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古代エジプトの宗教
出典:安藤希章著『神殿大観』(2011-)
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+ | **第2王朝時代:[[ヘリオポリス]]を中心とした[[ラー信仰]]が興隆。 | ||
+ | **[[ホルス信仰]]が王の守護神として興隆。[[セト信仰]]と対立。 | ||
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+ | **第3王朝時代:ジェセル王がイムヘテプに[[サッカラ]]で初の[[サッカラのピラミッド|ピラミッド]](階段ピラミッド)を建立させる。 | ||
+ | **第4王朝時代:[[ギザ]]の三大ピラミッド建立 | ||
+ | **第5王朝時代:ラー信仰が最盛期。王の称号として「太陽神ラーの息子」が用いられ始める。 | ||
+ | *第1中間期 | ||
+ | **メンフィスと[[ヘラクレオポリス]]が興隆。 | ||
+ | *中王国時代 | ||
+ | **初めて[[テーベ]]が首都となり、テーベの[[メンチュウ信仰]]が興隆。 | ||
+ | **第12王朝時代:[[イチタウイ]]が首都となる。アメンエムハムト1世が[[アメン]]を王朝の守護神と定める。 | ||
+ | *第2中間期 | ||
+ | **[[アヴァリス]]を首都とする、シリア人による第15・16王朝(ヒクソス王朝)が成立。[[セト]]を[[バアル]]と同一視して信仰する。 | ||
+ | **第17王朝はテーベを首都とする。 | ||
+ | *新王国時代 | ||
+ | **第18王朝時代:テーベを首都とし、国家神とされたアメンを祀る[[カルナック神殿]]が重視されて、歴代国王が造営を繰り返した。ヌビアを植民地とする。国王が[[王家の谷]]に葬られる。 | ||
+ | **ハトシェプスト女王が、エジプト神殿建築の最高傑作と言われる自らの[[ハトシェプスト女王葬祭殿|葬祭殿]]を創建。 | ||
+ | **アメンヘテプ3世が[[ルクソール神殿]]を大規模に造営した。 | ||
+ | **紀元前1360年頃、アクエンアテン王が従来の信仰を禁止弾圧。[[アテン信仰]]のみを国家宗教とし、首都[[アマルナ]]など各地に神殿を創建させた。ツタンカーメン王が古都メンフィスを首都として定め、従来の信仰を復興させる。 | ||
+ | **第19王朝時代:[[ベルラメセス]]を首都とする。ラメセス2世が[[アブシンベル神殿]]などを創建。 | ||
+ | **第20王朝時代:カルナック神殿がテーベの支配権を握り、のち王朝とは別にアメン神権国家となる。 | ||
+ | *第3中間期 | ||
+ | **第21王朝は[[タニス]]を首都とする。 | ||
+ | **第25王朝時代:ヌビア人によるクシュ王朝が成立。 | ||
+ | **第26王朝は[[サイス]]を首都とする | ||
+ | *末期王朝 | ||
+ | **ペルシャの支配下に入る(第27・31王朝) | ||
+ | *末期王朝以降 | ||
+ | **ギリシアの[[アレキサンダー]]が占領。プトレマイオス朝。[[アレクサンドリア]]が首都となる。 | ||
+ | **[[セラピス信仰]]が興隆。帝国を通じ、[[ローマ]]など、地中海世界に広がる。 | ||
+ | **紀元前30年、ローマの属州となる。 | ||
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== 神々 == | == 神々 == | ||
*[[ラー]] 最高神の一柱。太陽神。 | *[[ラー]] 最高神の一柱。太陽神。 |
2015年5月1日 (金) 時点における版
目次 |
歴史
- 先王朝時代
- 紀元前3000年頃:ナルメルがエジプトを統一。
- 初期王朝時代
- 古王国時代
- 第1中間期
- メンフィスとヘラクレオポリスが興隆。
- 中王国時代
- 第2中間期
- 新王国時代
- 第18王朝時代:テーベを首都とし、国家神とされたアメンを祀るカルナック神殿が重視されて、歴代国王が造営を繰り返した。ヌビアを植民地とする。国王が王家の谷に葬られる。
- ハトシェプスト女王が、エジプト神殿建築の最高傑作と言われる自らの葬祭殿を創建。
- アメンヘテプ3世がルクソール神殿を大規模に造営した。
- 紀元前1360年頃、アクエンアテン王が従来の信仰を禁止弾圧。アテン信仰のみを国家宗教とし、首都アマルナなど各地に神殿を創建させた。ツタンカーメン王が古都メンフィスを首都として定め、従来の信仰を復興させる。
- 第19王朝時代:ベルラメセスを首都とする。ラメセス2世がアブシンベル神殿などを創建。
- 第20王朝時代:カルナック神殿がテーベの支配権を握り、のち王朝とは別にアメン神権国家となる。
- 第3中間期
- 末期王朝
- ペルシャの支配下に入る(第27・31王朝)
- 末期王朝以降
神々
- ラー 最高神の一柱。太陽神。
- オシリス 最高神の一柱。冥府・死者の神。来世信仰。
- セラピス オシリス信仰が発展。
- アメン 最高神の一柱。元はテーベの豊穣神。ラーと習合。
- アトゥム 最高神の一柱。天地創造の神。ラーと習合。
- プタハ 天地創造の神。職人の神。
- ホルス 皇祖神。天空神。オシリスあるいはラーの子。
- アテン 唯一神。太陽神。
- セト ホルスと王位をめぐって争う。
- アヌビス 冥界の神。ミイラづくりの神。
- イシス オシリスの妻。ホルスの母。
- ハトホル 鉱山の神。死の女神。
- クヌム ナイル川の神。羊の頭を持つ。
- セクメト プタハの妻。
- トト 知恵の神。トキの頭を持つ。
- アヌケト 水の女神。
- セベク ワニの頭を持つ。農耕神。
- ネイト 狩猟の女神。
- バステト 猫の頭。豊穣と月の女神。
- ミン 生殖の神。
- ムト アメンの妻。
- メンチュウ 軍神。
このほか、アポピス、アメミト、ケペリ、コンス、シュウ、セシャト、セルケト、タウレト、テフヌト、ヌン、ネフティス、ハピ、ベス、ベヌウ、マアト、メレトセゲルなどが信仰されていた。
国王など霊廟・陵墓
主な聖地と都市
メンフィス、テーベ(ルクソール)、アレクサンドリアが古代エジプトの三大都市とされる(近藤二郎氏)。
エジプト地方
上エジプト(南部)
- テーベ(ルクソール) 中王国・新王国のそれぞれ一時期の首都。古代での上エジプトの中心都市。アメンの聖地。
- イチタウイ 中王国後期の首都。
- エドフ
- ヘラクレオポリス
- ヘルモポリス
- アマルナ 新王国の一時期首都になった。
下エジプト(北部)
- メンフィス 初期王国・古王国と新王国一時期の首都。古代での下エジプトの中心都市。
- ギザ
- ダハシュール
- マイドゥーム
- アレクサンドリア 末期王朝以降の首都。古代末期から現代まで栄える。
- カイロ 現在のエジプト共和国首都。イスラム教世界の中心都市。
- ヘリオポリス
- レトポリス
- アヴァリス
- ペルラメセス 新王国末期の首都。
- タニス
- サイス 末期王朝の首都。
ヌビア地方
現在のエジプト共和国南部アスワン周辺からスーダン共和国にかけての地域。
上ヌビア(南部)
下ヌビア(北部)
その他の地中海地方
アスワンハイダム建設
アスワンハイダムの建設のため、多くの遺跡が水没したが、重要な遺跡の一部は国際協力により移設が行われた。
現存
- カスルイブリーム神殿は山の頂上にあったことから移築工事はされず、現在はナセル湖に浮かぶ島のようになっている。
水没
- ゲルフフセイン岩窟神殿の大部分(岩窟部にあった至聖所など)は水没。
- アブオダ神殿も水没したものと思われる。
そのほか、時代を限定せず、多くの遺跡が水没したものと思われる。
移築
- アギルキア島(新・フィラエ島):フィラエ島のイシス神殿、ハトホル神殿(500m移動)
- ニューカラブシャ島:カラブシャ神殿(北へ約35km移動)、ベイトエルワリ神殿(未確認)、ゲルフフセイン岩窟神殿の一部(未確認)、ケルタシ神殿(未確認)
- ニューワディエルセブア地区:ワディエルセブア神殿(北西へ約4km移動)、マハラッカ神殿(南へ約50km移動)、ダッカ神殿(南へ約40km移動)。
- ニューアマダ地区:アマダ神殿(2.6km移動)、デッル神殿(未確認)、古墓(未確認)
- アブシンベル神殿:元の所在地から約60m高い、北西約200mの場所に移築。
- ハルツームの博物館:スーダン共和国のアクシャ神殿、ブヘンのホルス神殿、セムナのデドウェン神殿、クンマ神殿。
寄贈
- デボ神殿はスペインに寄贈され、マドリードの公園に移築展示。
- タファ神殿はオランダに寄贈され、ライデンの国立古代博物館に移築展示。
- デンドゥール神殿はアメリカに寄贈され、ニューヨークのメトロポリタン美術館に移築展示。
- エレシヤ神殿はイタリアに寄贈され、トリノのエジプト博物館に移築展示。
- カラブシャ神殿の門の一つが、ドイツに寄贈され、ベルリンのエジプト博物館に移築展示。
- 移築事業にもっとも貢献したフランスは、例外的にヌビア遺跡とは関わりのない、カルナック神殿から出土したアメンホテプ4世の胸像を持ち帰り、ルーブル美術館に展示。