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キリスト教の聖人信仰

出典:安藤希章著『神殿大観』(2011-)

2015年4月4日 (土) 時点におけるWikiSysopKARASUYAMA (トーク | 投稿記録)による版
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概要

聖人信仰(Saint)は、キリスト教において、偉大な信仰の験を示した人物を神の恩寵を受けた人物として崇拝する信仰。表向き、一神教を標榜するキリスト教の、もう一つの信仰の系譜である。約4500人が認められているという。迫害にあたって殉教したり、病気平癒などの奇跡を起こしたりした人物が認められる。

そもそも現在のキリスト教の聖堂は、殉教者の地下墓から始まっている。カトリックオーソドックスなどでは、現在も聖堂の祭壇に聖人の遺骨や遺品などの「聖遺物」の存在は不可欠とされており、これがなければ聖体拝領聖餐)などの儀礼が行えず、聖人信仰はキリスト教の信仰の根幹を担っているとすら言える。中世ヨーロッパでは聖遺物崇拝が熱狂的な注目を集め、各地の教会で売買や略奪が盛んに行われた。

ジョン、トムなど欧米系人名の多くが聖人に由来するなど、人々の間に信仰は浸透し、サンチャゴ・デ・コンポステーラなど、キリスト教の聖地の多くも聖人ゆかりの地である。それぞれの聖人に祭日が定められているが、名を知られない多くの聖人のための記念日万聖節があり、その前夜祭はハロウィンとして著名である。

聖人に対しては日常の生活の平穏を祈るなど、現世利益的な祈願が多く、多神教的な性格を示すその実態は、崇拝と崇敬は異なるという理屈付けがなされるが、キリスト教内部の護教学的な説明であり、他宗教と比較して同様の習慣に区別する理由はなく、客観的には採用できない。抽象的な思考を優先する聖職者の間では、神学的な難問となり、聖人信仰を否定する教派もあるが、一般の信者においては、生活を守護する身近な霊的存在として重要な信仰となっている。ヨーロッパなどでのキリスト教以前の神々への信仰が形を変えて伝わったものであるという見解もある。

多大な功績を挙げた聖職者や模範的な信徒を崇拝するという信仰は、イスラム教仏教神道など多くの宗教で一般的に行われている。理念や政治的弾圧に殉じた人物を崇拝し、信者を鼓舞するという点では、日本の靖国神社の信仰に近いが、キリスト教では殉教者の記念日は「喜びと勝利の祭典」とされ、殉教を神の権威を示す奇跡と見なし、純粋な祝事とされ、靖国神社と違い、惨事の犠牲者を追悼する慰霊の性格は持たないとされる。

誰が聖人とされるかは教派によって異なり、世界的な信仰を受ける聖人と、地域的な信仰を受ける聖人の区別もある。聖人とされた理由の違いによって、殉教者証聖者に区別される。

教会が聖人に公認することを列聖と呼ぶ。かつては人々の支持から慣習的に認められ、教会暦に記念日が記載されたのをもって事実上の公認となっていた。カトリックでは、近世から非常に厳格な認定基準と手続きが定められており、聖人と認定される前にその前段階として尊者福者(blessed)がある。教皇庁には列聖審査のための列聖省という専従の部署が置かれている。


歴史

参考文献

  • ドナルド・アットウォーター、キャサリン・レイチェル・ジョン著、山岡健訳、1998『聖人辞典』三交社
  • カトリック中央協議会ウェブサイト
http://shinden.boo.jp/wiki/%E3%82%AD%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E6%95%99%E3%81%AE%E8%81%96%E4%BA%BA%E4%BF%A1%E4%BB%B0」より作成

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