ようこそ『神殿大観』へ。ただいま試験運用中です。

神於寺

出典:安藤希章著『神殿大観』(2011-) 最終更新:2018年8月25日 (土)

移動: 案内, 検索

神於寺(こうのじ)は、大阪府岸和田市神於町(和泉国南郡)の神於山にある天台宗寺院。本尊は大日如来。古くは千手観音が本尊だった。葛城山系に近く修験道の霊場として発展した。当山派正大先達の一つ。鎮守は宝勝権現社。山号は布引山。

目次

歴史

神於山は和泉葛城山から少し北に離れたところにある標高296.4mの独立峰。いわゆる神体山として信仰されていたとみられる。 『神於寺縁起絵巻』によると役小角は葛城山からこの山に通って修行していたところ、地主神が出現し、霊山を興隆させるように託宣を下した。さらに683年(天武12年)、新羅から飛来した雷神(宝勝化人)を祀り、神於寺としたという。その後、774年(宝亀5年)、百済僧の光忍が弥勒菩薩を祀って再建。光忍は775年(宝亀6年)7月14日に死去したという。833年(天長10年)に空海が訪れたという伝説がある。『日本霊異記』に登場する尽恵寺を神於寺に比定する説もある。中世には隆盛して多くの伽藍・霊場があったとみられ、それを裏付けるように鎌倉時代以降の瓦や陶器の断片が各所で見つかっている。宝勝権現には「正四位」の神階が奉られ、その銘額のある鳥居を参道入り口に立てていたという。『和泉国神名帳』にある「神於社」「神於如法社」は神於寺にあったとみられるが宝勝権現と関係がある可能性がある。毎年10月の祭礼には国内四郡が交代で奉仕しており、和泉国を代表する寺院の一つとされていたらしい。1350年(正平5年/観応1年)には寺に立てこもった南朝軍を北朝方の畠山国清が攻めた。1484年(文明16年)、粉河寺の僧兵が根来寺の支援を受け、和泉国に進軍。神於寺を焼き討ちにした。1502年(文亀2年)には神於寺と根来寺が共同で兵を動かしている。永禄年間、三好氏と戦う根来寺を支援して秬谷の根福寺に兵を駐屯。1585年(天正13年)の豊臣秀吉の根来攻めで、神於寺も焼かれた。江戸時代、岸和田藩の支援で復興するがかつての寺観を復するには至らなかった。

(『日本歴史地名大系』、「岸和田のむかし話2 神於寺縁起絵巻」[1]

伽藍

  • 本堂:廃絶。千手観音は大日堂に遷座。
  • 大日堂:現存。大日如来を祀る。旧本堂本尊の千手観音も祀る。
  • 不動堂:現存。不動明王。旧行者堂の役小角も祀る。
  • 行者堂:廃絶。役小角を祀る。
  • 地蔵堂:現存。
  • 釈迦堂:現存。
  • 御膳所:現存。
  • 宝勝権現社:宝勝化人は新羅の神人。役小角が勧請。五社権現とも呼ばれた。
  • 光忍墓:現存。千年忌に際し、1773年(安永2年)建立の「光忍上人御廟」碑がある。

子院

  • 五大院:中世にあった。
  • 奥之坊:中世にあった。
  • 三蔵院:1786年(天明6年)頃に廃絶。その後復興したらしく天保年間に存在。
  • 高室院:1786年(天明6年)頃には廃絶。
  • 真蔵院:1786年(天明6年)頃には廃絶。
  • 万福院:1786年(天明6年)頃には廃絶。
  • 円蔵院:1786年(天明6年)頃には廃絶。
  • 福智院:1786年(天明6年)頃には存在。天保年間にも記録にみえ、現在も唯一現存する子院。
  • 中性院:1786年(天明6年)頃には存在。天保年間に存在。
  • 正蔵院:1786年(天明6年)頃には存在。
  • 正明院:1786年(天明6年)頃には存在。
  • 宝寿院:1786年(天明6年)頃には存在。
  • 福蔵院:1786年(天明6年)頃には存在。
  • 谷室院:1786年(天明6年)頃には存在。
  • 竹園院:1786年(天明6年)頃には存在。天保年間に存在。
  • 普賢院:1786年(天明6年)頃には存在。
  • 吉祥院:1786年(天明6年)頃には存在。天保年間に存在。

資料

  • 『神於寺縁起絵巻』:中世の縁起絵巻。完本はなく、断簡が国内外に散逸して現存する。『光忍上人絵伝』とも。断簡を所蔵するのは和泉市久保惣記念美術館[2]、頴川美術館、オレゴン大学付属美術館[3]、バーク財団[4][5]、ロサンゼルスカウンティ美術館?、出光美術館、ドラッカーコレクション、ハーバード美術館[6][7]、ネルソンアトキンス美術館[8][9]、メトロポリタン美術館[10]、フリーア美術館[11]、フィラデルフィア美術館[12][13]など。神於寺に模本として江戸時代の「快恵本」(1666年(寛文6年)書写。詞書のみ)、明治時代の「絵巻模本」、「明治本」(詞書のみ)がある。
http://shinden.boo.jp/wiki/%E7%A5%9E%E6%96%BC%E5%AF%BA」より作成

注意事項

  • 免責事項:充分に注意を払って製作しておりますが、本サイトを利用・閲覧した結果についていかなる責任も負いません。
  • 社寺教会などを訪れるときは、自らの思想信条と異なる場合であっても、宗教的尊厳に理解を示し、立入・撮影などは現地の指示に従ってください。
  • 当サイトの著作権は全て安藤希章にあります。無断転載をお断りいたします(いうまでもなく引用は自由です。その場合は出典を明記してください。)。提供されたコンテンツの著作権は各提供者にあります。
  • 個人用ツール