武蔵・勝願寺

出典：安藤希章著『神殿大観』（2011-） 最終更新：2024年9月12日 (木)

勝願寺（しょうがんじ）は。埼玉県鴻巣市本町（武蔵国足立郡）にある浄土宗の檀林寺院。関東十八檀林の一つ。伊奈家の菩提寺。十夜法要が行われる。浄土宗知恩院派。鴻巣勝願寺。良忠院。山号は天照山。

良忠が創建。徳川家康も訪れた。

歴史

• 1252年：良忠、箕田郷松ケ岡（埼玉県鴻巣市登戸）に創建。師の勝願院良遍の院号から勝願寺と称した。初期は鎌倉光明寺が兼務。旧地には真言宗勝願寺がある。
• 1429年：良意が死去。中絶。
• 1573年：総誉清巌が現在地に中興。
• 1587年：総誉清巌、鴻巣勝願寺を隠居して浄国寺を創建。円誉不残が継承。
• 1593年：徳川家康参詣。円誉不残、徳川家康の帰依を得た。
• 1601年：結城秀康、福井に転封。不要となった結城城の御殿を拝領して伽藍を整備した。
• 1604年：徳川家康、30石寄進
• 1606年8月23日：後陽成天皇から紫衣綸旨
• 1870年：大風で結城御殿が全壊
• 1882年：焼失
• 1891年：本堂再建
• 1920年：仁王門再建
• 1930年：龍寿殿建立

伽藍

• 本堂
• 仁王門
• 結城御殿：廃絶
  • 金の間：徳川家康像
  • 銀の間：黒本尊（結城秀康念持仏）
• 開山堂：廃絶。
• 龍寿殿：呑龍を祀る。開山堂跡
• 伊奈忠次墓

組織

歴代住職

• 『鴻巣勝願寺志』[1]
• 『浄源脈譜』「勝願寺」[2]

• 1：良忠：（）<>：鎌倉光明寺開山。然阿弥陀仏。記主禅師。
• 2：寂恵良暁：（?-1328）<>：鎌倉光明寺2世。白旗流の祖。 1328年(嘉暦3年)3月1日死去。
• 3：良誉定恵：（?-1370）<>：鎌倉光明寺3世。1370年(応安3年)12月26日死去。仏蓮社良誉定恵。
• 4：聖満良順：（?-1409）<>：鎌倉光明寺4世。1409年(応永16年)5月26日死去。円蓮社聖満良順。
• 5：酉性良意：（?-1429）<>：1429年(永享1年)9月16日死去。満蓮社酉性良意。
• 中興1：総誉清巌：（?-1592）<>：勝願寺中興1世。円蓮社総誉清巌。
• 2：円誉不残：（?-1617）<>：1617年(元和3年)9月3日死去。総蓮社円誉法華不残。
• 3：定誉穀龍：（?-1617）<>：1617年(元和3年)11月16日死去。悲智蓮社定誉恵天穀龍。
• 4：真誉安長：（?-1618）<>：結城弘経寺12を経て勝願寺住職。1618年(元和4年)12月14日死去。入蓮社真誉安長。
• 5：大誉檀栄：（?-1630）<>：瓜連常福寺14を経て勝願寺住職。1630年(寛永7年)12月25日死去。廓蓮社大誉檀栄。
• 6：日誉源底：（?-1652）<>：鎌倉光明寺37世。小室藩主伊奈忠次の三男。鎌倉光明寺に移る。1652年(承応1年)7月19日死去。玉蓮社日誉源底。
• 7：本誉単信：（?-1661）<>：1661年(寛文1年)2月13日死去。源蓮社本誉玄故単信。
• 8：冏誉聡得：（?-1661）<>：1661年(寛文1年)4月24日死去。聖蓮社冏誉如忍聡得。
• 9：玄誉祖伝：（?-1661）<>：1661年(寛文1年)12月18日死去。然蓮社玄誉了蒙祖伝。
• 10：念誉林冏：（?-1680?）<>：新田大光院13。鎌倉光明寺？。伝通院11世。1680年(延宝8年)12月28日死去。1675年(延宝3年)とも。唱蓮社念誉是一林冏。
• 11：廓誉南察：（?-1700）<>：三浦正業寺を創建。1700年(元禄13年)4月14日死去。然蓮社廓誉欣笑南察。
• 12：自誉覚道：（?-1696）<>：霊巌寺伴頭より出世。行徳徳願寺を中興。1696年(元禄9年)12月22日死去。然蓮社自誉風岳覚道。
• 13：学誉通尖：（?-1710）<>：大樹寺29。鴻巣勝願寺を経て1697年(元禄10年)10月23日、大樹寺住職。1710年(宝永7年)5月18日死去。正蓮社学誉直脱通尖。
• 14：懐誉沢秀：（1649-1707）<>：知恩寺42。勝願寺を経て1706年(宝永3年)11月17日、知恩寺に晋山。1707年(宝永4年)6月1日死去。念蓮社懐誉信志沢秀。弁蓮社とも。
• 15：瑞誉欣説：（?-1713）<>：宝台院。1713年(正徳3年)12月21日死去。光蓮社瑞誉即到欣説。
• 16：常誉在円：（?-1713）<>：1713年(正徳3年)12月22日死去。雲蓮社常誉伝阿在円。
• 17：延誉祐頓：（?-1721）<>：松平少将越前守の子。祐天の弟子。天徳寺に移る。1721年(享保6年)12月18日死去。常蓮社延誉一実祐頓。
• 18：到誉順教：（?-1735）<>：金戒光明寺に晋山。1735年(享保20年)10月8日死去。清蓮社到誉速開順教。
• 19：暦誉知秀：（?-1741）<>：大樹寺32世。1723年(享保8年)12月12日鴻巣勝願寺住職。1726年(享保11年)11月26日、大樹寺住職。1741年(寛保1年)9月17日死去。1741年(寛保1年)9月17日死去。金蓮社暦誉常阿知秀。
• 20：静誉随阿：（?-1731）<>：1731年(享保16年)8月15日死去。寂蓮社静誉故順随阿。
• 21：央誉大円：（生没年不詳）<>：元文10年（？）10月15日死去。紅蓮社央誉敬阿大円。
• 22：任誉春恕：（?-1743）<>：1743年(寛保3年)5月2日死去。了蓮社任誉演阿春恕。
• 23：鏡誉円貞：（?-1765）<>：天徳寺に移る。1765年(明和2年)11月11日死去。勝蓮社鏡誉信阿円貞。
• 24：嶺誉快全：（?-1751）<>：1751年(宝暦1年)10月4日死去。光蓮社嶺誉海阿快全。
• 25：法誉碩巌：（?-1764）<>：伝通院伴頭より出世。清浄華院53。1764年(明和1年)11月15日死去。称蓮社法誉専阿碩巌。仏寿 。
• 26：忍誉秀教：（?-1772）<>：新田大光院36に移る。1772年(安永1年)11月8日死去。得蓮社忍誉相阿秀教。
• 27：携誉瑞厳：（?-1767）<>：1767年(明和4年)11月11日死去。黄蓮社携誉宣阿瑞厳。
• 28：現誉満空：（1719-1796）<>：飯沼弘経寺51。鎌倉光明寺73。増上寺51。増上寺学頭。大蓮社現誉身阿満空在心。 のち中蓮社。
• 29：性誉妙瑞：（?-1787）<>：飯沼弘経寺53。増上寺学頭、1773年7月、鴻巣勝願寺34世、1781年閏5月飯沼弘経寺53世。法蓮社性誉本阿大空妙瑞。
• 30：仁誉遵海：（）<>：大樹寺に移る（？）。崇蓮社仁誉遵海。
• 31：光誉了回：（?-1802）<>：新田大光院45。明蓮社光誉慈航了回。
• 32：英誉大演：（?-1801）<>：1801年(享和1年)死去。俊蓮社英誉弘願海大演。
• 33：空誉舜従：（?-1822）<>：増上寺58世。鴻巣勝願寺38、鎌倉光明寺82世。勝願寺を経て新田大光院48世に移る。1822年(文政5年)4月23日死去。本蓮社空誉常照舜従。本蓮社空誉舜従。
• 34：勇誉寂然：（1767-1837）<>：知恩寺56。勝願寺を経て1819年(文政2年)3月28日、知恩寺に晋山。猛蓮社勇誉寂然。勇誉寂念とも。
• 35：朝誉香堂：（?-1823）<>：1823年(文政6年)死去。晨蓮社朝誉香堂。
• 36：玉誉祖民：（）<>：金蓮社玉誉祖民。
• 37：光誉顕妙：（）<>：香蓮社光誉顕妙。
• 38：万誉顕道：（1790-1858）<>：知恩院71世。徳蓮社万誉顕道。
• 39：随誉俊光：（?-1874）<>：漆間俊光。霊巌寺30。知恩院74世。伝通院60世。天蓮社随誉俊光。
• 40：弁誉厳城：（）<>：霊巌寺32。成蓮社弁誉厳城。
• 41：貫誉了道：（1821-1891）<1866-1873>：久保了道。大樹寺51。1866年(慶応2年)8月25日勝願寺。1873年(明治6年)4月6日大樹寺住職。妙蓮社貫誉了道。
• 42：厚誉了寛：（1829-1898）<1873-1892>：久保了寛。清浄華院67。1873年(明治6年)勝願寺住職。1892年(明治25年)伝通院住職。1894年(明治27年)清浄華院に晋山。信蓮社厚誉忠阿了寛龍水。
• 43：？：（）<>：
• 44：？：（）<>：
• 45：藤田寛随：（1875-1941）<1915->：1875年(明治8年)生。東京帝国大学卒。1915年(大正4年)勝願寺住職。栴檀香院粛蓮社夾誉卓阿維石。
• 46：？：（）<>：
• 47：藤田寛海：（1915-1991）<>：
• 48：藤田得三：（1932-）<>：1932年(昭和7年)生。群馬大学卒。埼玉県仏教会会長。

資料

• 古事類苑[3]
• 『鴻巣勝願寺志』[4]
• 『集古十種』「武蔵国足立郡登田村松岡山勝願寺旧地碑」[5]
• 勝願寺文書[6]
• 福田行誡1883「勝願寺再建募縁簿序」[7]
• 山口蘿窓1953「勝願寺の聖衆來迎図について」[8]
• 山本秋広1968「鴻巣勝願寺の伊奈備前の墓」[9]
• 1969『鴻巣市話』「一里塚の構築鴻巣勝願寺の完成と文化財」[10]
• 1969『鴻巣市話』「勝願寺のお十夜」[11]
• 1987『鴻巣町史』「勝願寺」[12]
• 岡田賢治1989「史料紹介 埼玉県鴻巣市登戸勝願寺採集の中世陶器について」[13]
• 有元修一1996「天照山勝願寺」[14]
• 真山剛2000「寺院紀行埼玉鴻巣勝願寺」[15]

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