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古代エジプトの宗教
出典:安藤希章著『神殿大観』(2011-)
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2015年6月25日 (木) 時点における版
目次 |
概要
歴史
- 先王朝時代(紀元前3150-紀元前3050)
- 紀元前3000年頃:ナルメルがエジプトを統一。
- 初期王朝時代(紀元前3050-紀元前2686、第1~2王朝)
- 古王国時代(紀元前2686-紀元前2181、第3~6王朝)
- 第1中間期(紀元前2181-紀元前2060、第7~10王朝)
- メンフィスとヘラクレオポリスが興隆。
- 中王国時代(紀元前2060-紀元前1782、第11~12王朝)
- 第2中間期(紀元前1782-紀元前1570、第12~17王朝)
- 新王国時代(紀元前1570-紀元前1069、第18~20王朝)
- 第18王朝時代:テーベを首都とし、国家神とされたアメンを祀るカルナック神殿が重視されて、歴代国王が造営を繰り返した。ヌビアを植民地とする。国王が王家の谷に葬られる。
- ハトシェプスト女王が、エジプト神殿建築の最高傑作と言われる自らの葬祭殿を創建。
- アメンヘテプ3世がルクソール神殿を大規模に造営した。
- 紀元前1360年頃、アクエンアテン王が従来の信仰を禁止弾圧。アテン信仰のみを国家宗教とし、首都アマルナなど各地に神殿を創建させた。ツタンカーメン王が古都メンフィスを首都として定め、従来の信仰を復興させる。
- 第19王朝時代:ベルラメセスを首都とする。ラメセス2世がアブシンベル神殿などを創建。
- 第20王朝時代:カルナック神殿がテーベの支配権を握り、のち王朝とは別にアメン神権国家となる。
- 第3中間期(紀元前1069-紀元前525、第21~26王朝)
- 末期王朝(紀元前525-紀元前332、第27~31王朝)
- アケメネス朝ペルシャの支配下に入る(第27・31王朝)
- 末期王朝以降(紀元前332-紀元前30、プトレマイオス朝)
神々と信仰系譜
- ラー 最高神の一柱。太陽神。
- オシリス 最高神の一柱。冥府・死者の神。来世信仰。
- セラピス オシリス信仰が発展。
- アメン 最高神の一柱。元はテーベの豊穣神。ラーと習合。
- アトゥム 最高神の一柱。天地創造の神。ラーと習合。
- プタハ 天地創造の神。職人の神。
- ホルス 皇祖神。天空神。オシリスあるいはラーの子。
- アテン 唯一神。太陽神。
- イシス オシリスの妻。ホルスの母。
- セト ホルスと王位をめぐって争う。
- トト 知恵の神。トキの頭を持つ。
- セベク ワニの頭を持つ。農耕神。
- ネイト 狩猟の女神。
- クヌム ナイル川の神。羊の頭を持つ。
- サティス ナイル川の神。サテトともいう。
- アヌビス 冥界の神。ミイラづくりの神。
- ハトホル 鉱山の神。死の女神。
- セクメト プタハの妻。
- アヌケト 水の女神。
- バステト 猫の頭。豊穣と月の女神。
- ミン 生殖の神。
- ムト アメンの妻。
- メンチュウ 軍神。
このほか、アポピス、アメミト、ケペリ、コンス、シュウ、セシャト、セルケト、タウレト、テフヌト、ヌン、ネフティス、ハピ、ベス、ベヌウ、マアト、メレトセゲルなどが信仰されていた。
国王など霊廟・陵墓
神殿と聖地
メンフィス、テーベ(ルクソール)、アレクサンドリアが古代エジプトの三大都市とされる(近藤二郎氏)。
エジプト地方
下エジプト(北部)
- メンフィス 初期王国・古王国と新王国一時期の首都。古代での下エジプトの中心都市。
- ギザ
- ダハシュール
- マイドゥーム
- アレクサンドリア 末期王朝以降の首都。古代末期から現代まで栄える。
- カイロ 現在のエジプト共和国首都。イスラム教世界の中心都市。
- ヘリオポリス
- レトポリス
- アヴァリス
- ペルラメセス 新王国末期の首都。
- タニス
- サイス 末期王朝の首都。
上エジプト(南部)
- テーベ(ルクソール) 中王国・新王国のそれぞれ一時期の首都。古代での上エジプトの中心都市。アメンの聖地。
- イチタウイ 中王国後期の首都。
- ヘラクレオポリス
- ヘルモポリス
- アマルナ 新王国の一時期首都になった。
- エスナ
ヌビア地方
現在のエジプト共和国南部アスワン周辺からスーダン共和国にかけての地域。
下ヌビア(北部)
上ヌビア(南部)
その他の地中海地方
- ローマ
- リビア
- ギリシア
アスワンハイダム建設
アスワンハイダムの建設のため、多くの遺跡が水没したが、重要な遺跡の一部は国際協力により移設が行われた。
現存
- カスルイブリーム神殿は山の頂上にあったことから移築工事はされず、現在はナセル湖に浮かぶ島のようになっている。
水没
- ゲルフフセイン岩窟神殿の大部分(岩窟部にあった至聖所など)は水没。
- アブオダ神殿も水没したものと思われる。
そのほか、時代を限定せず、多くの遺跡が水没したものと思われる。
移築
- アギルキア島(新・フィラエ島):フィラエ島のイシス神殿、ハトホル神殿(500m移動)
- ニューカラブシャ島:カラブシャ神殿(北へ約35km移動)、ベイトエルワリ神殿(未確認)、ゲルフフセイン岩窟神殿の一部(未確認)、ケルタシ神殿(未確認)
- ニューワディエルセブア地区:ワディエルセブア神殿(北西へ約4km移動)、マハラッカ神殿(南へ約50km移動)、ダッカ神殿(南へ約40km移動)。
- ニューアマダ地区:アマダ神殿(2.6km移動)、デッル神殿(未確認)、古墓(未確認)
- アブシンベル神殿:元の所在地から約60m高い、北西約200mの場所に移築。
- ハルツームの博物館:スーダン共和国のアクシャ神殿、ブヘンのホルス神殿、セムナのデドウェン神殿、クンマ神殿。
寄贈
- デボ神殿はスペインに寄贈され、マドリードの公園に移築展示。
- タファ神殿はオランダに寄贈され、ライデンの国立古代博物館に移築展示。
- デンドゥール神殿はアメリカに寄贈され、ニューヨークのメトロポリタン美術館に移築展示。
- エレシヤ神殿はイタリアに寄贈され、トリノのエジプト博物館に移築展示。
- カラブシャ神殿の門の一つが、ドイツに寄贈され、ベルリンのエジプト博物館に移築展示。
- 移築事業にもっとも貢献したフランスは、例外的にヌビア遺跡とは関わりのない、カルナック神殿から出土したアメンホテプ4世の胸像を持ち帰り、ルーブル美術館に展示。