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江戸・真福寺
出典:安藤希章著『神殿大観』(2011-)
江戸・真福寺
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[[ファイル:江戸真福寺001.jpg|thumb|500px|]] '''真福寺'''(しんぷくじ)は、東京都港区愛宕にある[[真言宗]]寺院。本尊は[[薬師如来]]。[[真言宗智山派]]別院。近世は、[[江戸・弥勒寺|弥勒寺]]・[[江戸・円福寺|円福寺]]・[[根生院]](当初は[[江戸・護持院|護持院]])とともに[[真言宗新義派]]の[[江戸触頭寺院]](江戸四カ寺)の一つ。[[大覚寺門跡]]の[[院室兼帯寺院]]として'''密持院'''の号を持った。法流の上では醍醐寺三宝院末だった。明治に[[真言宗大教院]]が置かれて以降、宗派の事務所として機能し、東京での真言宗各派の会合の場所ともなり、合同真言宗の宗務所も置かれた。'''愛宕真福寺'''。愛宕下薬師堂。宝光院と号す。山号は摩尼珠山。(参考:同名寺院[[真福寺]]) ==歴史== [[ファイル:江戸名所図会・江戸真福寺001.jpg|thumb|500px|]] [[ファイル:東京名所図会・江戸真福寺001.jpg|thumb|500px|1900年(明治33年)頃]] [[ファイル:大日本寺院総覧・江戸真福寺001.jpg|thumb|500px|説明に「真福寺大師堂」とある(1916『大日本寺院総覧』)]] *1591年(天正19年):青山忠成、下総国匝瑳郡谷辺村の真福寺照海を招いて鉄砲洲に草庵を営む。白魚河岸の真福寺橋があったあたりという。 *1605年(慶長10年):現在地に移転。 *1610年(慶長15年):触頭を命じられたという[https://dl.ndl.go.jp/pid/3450782/1/89]。 *1613年(慶長18年)6月5日:義演、真福寺で弥勒寺宥鑁ら10人に印可を授ける。[https://dl.ndl.go.jp/pid/1917798/1/297 *1662年(寛文2年):大覚寺門跡の院室兼帯寺院「密持院」となる[https://dl.ndl.go.jp/pid/4417814/1/27]。 *1692年(元禄5年)6月10日:将軍徳川綱吉、100石寄進[https://dl.ndl.go.jp/pid/1917798/1/324]。 *1717年(享保2年)12月28日:真福寺あたりから出火し火災[https://dl.ndl.go.jp/pid/3450788/1/96] *1727年(享保12年):類焼[https://dl.ndl.go.jp/pid/2999986/1/29] *1850年(嘉永3年)2月5日:江戸大火。真福寺や円福寺など類焼。[https://dl.ndl.go.jp/pid/1917798/1/367] *1858年(安政5年)3月:オランダ使節クルチウスが真福寺に滞在[https://adeac.jp/minato-city/text-list/d100010/ht101640]。西応寺に公使館を設置するまで。 *1858年(安政5年)7月:ロシア使節プチャーチンが真福寺に滞在[https://adeac.jp/minato-city/text-list/d100010/ht101640]。 *1858年(安政5年)8月:フランス使節グローが真福寺に滞在[https://adeac.jp/minato-city/text-list/d100010/ht101640]。 *1872年(明治5年)4月25日:教部省会議への方針を決めるために智積院・長谷寺の両派が真福寺教性院で会合を開く[https://dl.ndl.go.jp/pid/1192194/1/129]。 *1875年(明治8年)4月:新義古義合同の真言宗大教院を真福寺に設置。[https://dl.ndl.go.jp/pid/1917798/1/375] *1879年(明治12年)9月:醍醐寺出張所を真福寺内に設置[https://dl.ndl.go.jp/pid/2999986/1/52]。 *1880年(明治13年)1月15日:真言宗大教院を法務所と改称[https://dl.ndl.go.jp/pid/1917798/1/376] *1891年(明治24年)3月13日:新義派末派会議を開催。[https://dl.ndl.go.jp/pid/1917798/1/380] *1900年(明治33年)8月12日:智山派事務所を真福寺内に設置[https://dl.ndl.go.jp/pid/2999986/1/57]。 *1923年(大正12年)9月1日:関東大震災で焼失 *1931年(昭和6年)6月24日:再建[https://dl.ndl.go.jp/pid/1213950/1/286]。「智積院東京別院」と称するようになったのはこの頃からとみられる。 *1941年(昭和16年)3月31日:智山派解散。翌日、合同真言宗設立。 *某年:合同真言宗の宗務所を真福寺内に設置。 *1946年(昭和21年)3月1日:戦後、合同真言宗の解体で真言宗智山派が再独立。 *1953年(昭和28年)1月1日:宗務所が東京真福寺から京都智積院に移転。 *1993年(平成5年)4月:真福寺ビル起工式[https://dl.ndl.go.jp/pid/7944148/1/5] *1995年(平成7年)6月30日:「真福寺・愛宕東洋ビル」として再建。落慶法要[https://dl.ndl.go.jp/pid/7944148/1/5][https://dl.ndl.go.jp/pid/7944145/1/6]。 ==伽藍== *本堂:本尊は薬師如来。浅野長政が自らの等身を照海に彫らせたものという。廃絶。 *地蔵堂:廃絶か。愛宕円福寺旧本尊の勝軍地蔵を祀っていた[https://dl.ndl.go.jp/pid/900924/1/101]。 *弁天社:旧子院玉蔵院の本尊。廃絶。 ==子院== *長久院:本尊は観音菩薩。 *真養院:本尊は庚申。真善院とも。 *玉蔵院:本尊は[[弁財天]]。寛政年間廃絶。 *薬師寺: *鏡照院:教性院も同一か。現存か。 *満蔵院: *普賢院:円福寺子院となる[https://dl.ndl.go.jp/pid/3004286/1/14]。 *金剛院:円福寺子院となる[https://dl.ndl.go.jp/pid/3004286/1/14]。 ==組織== === 歴代住職 === *1照海()<>:1601年(慶長6年)上人号[https://dl.ndl.go.jp/pid/2999986/1/6]。1616年(元和2年)2月13日死去[https://dl.ndl.go.jp/pid/2999986/1/10]。 *2照誉()<>: *3日宝()<>: *4恭誉()<>: *5隆鑁()<>: *6宥鑁(1624-1702)<>:智積院9世。1683年(天和3年)真福寺住職[https://dl.ndl.go.jp/pid/1917798/1/320]。1693年(元禄6年)智積院化主[https://dl.ndl.go.jp/pid/2999986/1/23]。 *快孝()<>:1676年(延宝4年)総州西光寺住職[https://dl.ndl.go.jp/pid/2999986/1/20]。1712年(正徳2年)7月、真福寺住職[https://dl.ndl.go.jp/pid/1917798/1/334]。 *7性遍()<>: *8運寿()<>:真壁安幹の子。秋田一乗院に住す。春山。義堂。1712年(正徳2年)2月26日死去[https://dl.ndl.go.jp/pid/2999986/1/26]。 *9実鑁()<>:1714年(正徳4年)1月5日死去[https://dl.ndl.go.jp/pid/2999986/1/27]。60歳。下野国佐野出身。覚春。智山学匠。 *10快存(1647-1724)<>:智積院13世。 *11弁海()<>:宝仙寺28世。宝仙寺を経て1715年(正徳5年)7月、真福寺住職。[https://dl.ndl.go.jp/pid/1917798/1/335] *12実貫(1666-1720)<>:仙台龍宝寺に招かれる。 *13慈海()<>: *14亮範(1670-1739)<>:智積院15世。越前国新保浦出身。蟹満寺、六波羅蜜寺を経て1721年(享保6年)10月、真福寺住職[https://dl.ndl.go.jp/pid/2999986/1/28]。岳泉。 *15日恵()<>: *16定恵()<>: *17覚純()<>: *18宥範()<>: *19範海()<>: *20英範(1730-1804)<>:智積院27世。 *21等空(?-1777)<>:智積院21世。紀伊国出身。1764年(明和1年)8月22日、真福寺住職[https://dl.ndl.go.jp/pid/2999986/1/34]。1766年(明和3年)5月26日、智積院化主。[https://dl.ndl.go.jp/pid/1917798/1/349] *22隆雄()<>:下総国出身。智山学匠。1766年(明和3年)7月、真福寺住職[https://dl.ndl.go.jp/pid/2999986/1/35]。覚山。 *23動潮(1709-1795)<>:智積院22世。1769年(明和6年)8月、真福寺住職[https://dl.ndl.go.jp/pid/2999986/1/35]。1773年(安永2年)智積院化主。通紹。 *24鑁啓(1718-1794)<>:智積院23世。 *25本秀()<>: *26純雅()<>:越前国三国出身。1768年(明和5年)佐渡蓮華峰寺住職[https://dl.ndl.go.jp/pid/2999986/1/35]。1781年(天明1年)秋、真福寺住職[https://dl.ndl.go.jp/pid/2999986/1/37]。在職10年。以思。 *27英範(1730-1804)<>:智積院27世。近江国出身。1791年(寛政3年)6月、真福寺住職[https://dl.ndl.go.jp/pid/2999986/1/38]。本堂再建。宝州。1803年(享和3年)11月20日智積院化主。[https://dl.ndl.go.jp/pid/1917798/1/357] *28観豪(1747-1813)<>:智積院29世。1805年(文化2年)2月10日、真福寺住職。[https://dl.ndl.go.jp/pid/1917798/1/357] *29亮海(1750-1828)<>:智積院31世。 *30海応(1769-1833)<>:智積院32世。六波羅蜜寺を経て1810年(文化7年)6月、真福寺住職[https://dl.ndl.go.jp/pid/1917798/1/359]。1824年(文政7年)6月、真福寺に再任か[https://dl.ndl.go.jp/pid/1917798/1/362]。1828年(文政11年)6月、智積院化主。[https://dl.ndl.go.jp/pid/1917798/1/362]。 *31弘賢()<>: *32陽敞()<>: *33範恵(1788-1850)<>:智積院36世。山城国相楽郡加茂村出身。1834年(天保5年)性海寺住職[https://dl.ndl.go.jp/pid/2999986/1/44]。1835年(天保6年)真福寺住職[https://dl.ndl.go.jp/pid/2999986/1/44]。1846年(弘化3年)冬、智積院化主[https://dl.ndl.go.jp/pid/1917798/1/366]。快順。 *34兆導()<>: *35隆栄(1809-1867)<>:智積院39世。1856年(安政3年)真福寺住職。[https://dl.ndl.go.jp/pid/1917798/1/368]。1862年(文久2年)閏8月29日智積院化主。[https://dl.ndl.go.jp/pid/1917798/1/370].龍謙房。 *36契理()<>: *富田学純『新義真言宗史』[http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/819446/109] *志賀照林から宗務長が兼務する。 {|class="wikitable" |+ !style="width:5%;"|世 !style="width:10%;"|名 !style="width:10%;"|生没年 !style="width:10%;"|在職年 !style="width:40%;"|略歴 |- | |吉堀慈恭 | |1879- |1878年(明治11年)2月7日、出流山満願寺住職34世となる。1879年(明治12年)4月14日真福寺住職を兼務。1890年(明治23年)9月9日死去。47歳。 |- | |志賀照林 |?-1916 |?-1906 |宗務長2代。薬王院26世。1906年(明治39年)5月7日辞任。1916年(大正5年)8月10日死去。71歳。(略歴は真言宗智山派#宗務総長を参照) |- | |旭純栄 |1864-1948 |1906 |智積院化主53世・管長7代。宗務長3代。1906年(明治39年)5月9日就任。 |- | |佐伯隆運 |1870-1923 |1907- |宗務長4代。平間寺44世。1907年(明治40年)3月17日就任。 |- | |宮本隆範 |1865-1920 |1911- |宗務長6代。1911年(明治44年)6月26日就任。1920年(大正9年)2月19日死去[https://dl.ndl.go.jp/pid/3010376/1/591]。 |- | |千葉賢永 |?-1922 |?-1918 |宗務長7代。1918年(大正7年)3月30日辞任。 |- | |旭純栄 |1864-1948 |1918- |宗務長8代。1918年(大正7年)3月30日就任。 |} ==資料== *東京市史稿[https://dl.ndl.go.jp/pid/3450782/1/89] *江戸東京寺社名集覧[https://dl.ndl.go.jp/pid/3004286/1/14] *『新修港区史』「外国公館が置かれた寺院等」[https://adeac.jp/minato-city/text-list/d100010/ht101640] *『港区史』「新義真言宗の江戸四箇寺」[https://adeac.jp/minato-city/text-list/d110021/ht001820] *宇高良哲1977「新義真言宗触頭江戸四箇寺成立年次考」[https://doi.org/10.4259/ibk.26.254] [[category:東京都]]
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