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ナショナリズム
出典:安藤希章著『神殿大観』(2011-)
ナショナリズム(国家主義、国民主義、Nationalism)は、言語や宗教などの文化を共有すると想定される民族・民衆による政府が、他国に干渉されずに主権を行使できる相互に排他的な領土と国民を持つべきだと考える近代の政治・宗教思想。文化を共有する人々を団結させ、国(政府、企業、文化、メディア)の影響力を極限まで拡張しようとする傾向がある一方、運命共同体として文化の共有を求めるため、多様な出自の人々を画一的な文化に同化させようとする傾向があると言われる。国語、国民、国教、国境、国祖、国文学、国史、国学、国歌、国旗、国体などが象徴として用いられた。共産主義・社会主義は当初、ナショナリズムを批判したが、ソビエト連邦の成立で、ナショナリズムを導入した。20世紀後半以降、グローバリズム(「小さな政府」思想、超国家企業、ネオリベラリズム)の台頭で衰退が進んでいる(タックスヘイブンはその典型)。
概要
ベネディクト・アンダーソンらによると、外的には戦争やオリンピック、新聞、テレビなどのマスメディア(特に小説)、学校教育、選挙などを通じて形成されたという。各個人が一対一の関係の連鎖の延長上に、国家や市などの政治集団を形成していた前近代とは異なり、一君万民のように共有の象徴のもとに同質な国民が統合されていると考えるのが特徴とされる(いわゆる「想像の共同体」)。神話の神々、君主、武将など過去の歴史的英雄、現代の政治指導者、また戦没者や事件災害犠牲者への顕彰・祭祀(慰霊)が重視され、そのための施設がそれぞれの国で建造された。
日本では、伝説的な国祖として神武天皇を祀る橿原神宮、近代国家の国祖として明治天皇を祀る明治神宮が建てられた。また湊川神社などの歴史的英雄の顕彰施設、近代国家の英雄・戦没者を祀る靖国神社、千鳥ケ淵戦没者墓苑、忠魂祠堂などが創建された。神社を多く例示したが、神社だけとは限らず、仏教やキリスト教の施設も含まれる。