日什旧跡

出典：安藤希章著『神殿大観』（2011-） 最終更新：2020年7月5日 (日)

妙満寺の日什墓

日什（にちじゅう）（1314-1392）は日蓮宗の僧侶。日什門流の開祖。会津出身。妙満寺を創建。玄妙阿闍梨。 日什大正師。

一覧

• 会津
  • 一箕八幡神社：生誕地。福島県会津若松市一箕町八幡にある。生誕地碑、産清水がある。
  • 会津・妙法寺：逝去の地。顕本法華宗別格山。福島県会津若松市。1391年(元中8年/明徳2年)、帰郷した日什が葦名家の庇護を受けて創建。
  • 会津・妙国寺：墓所。日蓮宗久遠寺派本山・由緒寺院。福島県会津若松市一箕町八幡。会津妙国寺。
  • 会津・東光寺：住職を務めた出羽三山信仰の天台宗寺院。福島県会津若松市。明治の神仏分離で廃絶。会津・羽黒山神社。
  • 会津・実成寺：1380年(天授6年/康暦2年)に日蓮に私淑した直後、最初に訪問した日蓮宗の寺院。福島県会津若松市。日蓮正宗。
• 京都
  • 妙満寺：顕本法華宗総本山。1383年(弘和3年/永徳3年)、室町六条坊門西側に構えた草庵が起源。現在は京都府京都市左京区岩倉にある。
  • 比叡山上智院：天台宗僧侶として修行した寺院。慈遍に師事したという。
• 関東
  • 下総・弘法寺：日什が1380年(天授6年/康暦2年)に日蓮宗に正式に入門した寺院。日宗に師事。千葉県市川市。真間弘法寺。日蓮宗久遠寺派の本山・由緒寺院。
  • 品川・本光寺：東京都品川区。単立。元触頭。1385年(元中2年/至徳2年)に日什が創建。
  • 鎌倉・本興寺：日蓮宗久遠寺派寺院。神奈川県鎌倉市。1382年(弘和2年/永徳2年)春に日什が創建。
    • 飯田・本興寺：日蓮宗久遠寺派本山・由緒寺院。神奈川県横浜市泉区。鎌倉本興寺が不受不施派禁制で破却された後、飯田に再建（鎌倉にも再建）。
  • 上総・本立寺：千葉県木更津市にある日蓮宗寺院。1386年(元中3年/至徳3年)に日什が創建。顕本法華宗由緒寺院。舟目本立寺。
• 遠江
  • 遠江・玄妙寺：静岡県磐田市にある日蓮宗久遠寺派本山・由緒寺院。1385年(元中2年/至徳2年)、日什と日宗の会話を聴いて帰依した宿屋の主人の外護で創建。見付玄妙寺。
  • 遠江・妙立寺：日蓮宗久遠寺派本山・由緒寺院。1386年(元中3年/至徳3年)に日什創建。吉美妙立寺。静岡県湖西市。
  • 光長寺：1391年(元中8年/明徳2年)9月8日に滞在。
• 身延周辺
  • 身延山：1381年(弘和1年/永徳1年)7月19日に参詣
  • 妙松寺：静岡県富士市。1381年(弘和1年/永徳1年)7月20日に布教した旧跡に建てられた寺院。顕本法華宗。
• お隠れの岩：

年譜

• 1314年(正和3年)4月28日：会津で誕生。幼名は玉千代丸。父は石堂覚知、母は清玉姫（葦名盛宗の娘）。
• 19歳、比叡山横川の上智院の慈遍に師事。玄妙と名乗る。
• 58歳、帰郷。母の実家である葦名家の庇護を受け、会津・東光寺住職となる。
• 1380年(天授6年/康暦2年)：日蓮の著作を読み、私淑。日什と名乗る。
• 1380年(天授6年/康暦2年)：会津・実成寺を訪ねる。
• 1380年(天授6年/康暦2年)：東光寺を出奔。下総の弘法寺に至り、日宗に師事。
• 1381年(弘和1年/永徳1年)4月：下総をたち、27日に京都到着。
• 1381年(弘和1年/永徳1年)6月22日：関白二条良基に対面。諸宗削除を求め、比叡山との宗論開催を訴える。
• 1381年(弘和1年/永徳1年)7月6日：後円融上皇から洛中弘法の綸旨、二位僧都。
• 1381年(弘和1年/永徳1年)7月19日：身延山に参詣。
• 1381年(弘和1年/永徳1年)7月20日：松野で布教。妙松寺。
• 1381年(弘和1年/永徳1年)7月27日：弘法寺に帰還。
• 1382年(弘和2年/永徳2年)春：鎌倉布教。管領足利氏満に面会。宗論開催を訴える。鎌倉に本興寺を創建。
• 1382年(弘和2年/永徳2年)：上洛して関白二条良基に面会。
• 1383年(弘和3年/永徳3年)：室町六条坊門西側に草庵を構えた（後の妙満寺）。二条関白を折伏。
• 1384年(元中1年/至徳1年)：細川管領に訴える。
• 1385年(元中2年/至徳2年)：遠江国に下り、今川守護に布教。
• 1385年(元中2年/至徳2年)：遠江府中（磐田）で日宗と再会。二人の会話を聴いた宿の主人が帰依し、その外護で玄妙寺を創建。
• 1385年(元中2年/至徳2年)：品川・本光寺を創建。
• 1386年(元中3年/至徳3年)：吉美妙立寺創建。舟目本立寺創建。
• 1387年(元中4年/嘉慶1年)：京都妙顕寺が比叡山に破却され、日セイが小浜に逃れると、弟子を派遣して慰問。
• 1387年(元中4年/嘉慶1年)11月27日：高弟の玄妙寺日妙が死去。
• 1388年(元中5年/嘉慶2年)：宗内に京都布教の復興を訴えるが聞き入れられず。
• 1388年(元中5年/嘉慶2年)8月21日：日妙の一周忌。日蓮に直接帰依すると述べ事実上の独立宣言。
• 1388年(元中5年/嘉慶2年)：京都に向かう途中、尾張で将軍足利義満の下向に遭遇し、直訴しようとするが、果たせず。
• 1389年(元中6年/康応1年)：京都の室町六条坊門の草庵を妙満寺と名付ける。
• 1390年(元中7年/明徳1年)：上洛してきた遠江守護今川金吾に布教。諸宗削除の訴えは拒否。
• 1391年(元中8年/明徳2年)3月7日：等持寺参詣の将軍義満に直訴。『立正安国論』を献上。
• 1391年(元中8年/明徳2年)7月25日：京都布教を諦め、故郷に向けて出発。
• 1391年(元中8年/明徳2年)8月3日：妙立寺滞在。
• 1391年(元中8年/明徳2年)：玄妙寺滞在。
• 1391年(元中8年/明徳2年)9月8日：岡宮光長寺滞在。
• 1391年(元中8年/明徳2年)10月9日：会津到着。日出山氏に迎えられる。葦名家の外護を受け会津・妙法寺を創建。
• 1392年(元中9年/明徳3年)1月15日：父母の三十三回忌法要を執行。
• 1392年(元中9年/明徳3年)1月20日：遺言（「日什跡の事」（一旨三通の置文））を記し、妙法寺、玄妙寺、妙満寺に送る。
• 1392年(元中9年/明徳3年)2月28日：妙法寺で死去。

参考文献

• 『日本仏教基礎講座』