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高皇産霊神信仰
出典:安藤希章著『神殿大観』(2011-) 最終更新:2019年12月9日 (月)
(高御産巣日之神から転送)
高皇産霊神(たかみむすひのかみ)は記紀神話に登場する神。産霊神の一種。造化三神の一神。皇天二祖の一神。高御魂尊。高御魂神。高魂神。高魂命。高御産巣日神。高御産日神。高御産栖日神。高皇霊尊。神王高御魂命。高木神、高木大神とも。中世には高貴大神、高貴神、高貴尊とも呼ばれる。
歴史
『古事記』では天地開闢に際して天之御中主神、神皇産霊神と共に出現したとされるが、『日本書紀』では世界生成にはあまり関わらない。対となる神皇産霊神と異なり、皇統との関係が強いとされる。記紀神話では他の神々への司令役を務めており、書紀では「皇祖」とも呼ばれている。
しかしながら、この神の発祥は壱岐か対馬と思われる。 『日本書紀』顕宗天皇3年2月条では、任那への使者に(壱岐の)月神(壱岐・月読神社)が託宣して「(月神の祖である)高皇産霊は天地鎔造の功績があるから、我(月神)に土地を奉れ」と述べた。よって押見宿禰が祠に仕えたという。これが京都・月読神社の起源という。 同年4月5日条にはやはり任那に遣わされた使者に(対馬の)日神(阿麻〓留神社)が託宣して「(日神の祖である)高皇産霊神に磐余の田を奉れ」と命じたので対馬の下県直に祠をまつらせたとあるが、これは対馬の高御魂神社を大和の磐余の地に分霊したことを示し、目原坐高御魂神社の起源と思われる。壱岐と対馬の神が中央に進出した契機と思われる。この進出には京都月読神社の共通性から考えれば卜部氏の関与も思い起こされる。
高皇産霊神は天皇の身体を守護する宮中八神となり八神殿に祀られ、鎮魂祭の祭神でもある。
眷属神
- 少彦名命:『日本書紀』では高皇産霊尊の御子神。『古事記』では神産巣日神の御子神。
- 栲幡千千姫命:高皇産霊尊の御子神。天忍穂耳命の后神。ニニギの母。
- 思兼神:高皇産霊尊の御子神。
- 太玉命:『古語拾遺』によると高皇産霊尊の御子神。
- 天押日命:子とも5世孫とも。大伴氏の祖。天忍日命。
- 菟狭津彦:孫。宇佐国造の祖。
一覧
- 宇奈多理坐高御魂神社:奈良県奈良市法華寺町。大和国添上郡。官社。村社。
- 目原坐高御魂神社:奈良県橿原市。大和国十市郡。官社。太田市町の天満神社とされる。木原町にあったという説もある。
- 耳成山口神社:奈良県橿原市木原町。大和国十市郡。官社。郷社。
- 飛鳥坐神社:奈良県高市郡明日香村。大和国高市郡。祭神の1柱に高皇産霊命を含む。官社。名神大社。村社。
- 高生神社:奈良県高市郡高取町清水谷。大和国高市郡。国史見在社。村社。
- 高市御県神社:奈良県橿原市。大和国高市郡。官社。祭神は天津彦根命と高皇産霊神。
- 牟佐坐神社:奈良県橿原市見瀬町。大和国高市郡。官社。郷社。
- 久米御県神社:奈良県橿原市久米町。大和国高市郡。官社。村社。
- 高天彦神社:奈良県御所市北窪。大和国葛上郡。官社。村社。高天彦神は高皇産霊神のこととし、葛城家の祖という。
- 水度神社:京都府城陽市寺田。山城国久世郡。官社。府社。
- 羽束師坐高御産日神社:京都府京都市伏見区羽束師志水町。山城国乙訓郡。官社。郷社。祭神は高御産日神・神御産日神。
- 与杼神社:京都府京都市伏見区淀本町。山城国乙訓郡。官社。郷社。
- 陶荒田神社:大阪府堺市中区。和泉国大鳥郡。官社。郷社。祭神は高魂命・剣根命。
- 天照大神高座神社:大阪府八尾市教興寺。河内国高安郡。祭神は天照大神・高皇産霊大神。官社。村社。
- 伴林氏神社:大阪府藤井寺市林。河内国志紀郡。祭神は高皇産霊神・天押日命・道臣命。官社。府社。
- 小岸大神社:三重県鈴鹿市小岐須町。伊勢国鈴鹿郡。官社。村社。椿大神社別宮。
- 伊多波刀神社:愛知県春日井市上田楽町。尾張国春日部郡。官社。県社。
- 尾張・松原神社:愛知県春日井市東山町。尾張国春日部郡。国内神名帳所載神社。郷社。
- 飯室乃神社:静岡県牧之原市細江。遠江国榛原郡。官社「飯津佐和乃神社」。郷社。
- 武蔵・高城神社:埼玉県熊谷市宮町。武蔵国大里郡。官社。県社。
- 近江・高木神社:滋賀県東近江市蒲生岡本。近江国蒲生郡。国史見在社「麻生神」。村社。
- 波久奴神社:滋賀県長浜市高畑町。近江国浅井郡。官社。郷社。
- 近江・草岡神社:滋賀県長浜市余呉町国安。近江国伊香郡。官社。郷社。祭神は高皇産霊神・日子坐王など。
- 美濃・高木神社:岐阜県山県市高木。美濃国山県郡。国内神名帳所載神社。郷社。
- 飛騨・高田神社:岐阜県飛騨市古川町太江。飛騨国荒城郡。官社。郷社。
- 蓼科神社:長野県北佐久郡立科町芦田。信濃国佐久郡。国史見在社。郷社。