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城南宮

出典:安藤希章著『神殿大観』(2011-) 最終更新:2023年12月30日 (土)

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城南宮

城南宮(じょうなんぐう)は京都府京都市伏見区中島鳥羽離宮町(山城国紀伊郡)にある神社。祭神は国常立尊八千矛神息長帯日売尊鳥羽離宮の鎮守。府社。神宮寺は城南寺か。城南神社城南寺明神か。城南神城南離宮皇神

目次

歴史

城南寺周辺。鳥羽離宮模型(平安京創生館展示)

起源

この地は東寺の真南に当たり、平安城(平安京)の南方であることから城南と呼ばれた。朱雀大路を南に延長した鳥羽作道が通じ、また桂川と鴨川の合流点に近く、交通の要衝だった。

社伝では794年、平安京遷都と共に創建。宮中に秘蔵されていた神功皇后の軍船旗を祀ったともいう。明治から昭和戦後期まで官社真幡寸神社に比定され、同一視されてきたが、現在では別の神社だとされている。

史料上、その存在を窺わせる最初は『吏部王記』925年(延長3年)8月の城南寺に醍醐天皇宇多上皇とも)が行幸した記事。

城南宮と城南寺との関係ははっきりしない。史料に「城南寺明神」とあるのが神社の前身だろうか。現在の城南宮の起源を示すと思われる。そもそも城南寺は寺院としての活動がはっきりせず、専属の僧侶の存在も明確でない。鳥羽離宮設置後の時期にあたる中右記には「城南神に詣り、祭りを見る」という記述もある。

鳥羽離宮の設置

平安時代後期の1087年(寛治1年)以来、白河上皇鳥羽上皇が鳥羽離宮を設けると一帯は離宮の敷地に取り込まれた。そして「城南寺祭」「鳥羽城南寺明神御霊会」「城南祭」などと呼ばれる9月20日の神事が注目されるようになり、両上皇も祭礼に御幸した。神事の名称には「寺」が入るが、「祭」や「御霊会」と呼ばれていることからも純然たる仏教法会ではなく、神祇を祭祀対象とした習合儀礼だったと思われる。神事が継続的に行われており、この祭祀が現在の城南宮につながることは間違いないだろう。1161年(応保1年)行幸あり。

御霊会では競馬や流鏑馬が頻繁に行われ、神事での流鏑馬奉納の起源ともいう。1221年(承久3年)、後鳥羽上皇が軍備のため兵を集めた時、流鏑馬の実施を名目とした。現在の城南宮の境内は鳥羽離宮の馬場殿の跡地だと判明している。

近世・近現代

鳥羽離宮の衰退と共に関連の堂社のほとんどは廃絶したものの城南宮は存続した。1711年(正徳1年)の『山城名勝志』や同年の『山州名跡志』では「城南神社」と呼ばれている。

幕末、鳥羽は再びにわかに注目を集める地となる。孝明天皇は1863年(文久3年)、石清水行幸の途次、城南宮に参拝。以後、1月、5月、9月に祈願・代拝が行われた。1868年(明治1年)1月には鹿児島藩兵が城南宮に駐屯し、鳥羽伏見の戦いが起こった。1868年(明治1年)3月21日、明治天皇大阪行幸の際に滞在し、親拝したという。

1870年(明治3年)、孝明天皇と明治天皇の親拝の由緒からなのか、城南離宮皇神と称したが、1877年(明治10年)6月、真幡寸神社に比定され、改称した。1873年(明治6年)6月、郷社となり、1881年(明治14年)6月府社となった(神道史大事典)。しかし戦後、城南宮に改称した。合わせて境内社として別に真幡寸神社を創建した。

1961年(昭和36年)、神苑を開設。1977年(昭和52年)9月、社殿が全焼したかま、わずか一年で再建を成し遂げた。

境内

  • 三照宮社:祭神は天照大御神。摂社。三光社。
  • 芹川天満宮:祭神は菅原道真。摂社。1111年(天永2年)に芹川のほとりに創建。大正時代に現在地に遷座。唐渡天満宮とも呼ばれる。
  • 真幡寸神社:祭神は真幡寸大神、応神天皇官社。摂社。
  • 飛鳥田神社:祭神は荷田龍頭の遠祖。官社。境外摂社。荷田龍頭は荷田氏の祖。816年(弘仁7年)、官社となる。1239年(延応1年)、東福寺造営のため、現在地に遷座したという。京都府京都市伏見区下鳥羽城ノ越町。
  • 稲荷社:末社。
  • 厳島社:末社。
  • 住吉社:末社。
  • 兵主社:末社。
  • 粟島社:末社。
  • 天満宮社:末社。
  • 妙見社:末社。
  • 金刀比羅社:末社。
  • 庚申社:末社。
  • 大国主社:末社。
  • 春日社:末社。
  • 「史蹟 式内真幡寸神社の跡」:近くの若宮宮の敷地に立つ。1974年(昭和49年)建立。京都府京都市伏見区竹田真幡木町。

資料

  • 「真幡寸神社文書」:旧社名のまま呼ばれている。

画像

http://shinden.boo.jp/wiki/%E5%9F%8E%E5%8D%97%E5%AE%AE」より作成

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