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昭和大嘗祭主基田

出典:安藤希章著『神殿大観』(2011-) 最終更新:2019年4月30日 (火)

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御田植祭斎場。神殿は門戸口天満宮拝殿として移築されたが1990年(平成2年)に焼失。

昭和主基田は福岡県福岡市早良区脇山にあった昭和天皇大嘗祭の主基田。現在、跡地は脇山中央公園となっており、中央に「大嘗祭主基斎田碑」が立つ。昭和悠紀田は滋賀県にあった。大嘗祭関連旧跡

目次

歴史

当時

斎田の航空写真

1928年(昭和3年)2月5日、主基田が福岡県に決定。九州(西海道)から斎田が選ばれたのは初めてだった。福岡県は14日、斎田事務所を設置。3月15日、福岡県は脇山村を選んだ。その翌日(18日とも)、脇山村では横山神社で奉告祭が行われた。斎田の守護神とされたらしい。22日には斎田起工式が行われた。稲は「昭代」と命名され、31日苗代の水口祭。4月7日地鎮祭。4月14日斎田祓式があり、15日に鍬入式。20日播種祭。6月5日に御田植祭が行われたが、その日までに福岡市から脇山村まで伸びる「斎田道路」が整備され、村には「主基橋」が新設された。御田植祭では八乙女の舞の他に、新作された「お田植舞」が奉納された。8月、斎場地鎮祭。9月20日に椎原川沿いの祓所で大祓。9月21日に抜穂式。勅使として掌典伯爵庭田重行が参向した。10月16日脇山村を発し、翌日、京都大宮御所に収めた。10月30日、斎田奉賽祭。12月、斎田跡の四隅には境界を示す碑が建てられた(現存)。斎場地鎮祭、抜穂式とその前日の大祓は大礼使の所管。その他は福岡県の所管だった。

斎場跡建物や祭具は神社や関係者に下付された。「主基斎田事蹟」によると、志賀海神社に「神職詰所」など、村内の横山神社に「潔斎所神殿」、村内の十二社神社に「潔斎所内手水舎」が譲渡された。神饌殿と稲実殿は下付されなかったか。

福岡県は県立農事試験場(福岡県福岡市博多区住吉。現在の農林業総合試験場)に「主基斎田記念館」を建設。大嘗祭で使用された建物を一部移築した。1942年(昭和17年)3月、筑紫野市上古賀に移転したが、1981年(昭和56年)の試験場の筑紫野市吉木への移転時に取り壊された。

民間では安岡正篤らが主基田を記念して1931年(昭和6年)6月、脇山村に福岡農士学校(九州農士学校)を設立した。

その後

手水舎。手水鉢は脇山村の十二社神社に現存するようだ。

現在、跡地は脇山中央公園となっており、中央に「大嘗祭主基斎田碑」が立つ(大嘗祭直後に建てられたようだ)。公園内には栄西を顕彰した茶徳碑もある(1975年(昭和50年)建立)。毎年6月、「お田植舞」が行われているという。

下付された建物のうち志賀海神社のものは現存不明。横山神社に下付された神殿は門戸口天満宮に拝殿として移築された。門戸口天満宮は横山神社の境外社だったのかもしれない。旧神殿は平成の大嘗祭を前にした1990年(平成2年)8月24日、過激派の放火により焼失したらしい[1]。1931年(昭和6年)11月25日奉納の御田植祭を描いた絵馬もあったようだが、現存不明。手水舎は十二社神社に残されているようだ[2][3]

また野田公民館の近くの交差点の角に「主基斎田勅使道の碑」がある(「早良逍遥マップ記」、「福岡散歩道」[4])。記念して作られた主基地方風俗舞が宗像大社に伝わっている[5]。当時の公文書「主基斎田事蹟」が福岡共同公文書館に保管されている。

画像


資料

  • 1928「福岡県公文書・主基斎田事蹟」[6]
  • 1928「福岡県公文書・主基斎田ニ関スル事蹟」[7]
  • 1928『大嘗祭主基斎田写真帖』(国会図書館)[8]
  • 『大嘗祭主基斎田写真帖』(福岡共同公文書)[9][10][11]
  • 1930「主基斎田の経過概要」[12]
  • 1931『昭和主基斎田記録』
  • 1957『詳説福岡県議会史 昭和篇』
  • 1984『主基地方風俗舞 昭和のあゆみ』
  • 1988『図説天皇の即位礼と大嘗祭』新人物往来社
  • 2003「早良逍遥マップ記」[13]
  • 2010「昭和大礼における下賜建物の教育施設への転用過程」[14]
  • 2018「脇山主基斎田90周年記念事業 お田植祭リーフレット」[15]
  • 2018「主基斎田記念館のゆくえ」[16]
  • 映画フィルム『大嘗祭悠紀主基斎田』[17]:現在の一般の神社祭式とも異なる特殊な神事の様子が映像でみられる。
http://shinden.boo.jp/wiki/%E6%98%AD%E5%92%8C%E5%A4%A7%E5%98%97%E7%A5%AD%E4%B8%BB%E5%9F%BA%E7%94%B0」より作成

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