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別表神社

出典:安藤希章著『神殿大観』(2011-) 最終更新:2023年1月27日 (金)

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別表神社(べっぴょう・じんじゃ)は、神社本庁が「役職員進退に関する規程」第5条および同規程別表で、宮司・権宮司の任命・任用上の特例を認める神社。「別表に掲げる神社」。本庁所属の旧官国幣社および戦後に台頭した神社が加列されている。事実上、由緒・経済規模などにおいて有力神社の格式となっている。伊勢神宮(正式には「神宮」)は特別扱いで含まれない。また当然、本庁に所属しない単立神社には関係のない制度である。現在、約350社あるが、全神社数の1%にも満たない。本宗勅祭社とともに現行の神社制度の一つである。別表神社以外の一般の神社は戦前の呼称を引き継ぎ、「諸社」と呼ばれることがある。

目次

概要

公的には「別表に掲げることは、事務取扱上の区別をしたに止まり、何等社格的意味はない」(昭和28年5月30日付通達第5号)とするが、事実上、有力神社としての格式の意味合いを持っていると推測される。所属する旧官国幣社を全て含む一方、戦後、新たに加列した神社において、大々的に加列を祝賀・記念していることはその論拠の一つである。本来、「誤用」であるが、戦後加列の神社の公式文書において、官国幣社に擬えて「別表神社に昇格」という表現がみられることがあり、神社界の別表神社に対する認識を反映していると言える。

昭和23年に制定。当初は旧官国幣社のみが一覧に掲載された。ついで昭和26年7月9日付の「別表に掲げる神社選定に関する件」(通達第4号、平成7年12月改正)が出され、一定の基準を満たせば、旧官国幣社以外でも認められる道が開いた。神社庁で予選の上、統理が本庁の審査会に諮問して内定する。選定基準は、「予選は概ね左の資料を基礎として綜合的に考察する」とし、1由緒、2社殿、境内地等の宗教施設の状況、3常勤神職の数、4最近三年間の経済状況、5神社の活動状況、6氏子崇敬者の概数、その分布等崇敬状況を挙げている。

主な待遇は次の通り。

  • 一般神社の職員進退は神社庁長の権限だが、別表神社については、宮司・権宮司の進退について、その管轄から除かれる
  • 一般神社には認められない権宮司の設置が認められる。ただし、「全体的均衡を考慮する関係上、その承認は極めて困難である」(昭和28年通達第5号)としている。
  • 宮司、権宮司は明階以上、禰宜・権禰宜は正階以上の階位が必要。

一覧

別表神社一覧

別表神社を除列された神社

神社本庁を離脱した旧別表神社

  • 出雲大神宮:京都府亀岡市。1953年(昭和28年)5月29日削除(『神社本庁十年史』)。
  • 賀茂御祖神社):官幣大社。京都府京都市左京区。1960年(昭和35年)1月12日単立。1964年(昭和39年)12月頃、復帰。
  • 日光東照宮:別格官幣社。栃木県日光市。1985年(昭和60年)に離脱。
  • 山辺神社:島根県江津市。1976年(昭和51年)7月1日別表神社加列。1998年(平成10年)7月29日に離脱。1999年(平成11年)7月1日、「山辺神社」を別表から削除(年誌)。
  • 京都霊山護国神社:京都府京都市東山区。1975年(昭和50年)8月27日神社本庁に所属。1976年(昭和51年)7月1日別表神社加列。2002年(平成14年)12月離脱。2002年(平成14年)7月1日、別表神社削除。
  • 明治神宮):官幣大社。東京都渋谷区。2004年(平成16年)8月2日、都知事が神社本庁離脱を認証。同年10月9日、別表から削除(年誌)。2010年(平成22年)に復帰(『週刊ダイヤモンド』通巻4386号105頁)。同年10月5日、別表神社に再度加列(年誌)。
  • 気多大社:石川県羽咋市。2010年(平成22年)に離脱(『週刊ダイヤモンド』通巻4386号105頁)。同年10月5日、別表神社から削除(年誌)。
  • 梨木神社:別格官幣社。京都府京都市上京区。2013年(平成25年)?に離脱。
  • 富岡八幡宮:東京都江東区富岡。1957年(昭和32年)7月1日別表神社加列。2017年(平成29年)9月離脱。
  • 建勲神社:別格官幣社。2019年(令和1年)離脱。
  • 金刀比羅宮:2020年(令和2年)10月離脱。

旧官社で別表神社ではない神社

当初から神社本庁に所属しなかったとみられる単立神社。未確認のものもある。

年表

  • 1952年(昭和27年):神社本庁新庁規発効と共に旧官国幣社190社指定。
  • 1952年(昭和27年)5月27日:評議員会を経て東京大神宮以下8社追加。
  • 1953年(昭和28年)5月29日:評議員会を経て伊勢山皇大神宮以下29社追加。また出雲神社(出雲大神宮)を削除。
  • 1956年(昭和31年):『神社本庁十年史』には旧官国幣社197社(丹生川上神社3社、諏訪大社4社、出羽三山3社、静岡浅間神社3社と数えた)と旧諸社など40社掲載。
  • 1961年(昭和36年):『神社本庁十五年史』には旧官国幣社195社(下鴨神社と備後吉備津神社なし。丹生川上神社3社、諏訪大社4社、出羽三山3社、静岡浅間神社3社と数えた)、旧諸社など72社(北海道護国神社なし)掲載。

参考文献

  • 國學院大學日本文化研究所編『神道辞典』弘文堂
  • 『神社本庁規程類集』
http://shinden.boo.jp/wiki/%E5%88%A5%E8%A1%A8%E7%A5%9E%E7%A4%BE」より作成

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