水間寺

出典：安藤希章著『神殿大観』（2011-） 最終更新：2020年4月18日 (土)

2020年4月18日 (土) 時点における最新版

水間寺（みずまでら）は、大阪府貝塚市水間にある観音信仰の天台宗寺院。本尊は聖観音。天台宗延暦寺派特別寺。水間観音。和泉国南郡。山号は龍谷山。

歴史

744年(天平16年)、聖武天皇の勅願で行基が創建。寺伝では行基建立四十九院の一つと伝える。

南北朝時代、当初は南朝に着き1351年(正平6年/観応2年)の文書が残るが、1378年(天授4年/永和4年)には北朝から庇護されている。1484年(文明16年)、根来衆の水間攻めが起こり、被害を受けた可能性がある。1585年(天正13年)、豊臣秀吉の根来寺攻めで根来方に着いた水間寺も焼き討ちにされ、焼失した。薬師堂と開山堂のみが残ったという。大和大福寺から移された梵鐘があったが、願泉寺に売り渡された。

江戸時代には岸和田藩主に庇護された。延宝年間に金堂と鎮守社を復興。元禄年間に三重塔、護摩堂、食堂を建立した。1784年(天明4年)、焼失。1811年(文化8年)、本堂上棟。1827年(文政10年)に諸堂復興した。1977年(昭和52年)、特別寺となる（ウェブサイト）。 （日本歴史地名大系ほか）

伽藍・子院

• 本堂：本尊は聖観音。裏堂に普賢菩薩を祀る。
• 三重塔：本尊は釈迦如来。
• 護摩堂：本尊は不動明王。
• 愛染堂：本尊は愛染明王。
• 薬師堂：本尊は薬師如来。行基の建立。
• 弁天堂：祭神は弁財天。
• 開山堂：本尊は行基菩薩。寺内最古の建造物。自作の影像があったが、天正の兵火で焼失。現在の尊像は天明の大火以前の作という。
• 降臨の滝：観音出現の聖地。座光石には最澄作の不動明王が刻まれている。空海の名号石もある。
• 経堂：本尊は傅大士・普建・普成。
• 常寂光堂：本尊は一願観音・阿弥陀如来。水子地蔵。
• 写経堂：本尊は西国三十三所観音。
• 食堂・寺務所：
• 三所権現：祭神は熊野権現・蔵王権現・白山権現。
• 滝明神：祭神は稲荷神。赤宮とも。
• 瑞泉堂：本尊は聖観音。鏡池にある。

• 観音院：
• 南の院：本尊は虚空蔵菩薩。
• 往生院：大阪府貝塚市水間。行基の没地という。現在は単立。水間共同墓地に付属。
• 稚児塚：大阪府貝塚市清児。行基が白鳥に導かれて来たがどこかに去ってしまった。道に迷ったが十六童子の化身の童子に出会い水間に導かれた。