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パドマサンバヴァ旧跡
出典:安藤希章著『神殿大観』(2011-) 最終更新:2025年9月21日 (日)
パドマサンバヴァ(Padmasambhava、蓮華生)(生没年不詳)は、8世紀頃のチベット仏教の伝説的な僧。インドからチベットへ密教をもたらし、サムイェー寺の創建に関わった。ニンマ派の開祖とされるがそれにとどまらず、チベット仏教圏全体で信仰の対象となり、庶民にも広く敬愛されている。グルリンポチェ(Guru Rinpoche)として呼ばれることが多い。神秘的な逸話で彩られており、史実としての実態はほぼ不明。 蓮花生大士。蓮師とも。
阿弥陀如来の化身として位置付けられている。ただしこの場合の阿弥陀如来は無量光如来であり、チベット仏教では無量光如来(アミターバ)と無量寿如来(アミターユス)は区別される傾向にあるという[1]。
誕生祭が各地で行われており、パドマサンバヴァの事績を演じる仮面舞踊が知られる。
真言は「オン・ベンザ・グル・ペマ・シディ・ホン」。
目次 |
歴史
- 某年:ウッディヤーナ国(烏仗那国。パキスタン領スワート地方)で誕生。八葉の蓮華から生まれたという。チベット暦4月10日(6月末ー7月初旬)とされ、毎年各地で生誕祭が開かれている。
- 773年:ティソンデツェン王(742-797)の命を受けたシャーンタラクシタにチベットに招かれる[2]。在来宗教(ボン教とみなされる)を信仰する人々が王による仏教布教に抵抗したため、それを調伏させたという。
- 775年:パドマサンバヴァ、サムイェー寺の地鎮祭を行う
- 779年:サムイェー寺本堂落慶。これに先立ちシャーンタラクシタにより「試みの6人」への授戒が行われた。この直後、パドマサンバヴァは仏教反対派の大臣らによって追放されたという。
- 12世紀:ニャンレル・ニマウーセルが埋蔵経典『サンリンマ』(パドマサンバヴァの伝記)を発掘。
一覧
- サムイェー寺
- ゴムコラ寺
- サンドペルリ寺:ツェチュ祭。
- ポタラ宮紅宮リクジンラカン(持明殿):本尊のパドマサンバヴァ像は等身大の銀像。銀30.32kgを用いた。両脇にはベンガル人妃のマーンダーラヴァと、チベット人妃のイェシェーッォギェルを祀る。左側面にはパドマサンバヴァ八変化像(銅質鍍金)と密教三部主尊(観音・文殊・金剛手)を、右側面には八大持明伝承師像(銅質鍍金)と八大仏塔8基を祀る。中国民族撮影芸術出版社ほか1997『ポタラ宮の秘宝ーチベット』[3]
- タクツァン寺:ブータン王国最重要の聖地。パドマサンバヴァが悪魔を調伏した場所とされる。タクツァンとは「虎の巣」という意味という。
- クルジェ寺:パドマサンバヴァがブータンで最初に布教したのがこの地という。王室の葬儀を司る。
- へミス寺:7月に誕生祭を行う。
- タシチョゾン宮殿:ティンプー。パドマサンバヴァ像?
- ジャムベ寺:ブータン王国ジャカル。パドマサンバヴァが立ち寄る。パドマサンバヴァを祝う祭りがある。
- チミ寺:ブータン王国。パドマサンバヴァの大きな像があるという。
- アスラ洞窟:ネパール
- ヤンゲルショ洞窟
- マラティカ洞窟
八変化
パドマサンバヴァは布教の相手に応じて八つの姿を使い分けだという。画像、彫像、仮面舞踊のモチーフにされている。「グル八変化図」などが知られる。 順番、アルファベット転写、日本語転写は諸説あり
- 1Guru Tsokye Dorje:グル・ツォケェ・ドルジ
- 2Guru Shakya Senge:グル・シャキャ・センゲ
- 3Guru Nyima Ozer:グル・ニマ・ウーセル
- 4Guru Padmasambhava:グル・パドマサンバヴァ
- 5Guru Loden Chokse:グル・ロデン・チョクセィ
- 6Guru Pema Gyalpo:グル・ペマ・ギャルポ
- 7Guru Senge Dradrok:グル・センゲ・ダトック
- 8Guru Dorje Drolo:グル・ドルジ・ドォロ
五大明妃
パドマサンバヴァの精神的配偶者(明妃)となった伝説的な5人の女性。ダーキニー(空行母)でもあり、五仏母などの化身ともされる。ただし五仏母との対応関係は明確ではないようだ。
- イェシェー・ツォギェル:チベット人。チョクロ地方の出身で、ツォギェルといい、ティソンデツェン王の妃となっていたが、仏教を信仰してパドマサンバヴァに帰依して王に願い出た。王はそれを許してパドマサンバヴァに妃を献呈し、パドマサンバヴァはどこにでも彼女を妻として連れて行った。そしてイェシェーツォギェルと名付けられ仏の位となった[4]。パドマサンバヴァの教えの全てを覚え込み、「金剛石や神秘の湖や不変の箱」の中に隠したという(埋蔵経典)。その後、多くの行者に転生したとされる。仏眼仏母(Buddha-Lochana)、または密智仏母(Guhyajnana)、または般若仏母(Prajnaparamita。般若菩薩。ときには抽象的な般若波羅蜜多そのもの)の化身とされる。Yeshe Tsogyal。
- マンダラヴァ:インド人。『パドマカータンイク』によるとサホール国のツクラジン王と王妃フーケーの王女。パドマサンバヴァの光を懐胎してダーキニーの化身として生まれた。仏教に帰依して出家を望んだので、王は心配して宮殿を建てて住まわせた。パドマサンバヴァが宮殿に招かれ、説法したが、悪い噂を広められ、王は捕まえて火炙りにした。パドマサンバヴァは諸仏諸神を呼んで身を守り王は改心してパドマサンバヴァに娘を与えた王位に付けた。かつて彼女を妃に望んだ周辺諸国が攻めてきたがパドマサンバヴァは神通力を示して撃退して国々を教化した[5]。白衣仏母(Pandaravasini)の化身。マーンダーラヴァ。マンダルヴァ。マンダーラヴァ。マンダラヴァ。Mandarava。
- シャキャデーヴァ:ネパール人。ネパール王プンニャダーラ(Punyedhara)の王女。母親が出産時に死んだため捨てられたが、猿に育てられた。パドマサンバヴァと出会い、パートナーとなり、ヤンレショ洞窟で共に修行し、高い境地に至った。摩摩祇仏母(Mamaki)の化身とされる。Shakyadevi。Belmo Shakyadevi。Belmo Sakya Devi。
- カラシッディ:ネパール人。幼児の時に捨てられ、マンダラヴァに世話され、パドマサンバヴァに出会った。金剛亥母(Vajravarahi。ドルジェ・パモ。Dorje Pakmo)の化身。対応する五仏母ははっきりしない。ベルウォン・カーラシッディ。Belwong Kalasiddhi
- タシ・キイドレン:ブータン人。ブムタン地方の王であったセンダ・ギャルポの娘。イェシェー・ツォギェルの弟子となる。パドマサンバヴァの配偶者となり、虎に変じてパドマサンバヴァを乗せて空を飛び、タクツァン寺に連れて行ったという。何かの化身とする伝承は確認できない。Tashi Kyeden。Tashi Chidren。Mangala。
資料
伝記
基礎的なパドマサンバヴァ伝
- 『パドマ・カータン』
- 『善説金鬘』
- 『ギェルポ・カータン』
- 『サンリンマ』
- 『パドマサンバヴァ遺言』
- 『ニャンレル仏教史』