ようこそ『神殿大観』へ。ただいま試験運用中です。 |
インドの仏教石窟寺院
出典:安藤希章著『神殿大観』(2011-)
(版間での差分)
(ページの作成:「{|class="wikitable" style="width:800px;margin:0 auto;" |- | style="text-align:center;background-color:#ededed"|'''インドの仏教石窟寺院 ''' |- | *[[目次#仏...」) |
|||
24行: | 24行: | ||
==歴史== | ==歴史== | ||
==系譜== | ==系譜== | ||
- | + | {|class="wikitable" | |
- | + | |+ | |
+ | !style="width:20%"|寺院名 | ||
+ | !style="width:20%"|行政区画 | ||
+ | !style="width:20%"|町名 | ||
+ | !style="width:40%"|備考 | ||
+ | |- | ||
+ | |[[アジャンター石窟寺院]] | ||
+ | |マハーラーシュトラ州 | ||
+ | |アジャンター | ||
+ | |全部で29窟ある。チャイティヤ窟は5窟のみで、他は総て僧室窟。未完の窟が11窟ある。造られた時期から前期と後期に別れ、前期は小乗期で第8~13窟(第11窟を除く)がそれにあたり、サータヴァーハナ朝の前2世紀から造られて、2世紀に中断された。後期はヴァーカータカ朝の5世紀に始まり、7世紀に放棄された。僧侶のみでは彫刻・装飾の製作維持ができないとおもわれることから、王侯貴族や商人たちの援助があったものと推定されている。第19窟がもっとも成熟した姿を見せる石窟寺院となっている。アジャンター石窟寺院は、1819年に狩猟をしていたイギリスの士官によって発見された。 | ||
+ | |- | ||
+ | |[[エローラ石窟寺院]] | ||
+ | |マハーラーシュトラ州 | ||
+ | |エローラ | ||
+ | |仏教窟(第1~12窟)、ヒンドゥー窟(第13~29窟)、ジャイナ窟(第30~34窟)が並んでいる。6~9世紀にかけて造られ、仏教窟かヒンドゥー窟がもっとも古く、ジャイナ窟が最も遅い。仏教窟は7~8世紀に造られ、アジャンターより時代が下り、仏教石窟寺院としては最後期のものである。第10窟が唯一のチャイティヤ窟である。僧室窟では部屋数が減り、仏殿風のものが増える。簡素なものもあり、衰退を見せているといえるという。最初、仏教窟として造られ始めたものが、途中でヒンドゥー窟に変更されたものもあるという。ヒンドゥー窟では、第16窟のカイラーサ寺院が有名。 | ||
+ | |- | ||
+ | |[[アウランガーバード石窟寺院]] | ||
+ | |マハーラーシュトラ州 | ||
+ | |アウランガーバード | ||
+ | |2群に別れ、5窟ずつある。第4窟のチャイティヤ窟のみ紀元前後に造られ、他は5~7世紀に造られた僧室窟である。第6窟と第7窟は仏堂を中心として繞道が取り囲んでおり、仏殿式の仏教窟末期の姿を見せる。 | ||
+ | |- | ||
+ | |[[ピタルコラー石窟寺院]] | ||
+ | |マハーラーシュトラ州 | ||
+ | |ピタルコラー | ||
+ | |全部で13窟ある。サータヴァーハナ朝によって紀元前2世紀~後1世紀にかけて造営された。第3窟がチャイティヤ窟となっている。 | ||
+ | |- | ||
+ | |[[バーンドゥ・レナ石窟寺院]] | ||
+ | |マハーラーシュトラ州 | ||
+ | |ナーシク | ||
+ | |全部で24窟あり、チャイティヤ窟は第18窟のみである。前1世紀に造られ始めた。3世紀まで続き、5世紀まで維持されたらしい。第3窟(2世紀)は僧室窟であるにも関わらず、中央ホール正面奥に大きなストゥーパのレリーフがあり、仏殿化の端緒が見える。 | ||
+ | |- | ||
+ | |[[ジュンナール石窟寺院]] | ||
+ | |マハーラーシュトラ州 | ||
+ | |ジュンナール | ||
+ | |シヴネル要塞の周囲に3群に分かれてあり、東にブータ・レナ石窟、西にトゥルジャ・レナ石窟、川を挟んで北側にガネシャ・レナ石窟がある。全部で100窟を越え、ほとんどは小さな僧室窟である。第7窟の僧室窟と第6窟のチャイティヤ窟が代表的である。 | ||
+ | |- | ||
+ | |[[カンヘーリー石窟寺院]] | ||
+ | |マハーラーシュトラ州 | ||
+ | |カンヘーリー | ||
+ | |全部で109の石窟からなる。2~9世紀に造られたがほとんどは小規模な僧室窟。 | ||
+ | |- | ||
+ | |[[ベドサー石窟寺院]] | ||
+ | |マハーラーシュトラ州 | ||
+ | |ベドサー | ||
+ | |1世紀ごろの造営。チャイティヤ窟よりも僧室窟のほうが装飾的という。 | ||
+ | |- | ||
+ | |[[バージャー石窟寺院]] | ||
+ | |マハーラーシュトラ州 | ||
+ | |バージャー | ||
+ | |最初期の仏教石窟。前2~1世紀にかけて造られた。チャイティヤ窟と僧室窟にわかれているが、いずれも形式的完成を見ていない。チャイティヤ窟の第12窟には、入口に障壁がなく、木製の扉があったものと推測される。 | ||
+ | |- | ||
+ | |[[カールリー石窟寺院]] | ||
+ | |マハーラーシュトラ州 | ||
+ | |カールリー | ||
+ | |120年ごろの造営。10ほどの石窟がある。そのうち、唯一のチャイティヤ窟は「石窟寺院の最高傑作」(神谷武夫)という。 | ||
+ | |- | ||
+ | |[[ジュナーガド石窟寺院]] | ||
+ | |グジャラート州 | ||
+ | |ジュナーガド | ||
+ | |3~4世紀の石窟寺院。ウパルコット城内の石窟と、カプラ・コディア石窟の二箇所あるほか、ジャイナ教石窟寺院のバーバーピャーラ石窟がある。僧室がほとんどで、ウパルコット城内石窟に柱や壁にアルカイックな彫刻がある。 | ||
+ | |- | ||
+ | |[[ダルマラジェシュワール石窟寺院]] | ||
+ | |マディヤ・プラデシュ州 | ||
+ | |ダムナール | ||
+ | |4~5世紀に造られた石窟寺院が50寺ほどある。また8~9世紀に、台地を掘り下げて造った石彫寺院のダルマナータ寺院もある。 | ||
+ | |} | ||
==画像== | ==画像== | ||
==参考文献== | ==参考文献== |
2012年9月15日 (土) 時点における版
インドの仏教石窟寺院 |
目次 |
概要
歴史
系譜
寺院名 | 行政区画 | 町名 | 備考 |
---|---|---|---|
アジャンター石窟寺院 | マハーラーシュトラ州 | アジャンター | 全部で29窟ある。チャイティヤ窟は5窟のみで、他は総て僧室窟。未完の窟が11窟ある。造られた時期から前期と後期に別れ、前期は小乗期で第8~13窟(第11窟を除く)がそれにあたり、サータヴァーハナ朝の前2世紀から造られて、2世紀に中断された。後期はヴァーカータカ朝の5世紀に始まり、7世紀に放棄された。僧侶のみでは彫刻・装飾の製作維持ができないとおもわれることから、王侯貴族や商人たちの援助があったものと推定されている。第19窟がもっとも成熟した姿を見せる石窟寺院となっている。アジャンター石窟寺院は、1819年に狩猟をしていたイギリスの士官によって発見された。 |
エローラ石窟寺院 | マハーラーシュトラ州 | エローラ | 仏教窟(第1~12窟)、ヒンドゥー窟(第13~29窟)、ジャイナ窟(第30~34窟)が並んでいる。6~9世紀にかけて造られ、仏教窟かヒンドゥー窟がもっとも古く、ジャイナ窟が最も遅い。仏教窟は7~8世紀に造られ、アジャンターより時代が下り、仏教石窟寺院としては最後期のものである。第10窟が唯一のチャイティヤ窟である。僧室窟では部屋数が減り、仏殿風のものが増える。簡素なものもあり、衰退を見せているといえるという。最初、仏教窟として造られ始めたものが、途中でヒンドゥー窟に変更されたものもあるという。ヒンドゥー窟では、第16窟のカイラーサ寺院が有名。 |
アウランガーバード石窟寺院 | マハーラーシュトラ州 | アウランガーバード | 2群に別れ、5窟ずつある。第4窟のチャイティヤ窟のみ紀元前後に造られ、他は5~7世紀に造られた僧室窟である。第6窟と第7窟は仏堂を中心として繞道が取り囲んでおり、仏殿式の仏教窟末期の姿を見せる。 |
ピタルコラー石窟寺院 | マハーラーシュトラ州 | ピタルコラー | 全部で13窟ある。サータヴァーハナ朝によって紀元前2世紀~後1世紀にかけて造営された。第3窟がチャイティヤ窟となっている。 |
バーンドゥ・レナ石窟寺院 | マハーラーシュトラ州 | ナーシク | 全部で24窟あり、チャイティヤ窟は第18窟のみである。前1世紀に造られ始めた。3世紀まで続き、5世紀まで維持されたらしい。第3窟(2世紀)は僧室窟であるにも関わらず、中央ホール正面奥に大きなストゥーパのレリーフがあり、仏殿化の端緒が見える。 |
ジュンナール石窟寺院 | マハーラーシュトラ州 | ジュンナール | シヴネル要塞の周囲に3群に分かれてあり、東にブータ・レナ石窟、西にトゥルジャ・レナ石窟、川を挟んで北側にガネシャ・レナ石窟がある。全部で100窟を越え、ほとんどは小さな僧室窟である。第7窟の僧室窟と第6窟のチャイティヤ窟が代表的である。 |
カンヘーリー石窟寺院 | マハーラーシュトラ州 | カンヘーリー | 全部で109の石窟からなる。2~9世紀に造られたがほとんどは小規模な僧室窟。 |
ベドサー石窟寺院 | マハーラーシュトラ州 | ベドサー | 1世紀ごろの造営。チャイティヤ窟よりも僧室窟のほうが装飾的という。 |
バージャー石窟寺院 | マハーラーシュトラ州 | バージャー | 最初期の仏教石窟。前2~1世紀にかけて造られた。チャイティヤ窟と僧室窟にわかれているが、いずれも形式的完成を見ていない。チャイティヤ窟の第12窟には、入口に障壁がなく、木製の扉があったものと推測される。 |
カールリー石窟寺院 | マハーラーシュトラ州 | カールリー | 120年ごろの造営。10ほどの石窟がある。そのうち、唯一のチャイティヤ窟は「石窟寺院の最高傑作」(神谷武夫)という。 |
ジュナーガド石窟寺院 | グジャラート州 | ジュナーガド | 3~4世紀の石窟寺院。ウパルコット城内の石窟と、カプラ・コディア石窟の二箇所あるほか、ジャイナ教石窟寺院のバーバーピャーラ石窟がある。僧室がほとんどで、ウパルコット城内石窟に柱や壁にアルカイックな彫刻がある。 |
ダルマラジェシュワール石窟寺院 | マディヤ・プラデシュ州 | ダムナール | 4~5世紀に造られた石窟寺院が50寺ほどある。また8~9世紀に、台地を掘り下げて造った石彫寺院のダルマナータ寺院もある。 |
画像
参考文献
- 神谷武夫『インド建築案内』