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ベトナム政府宗教委員会
出典:安藤希章著『神殿大観』(2011-) 最終更新:2023年11月10日 (金)
政府宗教問題委員会(Government Committee for Religion Affairs ,GCRA)はベトナム社会主義共和国の宗教を管轄する行政機関。首相直轄の「政府所属機関」。「政府所属機関」は「省」より下位に位置付けられるらしい。「宗教」に至らない「信仰」は文化情報省の管轄らしい。宗教省の一つといえる。政府宗教委員会(Government Committee on Religion)は旧称か。
目次 |
歴史
- 1945年9月:北ベトナム(ベトナム民主共和国)
- 1946年:最初の憲法で「信教の自由」が明記された。
- 1951年5月:南部の6組織が統合して「ベトナム仏教総会」成立。指導者はティック・ティン・キエット。
- 1955年:<南ベトナム(ベトナム共和国)成立>
- 1955年頃:プロテスタントでは北部に「ベトナム福音聖会」(ECVN、通称「北部福音総会」)、南部に「ベトナム・プロテスタント聖会総連合会」(通称「南部プロテスタント総連合会」)が成立。
- 1955年3月8日:「祖国と平和を愛するベトナム・カトリック信徒・全国連絡委員会」設立。抗仏戦争以来の愛国運動の一環。
- 1955年6月14日:「宗教問題に関する主席令」。「信教の自由」を保証しつつ「愛国し」と「公民の義務」を前提とする。社会主義への同調を求める文言がない、国内のカトリック教会がローマ教皇庁との関係を持つことを容認していた。
- 1956年:「首都仏教代表委員会」
- 1957年5月20日:主席令102号。結社設立を規定。「国家公認宗教団体」はこの主席令に基づき「法人」格を与えられた。
- 1958年3月:北部で「ベトナム統一仏教会」(UBCV)成立。会長はティック・チー・ド。「ベトナム救国戦線」に組み込まれた。
- 1958年:「ベトナム福音聖会」、法人格が公認される。
- 1959年:ハノイ駐在の教皇使節廃止。外国人宣教師も追い出された。
- 1960年11月:教皇庁から独立した教階制度を確立
- 1963年:政府のカトリック優遇政策に対して仏教徒が大規模な反政府デモを実施。
- 1963年6月11日:ティック・クアン・ドックが焼身自殺。
- 1964年:南部で、ベトナム仏教総会と、原始僧伽教会、原始仏教会、テラヴァダ僧伽教会、テラヴァダ仏子会などが場ペイして「統一ベトナム仏教教会」を設立。政権とは一線を画した。
- 1976年:ベトナム社会主義共和国成立
- 1977年4月6日:「統一ベトナム仏教教会」の反政府的指導者6人が逮捕される。
- 1977年11月:政府評議会議決297号「宗教に関する政策」公布。国家と社会主義体制への同調を明確に求める。
- 1980年:司教評議会共同書簡で「同胞の幸福のために、民族の心の中で福音的に生きる」をスローガンに掲げて、社会主義体制への同調をはかる。
- 1983年11月8日:「ベトナム愛国カトリック団結委員会」結成。全国連絡委員会の後身。国家管理の強化に反発した司祭もいた。
- 1981年11月4日:北部の「ベトナム統一仏教会」、南部の「統一ベトナム仏教教会」、南部の「ホーチミン市愛国仏教連絡委員会」などの代表があつまり「ベトナム仏教教会」成立。南部の「統一ベトナム仏教教会」には統合に反対するものも少なくなく、同団体は存続した。
- 1982年2月25日:統合に反対していた「統一ベトナム仏教教会」の指導者2人を逮捕
- 1984年3月22日:「統一ベトナム仏教教会」の元幹部で「ベトナム仏教教会」治事評議会主席と周辺の僧侶12人を逮捕。2人に死刑判決(のち減刑)。
- 1986年:ドイモイ政策始まる。「宗教の復興」に時期。
- 1990年10月:カトリック組織、「祖国を建設・防衛するベトナム・カトリック団結委員会」と改称。
- 1991年:閣僚評議会議定69号「宗教活動に関する規定」で、人民に「宗教の需要」があることを認めた。カトリックの人事は閣僚評議会の合意を得なければならないとされた。ヴァチカンが決めた人事をベトナム政府が拒否することが続いた。
- 1993年5月21日:フエ仏教徒騒乱事件。
- 2004年6月:「宗教・信仰条例」制定
- 2012年:政令第92号公布
- 2016年11月:「信仰および宗教に関する法律」制定
- 2018年1月:「信仰および宗教に関する法律」施行
- 2016年6月:末日聖徒イエス・キリスト教会に「国家レベルの公式認可を付与」
- 2016年9月:当局、カトリック教会に1975年以降初となる同教会の高等教育機関の開設を許可
仏教やカトリックなどの「宗教」、母神信仰などの「信仰」、呪術占いなどの「迷信異端」に区分され、 「宗教」や「信仰」は「信教の自由」が保証されているが、「迷信異端」は排斥禁止の対象となっている。
団体
国家公認宗教団体
ベトナムは「公認宗教」制度を取っている。「国家公認宗教団体」になることで法人資格が認められる。 2023年3月現在、16宗教の36組織が公認されているという[1][2]。 カトリックとプロテスタントは別の宗教と規定されている。
- ベトナム仏教教会
- 「祖国を建設・防衛するベトナム・カトリック団結委員会」:カトリック。教会組織であることは明確ではなく、社会組織という。宗教的権能は持たない。
- 「ベトナム福音聖会」:ECVN、通称「北部福音総会」。
- 「ティエンティエンカオダイ」:カオダイ教の一派。1995年2月公認
- 「伝教カオダイ聖会」:カオダイ教の一派。1996年公認
- 「タイニン・カオダイ聖会」:カオダイ教の一派。1997年公認
- 「ホーチミン市イスラム共同体代表委員会」
- 「ホアハオ教代表委員会」
非合法団体
- 統一ベトナム仏教教会
- 「ベトナム・プロテスタント聖会総連合会」:通称「南部プロテスタント総連合会」