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南京神廟

出典:安藤希章著『神殿大観』(2011-) 最終更新:2020年9月4日 (金)

南京十廟から転送)
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南京神廟は応天府(南京)郊外の鶏鳴山(江蘇省南京市玄武区)などにあった、明王朝が官祭した神廟。南京十廟とも。歴代帝王廟や功臣廟に並ぶ格式とされたらしい。『明史』には14廟が記載される。「鶏鳴山図」(『洪武京城図志』)には「鶏鳴寺」「功臣廟」の西に「十廟」として前殿・後殿からなる同じ規模の廟が10社が並んでいる様子が描かれており、周辺には「卞将軍廟」などがある。「蒋廟」は鶏鳴山の廻廊の外側のやや離れた位置に示される。 いずれも廃絶したらしい。

名称 祭神 所在地 概要 担当官司
1 北極真武廟 真武大帝 鶏鳴山 真武大帝は北極星の神。朱元璋が天下を平定する際に真武大帝の「陰佑」が多かったため、鶏鳴山に新たに廟を建てて祀ったという。廃絶。 太常寺
2 道光真覚普済禅師廟 宝誌 鶏鳴山 宝誌は梁の武帝が帰依した神異僧。鶏鳴寺に廟があった。明の初年に一時、寺が廃されて「廟」主体となったがのちに仏寺に戻ったらしい。 太常寺
3 都城隍廟 城隍神 鶏鳴山 廃絶。 太常寺
4 祠山広恵張王廟 張渤 鶏鳴山 張渤は漢代の人物で治水に功があった。運河を引くのに「陰兵」を使役したという。除災祈雨の神として信仰された。廟の沿革は不詳。広恵廟。廃絶。 太常寺
5 五顕霊順廟 五通神 鶏鳴山 明の1389年建設。五通廟に関連する伝説として朱元璋の夢に戦死者1万人が出現したので、各家に戦死者5人ずつを祀るように命じたという話がある。廃絶。 太常寺
6 漢秣陵尉蒋忠烈廟 蒋子文 鶏鳴山 蒋子文は後漢の人物で南京で古くから祀られてきた地方神。蒋山の名の由来。明の支配下になり1364年9月、功臣像を奉安し、官祭を行う。1387年10月、鶏鳴山に移設。近代まで市内にあった蒋王廟が元の廟か。廃絶。 応天府
7 晋成陽卞忠貞公廟 卞壺 鶏鳴山 卞壺(281-328)は東晋の武将で、蘇峻の乱で戦死した。元は忠烈廟とも卞将軍祠ともいう。応天府の城内の冶亭山の卞壺墓(現存)の下にあった。北宋の1093年に祀典に列す。南宋の1138年に廟を再建し、子供2人を合祀し、廟額を下賜された。明の支配下になり1364年9月、功臣像を奉安し、官祭を行う。1370年5月、歴代忠臣廟に改称。陳喬・楊邦叉・姚興・王〓(「王共」)が合祀された。陳喬は唐の滅亡で自害した人物で、楊邦叉・姚興・王〓は金軍との戦闘で戦死した南宋の功臣。1387年10月、鶏鳴山に移設され、再び卞壺を祀るための廟に戻った。廃絶。 応天府
8 宋済陽曹武恵王廟 曹彬 鶏鳴山 曹彬(931-999)は後周・北宋の武将。北宋による金陵(南京)攻略戦では市民をみだりに殺させないと将兵に成約させて被害を最小限に抑えたことから、市民が曹王廟を建てて祀った。宋代には荒廃していた。明の1387年10月、鶏鳴山に移設。廃絶。 応天府
9 南唐劉忠粛王廟 劉仁瞻 鶏鳴山 劉仁贍(900-957)は南唐の重臣。劉仁贍は、南唐に侵攻した後周の世宗を射掛けたが、彼が忠義深い人物だと知った世宗は天平軍節度使兼中書令の官職を与えて(動揺させて?)退かせた。やがて病死した。南唐の元宗は太師中書令を追贈し、諡号「忠粛」を与えた。劉将軍廟は上元県治の西の有廟街にあった。明の1387年10月、鶏鳴山に移設。廃絶。 応天府
10 元衛国忠粛王廟 福寿 鶏鳴山 福寿(?-1356)は朱元璋による1356年の南京攻略戦で最後まで城内に残り戦死した元の役人。直後に福寿を祀る祠が建てられたらしい。明の1387年10月、鶏鳴山に移設。廃絶。 応天府
11 漢前将軍寿亭侯廟 関羽 鶏鳴山 玄津橋の関帝廟を明の1394年に移転して造営。廃絶。 太常寺・応天府
12 天妃宮 媽祖 儀鳳門外の龍江関 明の1407年建設。廃絶。 太常寺
13 京都太倉神廟 場所不明 不詳 戸部
14 司馬馬祖先牧神廟 馬祖・先牧・馬歩・馬社 後湖(玄武湖) 明の1369年2月創建。廃絶。 太僕寺

資料

  • 鈴木博之2007「南京神廟の成立:明初の祠廟政策」[1]
http://shinden.boo.jp/wiki/%E5%8D%97%E4%BA%AC%E7%A5%9E%E5%BB%9F」より作成

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