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与止日女神社

出典:安藤希章著『神殿大観』(2011-) 最終更新:2019年4月24日 (水)

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与止日女神社(よどひめ・じんじゃ)は、佐賀県佐賀市大和町川上(肥前国佐嘉郡)にある淀姫信仰の総本社。祭神は与止日女命。風土記所載神社か。官社。肥前国一宮県社河上神社淀姫神社與止日女神社。神宮寺は肥前・神通寺、のち肥前・実相院。(参考:同名神社河上神社

目次

歴史

古代

嘉瀬川右岸に位置する。肥前国府は南南西1.2kmの対岸にあり、近い。与止日女命は神功皇后妹の豊姫のこととも、神武天皇母の豊玉姫命の別名ともいう。鯰を神使とする。

欽明天皇25年の創建と伝える(ウェブサイト)。なお長崎県松浦市の松浦・淀姫神社は前年の同24年創建の由緒を主張し、与止日女神社の元宮だと主張している。

『肥前国風土記』佐嘉郡条に「此川上有石神、名曰世田姫、海神(謂鰐魚)」とあるのが、与止日女神社とされる。「世田」は「よだ」と読み、「与止」「淀」に通じる。嘉瀬川を遡った北西1.4kmにある巨石群(巨石パーク)が、上記の「石神」に当たり、与止日女神社の御神体としての古代の磐座との見方もできる。

『三代実録』に860年(貞観2年)2月8日、予等比咩大神の神階を従五位下から従五位上に、873年(貞観15年)9月、正五位下としたとある。また後世には1261年(弘長1年)に正一位を得たという伝がある(神社ウェブサイト)。『延喜式』では小社とされ、「与止日女神社」とある。現在の表記はこれに基づくが、中世には河上神社と呼ばれることが多い。

1089年(寛治3年)、円尋が神宮寺として神通寺を創建(神社ウェブサイト)。あるいは712年(和銅5年)行基の創建とも。はじめ天台宗で、のち真言宗となった。座主が置かれた。

中世

中世社領の記録「河上神社文書」「実相院文書」が大量に残り、平安時代後期からの社領形成が分かる。

古代では遣唐使派遣の祈願がされた田島神社のほうが格式が高かったが、遣唐使がなくなった後は国府に近い与止日女神社のほうが重視されるようになった。

1170年(嘉応2年)の文書には「当社者是為当国第一之鎮守」とある。1292年(正応5年)、鎌倉幕府が発給した文書に「肥前国一宮河上神宮」とあり、肥前国一宮の地位を築いていた。幕府や領主から重視された。なお千栗八幡宮も肥前国一宮を称する。

「大宮司」職が置かれて、鎌倉時代には御家人・地頭の高木家が世襲した。龍造寺家は高木家の分流という。大宮司は神通寺座主とたびたび衝突した。南北朝時代、大宮司職は高木家から千葉家に移った。

1486年(文明18年)、子院だった実相院が神通寺を代表するようになり、以後は実相院と称す。

1561年(永禄4年)、神社周辺で龍造寺隆信と神代勝利が戦い、龍造寺家側が勝った。神通寺の80坊が全て焼失した。さらに1570年(元亀1年)、キリシタン大名の大友宗麟の軍勢により、社殿仏堂全てが焼き払われた。のち龍造寺家が再建した。

近世

1613年(慶長18年)、佐賀藩初代藩主鍋島勝茂は172石を社家に寄進した。

実相院の本山である仁和寺門跡を仲介として後陽成天皇から「大日本国鎮西肥前州第一之鎮守 宗廟河上山正一位淀姫大明神」の宸筆を下賜され、額とした。1602年(慶長7年)のことという(ウェブサイト)。この後、「肥前国一宮」の号を巡って千栗八幡宮と争うこととなる。争論は1621年(元和7年)に始まり、一説には1755年(宝暦5年)まで続いた。1679年(延宝7年)の判決では両社とも1613年(慶長18年)以前の書付以外に一宮の号を使ってはいけないとされた。

1816年(文化13年)、藩主鍋島家の寄進で現在の本殿を造営(神社ウェブサイト)。

近代

1871年(明治4年)12月、県社に列格(神道史大辞典)。50年ごとに式年大祭を行なっている。

(『国史大辞典』、『日本歴史地名大系』、『日本大百科全書』、神社ウェブサイト)

境内・関連旧跡

  • 本社:
  • 巨石群:
  • 神通寺:廃絶。
  • 大講堂:廃絶。
  • 実相院:現存。本尊は薬師如来真言宗御室派
  • 観音院:廃絶。
  • 円通寺:廃絶。
  • 光明院:廃絶。
  • 明王院:現存か。
  • 宝珠院:廃絶。
  • 竹内坊:廃絶。
  • 菩提院:廃絶。
  • 大門坊:廃絶。
  • 理趣院:寛保年間廃絶。
  • 学頭坊:延享年間廃絶。

古典籍

  • 『肥前国河上淀姫社関係記録』[1]
  • 『肥前国第一宮河上淀姫大明神仮祭帳事九月二十五日』:1665年(寛文5年)。1665
http://shinden.boo.jp/wiki/%E4%B8%8E%E6%AD%A2%E6%97%A5%E5%A5%B3%E7%A5%9E%E7%A4%BE」より作成

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