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高山寺
出典:安藤希章著『神殿大観』(2011-)
高山寺
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'''高山寺'''(こうざんじ)は、京都府京都市右京区栂尾にある、[[明恵]]ゆかりの[[真言宗]]・[[南都仏教]]の寺院。[[華厳宗]]中興の明恵の墓がある。単立。'''日出先照高山之寺'''と称す。通称は'''栂尾高山寺'''。山号は栂尾山。鎮守は春日神社。[[近衛家]]が氏寺の一つとした。[[神護寺関連旧跡]]。(参考:同名寺院[[高山寺_(同名)]]) == 歴史 == [[file:Kokudo0242.jpg|thumb|300px|高尾周辺(神護寺・西明寺・高山寺)(国土地理院空中写真より)]] ===古代=== 774年光仁天皇の勅願で創建。神願寺都賀尾坊と称したという。 [[明恵]]中興以前の歴史は不詳。[[神護寺]]の別所として始まったとみられる。平安時代初期の『尊意贈僧正伝』によると、[[尊意]]が「度賀尾寺」に入り修行したというがその後の歴史ははっきりしない。 神護寺[[文覚]]が復興したともいう。 ===中世=== *1203年:明恵、春日明神が夢告してインド渡海を諫めたという。住吉明神も同時か。 *1204年9月:明恵、槙尾に住す。 *1205年12月:明恵、紀伊国在田に春日住吉神影を祀る祠を建てたという。 *1206年(建永1年)11月、明恵は[[後鳥羽上皇]]の院宣を得て華厳宗の拠点として復興。勅額賜る。この頃、九条兼実邸で修法 *1207年:明恵、東大寺尊勝院学頭となる。 *1215年夏:練若台 *1216年秋:[[仁和寺]]の覚暹が石水院を建立。 *1218年秋:明恵、本尊釈迦如来を携え、栂尾から賀茂に移る。のち戻る。 *1219年(承久1年)、金堂落慶。 *1223年:賀茂の房舎を引き払い、栂尾に移築 *1225年(嘉禄1年)から説戒会を始め、人々が集まった。 *1225年8月16日:白光善妙神像奉納。春日神も祀る *1228年7月:石水院、水難。禅堂院に移す *1229年、阿弥陀堂、西経蔵建立。鎮守社を宝殿の西山の傍らに移す。冬、三加禅を営む *1230年(寛喜2年)閏1月:神護寺との境界が太政官牒により定められた。当時のものとみられる「神護寺絵図」と「高山寺絵図」が現存。本堂、阿弥陀堂、羅漢堂、経蔵、三重塔、鐘楼、鎮守社3社、大門が描かれている。 *1230年三加禅を禅堂院に移して禅河院と称する *1232年1月頃:宣陽門院、三重塔のため野口庄埴生6町を寄進 *1232年:明恵、置文。死去 *1232年:戒光尼(中御門宗行室)、別院として[[善妙寺]]を創建(現在は跡地に浄土宗為因寺がある)。 *1235年:石水院(東経蔵がその名を継承)に春日神・住吉神を祀った。御霊代は画像でその写本と見られる画像2幅が現存。のち興福寺の要請で「栂尾開帳」が行われるようになった。 *1238年:鎮守社に住吉神を祀る。 *1250年:霊典、建長目録を編纂 *1253年:高信、『高山寺縁起』を記す ===近世=== *1547年(天文16年)閏7月、細川晴元の兵に焼かれる。 *1585年(天正13年)、[[豊臣秀吉]]から朱印地58石寄進。江戸時代には85石。 *江戸時代、近世の戒律復興運動の先駆者となる[[明忍]]らが高山寺で自誓受戒。 *1634年(寛永11年)、[[仁和寺]]金堂を移築して高山寺金堂としたのが現在の伽藍。 *1636年ごろ:秀融・永弁が開山堂を復興。 *慶安年間:永弁、十無尽院を復興 *1717年:御廟、開山堂、禅堂院、宝性院など焼失。 *1723年:開山堂再建。のち御廟再建 *天保年間:慧友、堂坊を修理。文書整理 *1831年:慧友、明恵600年遠忌 *1868年:この頃、「華厳宗本山高山寺」と称する。 *1872年:真言宗所轄となる。仁和寺末となる。 *1881年:火災 *1889年:石水院を三尊院跡の現在地に移築。 *1931年1月19日:覚了、明恵700年遠忌 *1966年:単立 *1968年:高山寺典籍文書綜合調査団設立。 *1969年:太鼓台道場建設 (国史大辞典、日本歴史地名大系、『図録鳥獣戯画と高山寺』) ==伽藍== *金堂:本尊は[[釈迦如来]]。現在の金堂は1634年(寛永11年)に[[仁和寺真光院]]から移したもの。1219年(承久1年)造営の旧本堂の本尊は[[盧舎那仏]]だった。 *阿弥陀堂:廃絶 *羅漢堂:廃絶 *開山堂:本尊は[[明恵]]。鎌倉時代の木像で、等身大とされる。黒衣に袈裟を掛けて念珠を両手で持つ。堂宇は江戸時代の再建。 *明恵墓:開山廟。廟の中に五輪塔を納める。 *春日社:金堂の隣にある。 *東経蔵:現在の石水院。 *西経蔵:廃絶 *如法経塔: *宝篋印塔 *宝塔: *仏足石: *法鼓台文庫: *法鼓台道場 *書院 *茶園: *遺香庵:茶室。 山中に明恵が修行した華宮殿、羅婆房、定心石、縄床樹、遺跡窟があったというが不詳。 <Gallery> file:高山寺001.JPG| file:高山寺002.JPG| file:高山寺003.JPG| file:高山寺004.JPG| file:高山寺005.JPG| file:高山寺006.JPG| file:高山寺007.JPG| file:高山寺008.JPG| file:高山寺009.JPG| file:高山寺010.JPG| file:高山寺011.JPG| file:高山寺012.JPG| file:高山寺013.JPG| file:高山寺014.JPG| file:高山寺015.JPG| file:高山寺016.JPG| file:高山寺017.JPG| file:高山寺018.JPG| file:高山寺019.JPG| file:高山寺020.JPG| file:高山寺021.JPG| file:高山寺022.JPG| file:高山寺023.JPG| file:高山寺024.JPG| file:高山寺025.JPG| file:高山寺026.JPG| file:高山寺027.JPG| file:高山寺028.JPG| file:高山寺029.JPG| file:高山寺030.JPG| file:高山寺031.JPG| file:高山寺032.JPG| file:高山寺033.JPG| </Gallery> ==子院== *禅河院:廃絶 *宝性院:廃絶 *石水院:子院としては廃絶か。現在の建物は東経蔵を改造。春日・住吉明神を祀っていた時期もある。1889年に現在地に移築。後鳥羽上皇勅額「日出先照高山之寺」、富岡鉄斎筆「石水院」の額を掲げる。西室には善財童子像、主室には観音像、明恵絵像などを祀る。 *禅堂院:廃絶。明恵がなくなったところ。 *十無盡院:閼伽井坊。中心的な子院だった。現在の茶園の位置にあったという。義林房喜海(高山寺学頭)が創建。恵月、恵林、了月、林明、了恵、禅証、行英、慶俊、明円が継承。16永弁が中興。22慧友僧護(1775-1853)。廃絶。 *方便智院:東坊。空達房定真(高山寺寺主)が創建。仁真、仁弁、弁耀、仁耀、然真、弁季、観明、明律、兼真と継承された。廃絶。 *覚薗院:池坊。義淵房霊典(高山寺知事)が創建。明悟、顕恵、照空、信明、義顕、定明、院禅と継承。廃絶。 *三尊院:尾崎坊。円道房信慶(高山寺説戒師)が創建。明寂、浄林、練明、信証、法乗と継承。12世秀融が中興。廃絶。 *善財院:田中坊。法智房性実(高山寺説戒師)が創建。証淵、相明、朗智、想淵、朗明、真祐、竺誉と継承。廃絶。 *観海院:中坊。仁和寺法助の住房となったこともある。上見、観恵、道明、明観、観禅、明浄、浄栄、良祐と継承。廃絶。 *報恩院:山本坊。明順が創建。明信、道恵、良明、道禅、英明、理浄と継承。廃絶。 *西本坊:敬恵、心輪、仁恵、信空、教空、了空と継承。廃絶。 *北坊:明願、尊寂、円空、明融、尊恵、了察、教真と継承。廃絶。 *清水坊:十恵、十蜜、証性、証恵、順空、行順、観乗、真耀、〓学と継承。廃絶。 *妙峰山:乗信、恵信、乗悟と継承。廃絶。 *山坊:禅性、慈空、良淳、宗祐と継承。廃絶。 *入江坊:乗蓮房とも。法淳、真誉、光誉、光秀と継承。廃絶。 *歓喜園寺:廃絶。麓にあった。明恵に帰依した富小路盛兼が建てた庵。 ==組織== ===住職=== *尊意 *文覚 *明恵 *慧友僧護? *錦小路証成(1811-?)<>: *土宜法龍(1854-1923)<>:仁和寺門跡。真言宗各派連合総裁。高野派管長。 *土宜覚了()<>:1931年(昭和6年)在職 *小川義章(1891-1969)<>:1969年(昭和44年)2月21日死去。77歳。遺稿集『高山寺義章和尚抄録』。 *葉上照澄()<>: *小川千恵(1929-2015)<1991-2015>:小川義章の娘。1929年(昭和4年)生。1945年(昭和20年)、東京女子高等師範学校附属高等女学校卒。1991年(平成3年)山主。2015年(平成27年)8月10日死去。86歳。千恵子。 *田村恵心()<>: ===執事長=== *田村裕行(): ==資料== ===古典籍・史料=== *『高山寺資料叢書』:第23冊まで刊行 *『高山寺典籍文書綜合調査団研究報告論集』:継続中 [[category:京都府]]
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