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諸国安国寺
出典:安藤希章著『神殿大観』(2011-) 最終更新:2026年7月4日 (土)
安国寺(あんこくじ)は、中世に室町幕府が各国に定めた官寺制度。利生塔も同時に設定した。国分寺を模した制度である。
一覧
- ●は候補。
| 国名 | 寺院名 | 所在地 | 宗派 | 寺格 | 概要 |
|---|---|---|---|---|---|
| 陸奥 | 陸奥安国寺 | 宮城県大崎市柏崎(陸奥国志田郡) | 臨済宗妙心寺派 | ーー | 本尊は阿弥陀如来。1339年の創建。開山は夢窓疎石。奥州探題として200年以上一帯を支配した大崎氏の居城名生館に近い。元は天龍寺末だが一時曹洞宗となり、臨済宗妙心寺派。1626年、伊達忠宗が復興し、近世は松島瑞巌寺が兼務。興聖山。 |
| 東昌寺 | 福島県伊達郡桑折町万正寺(陸奥国伊達郡) | 臨済宗東福寺派 | 諸山 | 元は福島県伊達郡桑折町万正寺(陸奥国伊達郡)にあった。弘安年間(1279-1288)の創建。開山は山叟彗雲、開基は伊達政依。伊達五山の筆頭とされた。のち、足利尊氏が陸奥安国寺に指定したという。伊達氏と共に米沢、岩出山、そして仙台(宮城県仙台市青葉区青葉町)に移った。 | |
| 出羽 | 出羽安国寺 | 山形県東村山郡山辺町大寺(出羽国最上郡) | 曹洞宗 | ーー | 本尊は釈迦如来(像容は阿弥陀如来)。天台宗の大寺院を臨済宗に改めて安国寺としたともいう。明応年間(1492-1501)までに向川寺の石菴良〓によって曹洞宗に改められた。 |
| 常陸 | 常陸安国寺 | 茨城県笠間市上郷。常陸国茨城郡。 | 曹洞宗 | ーー | |
| 下野 | 下野安国寺 | 栃木県下野市薬師寺。下野国河内郡。 | 真言宗智山派 | 三戒壇 | 古代の下野薬師寺が1339年、下野国の安国寺に指定された。 |
| 上野 | 上野安国寺 | 群馬県高崎市通町 | 浄土宗 | ||
| 下総 | 下総安国寺 | 茨城県古河市 | 廃絶 | ||
| 上総 | 上総安国寺 | 千葉県富津市亀田 | 浄土宗 | ||
| 安房 | 安房安国寺 | 千葉県鴨川市北風原 | 曹洞宗 | 諸山 | |
| 武蔵 | 武蔵・高安寺 | 東京都府中市片町 | 曹洞宗 | 武蔵国多摩郡。藤原秀郷の館跡という。元は臨済宗。現在は曹洞宗。 | |
| 武蔵越谷・安国寺 | 埼玉県越谷市大泊 | 浄土宗 | |||
| 相模 | 相模安国寺 | 神奈川県鎌倉市山ノ内 | 長寿寺の向い側にあった。廃絶。 | ||
| 伊豆 | ●伊豆国清寺 | 静岡県伊豆の国市奈古谷 | 臨済宗円覚寺派 | ||
| 駿河 | 承元寺 | 静岡県静岡市清水区承元寺町 | 臨済宗妙心寺派 | 諸山 | |
| 遠江 | 貞永寺 | 静岡県挂川市大坂 | 臨済宗妙心寺派 | 諸山 | |
| 甲斐 | 甲斐安国寺 | 山梨県甲府市心経寺 | 曹洞宗 | 本尊は釈迦如来。元は臨済宗だったが、曹洞宗。 | |
| 三河 | 三河安国寺 | 愛知県額田郡幸田町坂崎 | 曹洞宗 | ||
| 尾張 | (尾張安国寺) | ーー | ーー | ーー | 尾張安国寺が存在したのかどうかも含めて不明。近年、玄猷寺(愛知県東海市)に当てる伝承が発生したようだ。 |
| 美濃 | 美濃安国寺 | 岐阜県揖斐郡池田町小寺(美濃国池田郡) | 臨済宗妙心寺派 | 諸山 | 開山は此山妙在。 |
| 飛騨 | 飛騨安国寺 | 岐阜県高山市国府町西門前 | 臨済宗妙心寺派 | 十刹 | 本尊釈迦如来。開山は瑞巌。臨済宗妙心寺派。十刹。 |
| 信濃 | 信濃安国寺 | 長野県茅野市宮川安国寺 | 臨済宗妙心寺派 | 諸山 | 信濃国諏訪郡。諏訪大社関連旧跡 |
| 越後 | 越後安国寺 | 新潟県上越市西本町 | 廃絶。遺構は確認されていない。 | ||
| 佐渡 | 佐渡安国寺 | 新潟県佐渡市畑野町下畑(佐渡国雑太郡) | 浄土宗 | ーー | ストリートビュー(2024年5月)では更地になっているが、2026年7月現在、法人格はある。 |
| 越中 | ●越中・興国寺 | 富山県富山市布市(越中国婦負郡) | 臨済宗国泰寺派 | 興国寺の近くに小字「安国寺割」があり、興国寺が安国寺か、あるいは隣接地に安国寺があったという見解がある。 | |
| ●国泰寺 | 富山県高岡市太田 | 臨済宗国泰寺派 | 国泰寺派の本山。1364年の『清泉妙意禅師行録』に、1339年に光明天皇が勅で国泰寺を越中安国寺とした記述があるが、同書は近世の偽作という説がある。境内に利生塔再興。 | ||
| 能登 | 能登安国寺 | 石川県七尾市(能登国鹿島郡) | 跡地不明。七尾城下にあったと記録される。廃絶。 | ||
| 加賀 | 加賀安国寺 | 加賀国能美郡 | 諸山 | 寺名は崇聖寺。 | |
| 越前 | 長楽寺 | 不詳 | ーー | ーー | 1362年8月17日、足利義詮御教書で越前安国寺を長楽寺から永徳寺に改定。 |
| 永徳寺 | 不詳 | ーー | ーー | 1362年8月17日、足利義詮御教書で越前安国寺を長楽寺から永徳寺に改定。 | |
| 日円寺 | 福井県越前市別印町(越前国今立郡) | ーー | 諸山 | 廃絶。開山は南禅寺11世・永保寺開山の元翁本元(1282-1332)。 越前安国寺とするのは『扶桑五山記』の記載に基づくが、日円寺は利生塔であり、これを誤記とする説もある。 | |
| 若狭 | 若狭安国寺 | 福井県小浜市青井 | 臨済宗南禅寺派 | 諸山 | 寺名は高成寺。 |
| 伊勢 | 伊勢安国寺 | 三重県四日市市西日野町。伊勢国三重郡。 | 臨済宗妙心寺派 | 諸山 | 虎関師錬(1278-1346)が1339年に神賛寺として創建。のち安国寺と称した。天正年間に清須に移転してさらに名古屋に移転し、名古屋・総見寺となる。 |
| 志摩 | 志摩安国寺 | 三重県志摩市沓掛 | 曹洞宗 | ||
| 伊賀 | 伊賀安国寺 | 三重県伊賀市三田沢 | 諸山 | 元は平等寺と称した。開山は息庵知止(東福寺円爾弁円の孫弟子)。廃絶。 | |
| 紀伊 | (紀伊安国寺) | 和歌山県紀の川市久留壁(紀伊国那賀郡) | 真言宗東寺派 | 紀伊安国寺が存在したのかどうかも含めて不明。紀の川市に地蔵菩薩を祀る小堂が残る。極楽寺と合併。 | |
| 大和 | (大和安国寺) | ーー | ーー | ーー | 大和安国寺が存在したのかどうかも含めて不明。 |
| 近江 | 近江・金剛寺 | 滋賀県近江八幡市金剛寺町。近江国蒲生郡 | ーー | 諸山 | 『扶桑五山記』に「州之安国寺也」とある。 |
| 安国寺 | 滋賀県草津市芦浦町。近江国栗太郡。 | 天台宗 | ーー | 芦浦観音寺のそばに安国寺という名の小堂がある。 | |
| 山城 | 山城安国寺 | 京都府京都市中京区四条大宮 | ーー | 十刹 | 北禅寺が充てられた。廃絶。 |
| 丹波 | 丹波安国寺 | 京都府綾部市安国寺町 | 臨済宗東福寺派 | 十刹 | 元は上杉氏の菩提寺。足利尊氏の生誕地ともいう。丹波国何鹿郡。諸国安国寺の筆頭という。開山は天庵妙受。本尊は釈迦如来。元は光福寺といった。十刹。臨済宗東福寺派。 |
| 丹後 | 丹後安国寺 | 京都府宮津市小松(丹後国与謝郡) | ーー | 諸山 | 廃絶 |
| 河内 | 河内安国寺 | 大阪府大阪市平野区加美正覚寺(河内国渋川郡) | ーー | ーー | 蔭凉軒日録に正覚寺内にあったと記録される。1981『大阪府史』に「河内の安国寺は、八尾市竜華に大覚派の実田元穎を開山として建てられた」とあるが典拠は不明。廃絶。 |
| 和泉 | 和泉安国寺 | 大阪府堺市家原寺町 | 真言宗 | ーー | 家原寺か。 |
| 摂津 | 摂津安国寺 | 大阪府大阪市天王寺区(摂津国東成郡) | ーー | 諸山 | 廃絶。寺名は光雲寺。通称は芝寺。京都南禅寺境外塔頭の光雲寺が後身ともいう。 |
| 淡路 | 淡路安国寺 | 兵庫県南あわじ市八木大久保 | ーー | 諸山 | 開山は大道一以。開基は細川師氏。諸山。廃絶。 |
| 播磨 | 播磨安国寺 | 兵庫県加東市新定(播磨国加東郡) | 臨済宗妙心寺派 | 諸山 | 6代将軍足利義教の首塚がある。 |
| 但馬 | 但馬安国寺 | 兵庫県豊岡市但東町相田(但馬国出石郡) | 臨済宗大徳寺派 | 諸山 | 開山は無本覚心。本尊は釈迦如来。江戸時代に大徳寺末となる。 |
| 美作 | 美作安国寺 | 岡山県津山市小田中 | 臨済宗妙心寺派 | ーー | 現在は本源寺という。津山藩森家の菩提寺。 |
| 備前 | 備前安国寺 | 岡山県岡山市東区鉄(備前国上道郡) | ーー | ーー | 廃絶。近くの医光院が安国寺跡地を管理している。 |
| 備中 | 備中安国寺 | 岡山県高梁市頼久寺 | 臨済宗永源寺派 | ーー | 永源寺開山の寂室元光が創建。現在は頼久寺と称す。 |
| 備後 | 備後安国寺 | 広島県福山市鞆町後地 | 臨済宗妙心寺派 | ーー | 本尊は善光寺如来。開山は心地覚心。元は金宝寺と称す。安国寺恵瓊が兼務して中興。 |
| 安芸 | 安芸安国寺 | 広島県広島市東区牛田新町 | 真言宗別格本山 | 諸山 | 安国寺恵瓊で知られる |
| 周防 | 周防安国寺 | 山口県柳井市伊陸門前(周防国玖珂郡) | 臨済宗天龍寺派 | 諸山 | 寺名は高山寺。 |
| 長門 | 長門安国寺 | 山口県宇部市厚東区棚井上 | 臨済宗南禅寺派 | 諸山 | 現在は東隆寺と称す。 |
| 伯耆 | 伯耆安国寺 | 鳥取県米子市寺町(伯耆国会見郡) | 曹洞宗 | 諸山 | 本尊は釈迦如来。臨済宗だったが、瑞翁玄鋭が再興して曹洞宗。諸山。 |
| 因幡 | 因幡安国寺 | 不詳 | ーー | 諸山 | 所在地不詳。『扶桑五山記』に記載あり。 |
| 出雲 | 出雲安国寺 | 島根県松江市竹矢町 | 臨済宗南禅寺派 | 諸山 | 本尊は薬師如来。元は円通寺と称す。 |
| 石見 | 石見安国寺 | 島根県浜田市上府町 | 臨済宗東福寺派 | 諸山 | 本尊は阿弥陀如来。元は天台宗で福園寺と称す。8月29日、石見国の安国寺となる。 |
| 隠岐 | 隠岐安国寺 | 島根県隠岐郡海士町海士(隠岐国海士郡) | 真言宗 | ーー | |
| 阿波 | 阿波安国寺 | 徳島県鳴門市大麻町萩原 | 臨済宗妙心寺派 | 十刹 | 寺名は補陀寺。後身の光勝院が残る。 |
| 讃岐 | 讃岐安国寺 | 香川県宇多津町長興寺か?讃岐国鵜足郡。 | ーー | ーー | 元は長興寺と称した。開基は細川顕氏。廃絶。 |
| 土佐 | (土佐安国寺) | ーー | ーー | ーー | 土佐安国寺はそもそも存在したのかどうかも含めて不明。最御崎寺とする説もあるが、同寺は土佐国利生塔とみられている。 |
| 伊予 | 伊予安国寺 | 愛媛県東温市則之内(伊予国伊予郡) | 臨済宗妙心寺派 | 諸山 | 本尊は薬師如来・釈迦如来。開山は智覚普明。開基は河野通盛。 |
| 筑前 | 筑前安国寺 | 福岡県嘉麻市下山田(筑前国嘉麻郡』 | 天台宗 | ーー | 本尊は白衣観音と千手観音。元は景福寺と称す。1341年(興国2年/暦応4年)までに安国寺となる。聖福寺宝浄院の末寺だったが、現在は天台宗。 |
| (福岡・安国寺) | 福岡県福岡市中央区天神(筑前国那珂郡) | 曹洞宗 | ーー | 「豊後安国寺」(大分県中津市)が福岡に移転したともいう。 | |
| 筑後 | 筑後安国寺 | 福岡県久留米市山川神代(筑後国御井郡) | 臨済宗南禅寺派 | 諸山 | 本尊は釈迦如来。開山は万法唯一。元は万法寺と称す。中興開山の万法守一が臨済宗とする。1339年(延元4年/暦応2年)安国寺となる。一時は曹洞宗となるが、南禅寺末となる。 |
| 豊前 | 豊前安国寺 | 福岡県福智町上野(豊前国田川郡) | 曹洞宗 | ーー | 現在は興国寺と称す。 |
| 小倉・豊前安国寺 | 福岡県北九州市小倉北区竪町(豊前国企救郡) | 曹洞宗 | ーー | ||
| 豊後 | 豊後安国寺 | 大分県国東市国東町安国寺(豊後国国東郡) | 臨済宗妙心寺派 | ーー | 本尊は釈迦如来。開山は絶海中津。開基は田原氏能。 |
| (安国寺) | 大分県中津市 | ーー | ーー | 福岡市天神に移転 | |
| 日向 | 日向安国寺 | 宮崎県日南市飫肥(日向国那珂郡) | ーー | 諸山 | 本尊は文殊菩薩。開山は嵩山居中。元は郷之原にあった。桂庵玄樹が中興して移転。廃絶。 |
| 肥前 | 肥前安国寺 | 佐賀県神埼市神埼町朝日(肥前国神埼郡) | 黄檗宗 | 諸山 | 本尊は釈迦如来。元は大光寺と称した。開山は嶮崕巧安。黄檗宗。 |
| 肥後 | 熊本・肥後安国寺 | 熊本県熊本市中央区横手(肥後国飽託郡) | 曹洞宗 | ||
| 宇土・肥後安国寺 | 熊本県宇土市花園町佐野(肥後国宇土郡) | 曹洞宗 | 諸山 | 元は佐野寺と称した | |
| 菊池・肥後安国寺 | 熊本県菊池市豊永(肥後国菊池郡) | 天台宗 | 諸山 | ||
| 薩摩 | 薩摩安国寺 | 鹿児島県薩摩川内市中郷町(薩摩国薩摩郡) | ーー | 諸山 | 廃絶。現存寺と隣接学校のあたりが跡地。 |
| 大隅 | 大隅安国寺 | 鹿児島県姶良市加治木町反土(大隅国桑原郡) | 臨済宗相国寺派 | ーー | 本尊は釈迦如来。元は妙心寺末だったが、明治に廃絶。1935年(昭和10年)に再興され臨済宗相国寺派。 |
| 壱岐 | 壱岐安国寺 | 長崎県壱岐市芦辺町深江栄触(壱岐国壱岐郡) | 臨済宗大徳寺派 | 諸山 | 臨済宗大徳寺派。本尊は地蔵菩薩。元は海印寺と称した。開山は無隠元晦。839年(承和6年)、足利尊氏の遺髪が収められている。諸山。博多聖福寺と関係深い。近世初期に南禅寺末から大徳寺末に転じる。平戸藩主松浦家の菩提寺。 |
| 対馬 | 対馬安国寺 | 長崎県対馬市上県町佐護(対馬国上県郡) | ーー | 諸山 | 廃絶。具体的な跡地は不詳。 |