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木葉山
出典:安藤希章著『神殿大観』(2011-) 最終更新:2022年9月17日 (土)
木葉山は中国内モンゴル自治区赤峰市にある霊山。契丹民族の聖地。シラムレン川とラオハ川の合流地点あたりにあったと思われるが、所在地には諸説ある。山自体を神格化したわけではなく(異説あり)、元々は常設の神殿があったわけでもないという。遼朝の国家祭祀も参照。
皇帝が行う最重要の国家祭祀として恒例の拝山の儀(拝山礼、祭山儀)と、臨時の柴册儀が行われた。遼の太祖(遼史に太宗とあるのは誤り)の耶律阿保機が幽州大悲閣から遼皇室の守護神である白衣観音を木葉山の廟に移したという。これは菩薩堂、木葉山廟、木葉山神廟と呼ばれたものに該当すると思われる。
拝山の儀(拝山礼、祭山儀)は、漢民族王朝の郊祀に相当する最も重要な国家祭祀だった。春秋の二度行われ、白馬青牛を供えた。自然の樹木を用いた臨時の祭壇を用いた(木葉山廟は用いなかったか)。祭神は天神地祇だが、北方民族が地祇を祀るのは珍しいという。 興宗の時代に礼書が編纂され、漢民族の祭祀も取り入れられたが本質的な部分に変更はなかったという。
柴册儀は皇帝即位にともなう儀礼。聖宗以後は漢王朝式の受册儀が行われたので、柴册儀は功臣に対する恩命加受に際して行われた。天神地祇に加えて太祖、太宗、世宗、穆宗、景宗、聖宗、興宗の七祖と、赤嬢子という伝説上の祖先の木像を祀った。これらの木像は普段は木葉山廟に奉安されており、儀式の際に運び出したという。