伊勢・宇治神社

出典：安藤希章著『神殿大観』（2011-）最終更新：2023年1月21日 (土)

宇治神社は三重県伊勢市宇治今在家町（伊勢国度会郡）にある神社。祭神は大山祇神・天見通命・弥武彦神ほか。宇治の産土神社。荒木田氏の祖神を合祀。伊勢神宮関連旧跡。（参考：同名神社宇治神社_(同名)）宇治橋前広場の南側にある。北側には津長神社、合格神社、饗土橋姫神社、林崎文庫、大水神社がある。

皇大神宮末社の那自売神社の旧地に祀られたとも、1658年(万治1年)の洪水のとき、神路山から流されてきた祠を祭ったのが起源ともいう。

かつては中之切の森にあり、「饗土の山神社」「宇治山神社」などと称した。1883年(明治16年)8月、元不動堂明王院（法楽舎別院明王院）の鎮守の弓場天神を遷座し境内社となった。

1908年(明治41年)3月、周辺の16の神社を合祀。同年7月、また荒木田一門氏神社を合祀。さらに1910年(明治43年)12月に現在の丸山の地に遷座した。1912年(大正1年)、境内社の弓場天神も本社に合祀した。

合祀された神社には、荒木田一門氏神社のほか、求神社、崇忠神社などがあった。

合祀神社

宇治山神社：
弓場天神：不動堂明王院の鎮守だった。1883年(明治16年)8月、遷座し境内社となった。1912年(大正1年)本社に合祀した。
荒木田一門氏神社：荒木田氏（一門）の氏神。小社村から岩井田に遷座。皇大神宮の所管社だったが、1872年(明治5年)6月度会県に移管。1908年(明治41年)7月、宇治神社に合祀
守武霊社：荒木田守武（薗田守武、弥武彦神霊）（1473-1549）を祀る。正保年間、守武の三世の孫荒木田守任が自邸内に創建。守武の遺稿などを納めた。遺徳を慕うものが増えたことにより、1757年(宝暦7年)9月、岩井田に遷座した。荒木田一門氏神社の境内社となった。祀られていた守武像が現存する。
求神社：内宮内にあった末社遥拝所のひとつとも言われ、御裳須曾姫命を祀る。
崇忠神社：菅原道真、和気清麿、楠正成、天児根命、大織冠鎌足を祀る。もとは神宮御師の太郎館家邸の邸内社。天神社に1868年(明治1年)10月18日、浦田町太郎館季賢邸に祀られていた和気清麿と楠正成の霊を合祀して崇忠神社と称した。さらに1880年(明治13年)、太郎館邸の天児根命、大織冠鎌足を合祀した。
玉鉾神社：太郎館季賢邸に祀られていた、荷田東麿、賀茂真淵、本居宣長、平田篤胤の霊代を末社とし、1887年(明治20年)、玉鉾神社と称した。1900年(明治33年)、瀧倉神社に遷座した。
瀧倉神社：玉移良比女神を祀る。このあたりにあった野上寺（廃絶）の鎮守。皇大神宮末社の葦立弖神社の旧地ともいう。
鏡石神社：もと今在家にあった。新川比売命。皇大神宮の所管だった。1873年(明治6年)、度会県に移管。
石津賀神社：もと今在家にあった。祭神は不詳。皇大神宮の所管だった。1873年(明治6年)、度会県に移管。