社創建を乞うた。このときの提案には名称を「倭比売宮」とし、鎮座地として、斎宮跡、離宮跡、神宮近くの三つを挙げ、神宮近くを最適としていた。しかし、この請願も実現しなかった。

大正年間に入り、運動が本格化する。 1915年(大正4年)2月、宇治山田市議会が神社創建を決議して、宮内省と内務省に官幣社創建を請願した。4月には同市に倭姫命奉祀期成会が結成されて市長が会長となった。5月には市長が第36帝国議会に「倭姫命奉祀に関する請願」を提出。6月には両院で満場一致で可決された。

1918年(大正7年)3月、第44帝国議会で「倭姫命奉祀に関する建議書」が提出された。6月には神社局長は伊勢神宮摂社として創建する案を示し、神宮大宮司に諮問した。大宮司三室戸和光は、別宮とする答申を出した。

1919年(大正8年)1月、神社局長は神宮司庁に計画書を示し、別宮とすることが内定したことを伝えた。2月には神宮司庁から調査の答申がなされた。

1920年(大正9年)7月、第43帝国議会にて追加予算が可決され、神宮別宮創建費として40万6658円(4カ年総額)が認められた。

1920年(大正9年)12月、神社創建が上奏されて裁可された。 1921年(大正10年)1月4日、皇大神宮別宮「倭姫宮」の創建が告示された。

同年3月31日、鎮地祭が行われ、造営が開始された。5月には内務省から大宮司に、皇室よりの御霊代の奉納の旨が伝えられた。1923年(大正12年)11月5日鎮座祭が執行された。

なお、この倭姫宮の創建運動には、すめら教の教祖鬼倉足日公が関与していたという。

構成

参考文献

  • 『宇治山田市史』
http://shinden.boo.jp/wiki/%E5%80%AD%E5%A7%AB%E5%AE%AE」より作成

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