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百済王室

出典:安藤希章著『神殿大観』(2011-) 最終更新:2023年9月2日 (土)

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百済(くだら)の王室。前18年の建国と伝え、660年まで存続した。新羅王室高句麗王室も参照。姓を「扶余」とし、後に国号「南扶余」とし、王都の地名にもなったように、満洲地方南部にいた「扶余」という民族・国家を起源と位置付けていたらしい。新羅、高句麗、百済の三国の中で百済は特に日本と密接な交流があった。中国式の壇廟祭祀を取り入れていたようだが、実態は不明。陵墓は日本の陵墓と関係している。仏教を取り入れ日本に初めて仏教を伝えた。

目次

首都

  • 慰礼城:前18年~371年:ソウル近郊。所在地は不明。
  • 漢山城:371年~475年:京畿道広州市付近。所在地は不明。
  • 公州:475年~538年:忠清南道公州市。当時の名前は「熊津」。
  • 扶余:538年~660年:忠清南道扶余郡。当時の名前は「泗〓」。(〓は「サンズイ+比」)
  • 益山:全羅北道益山市。副都。

祭祀

  • 東明廟
  • 仇台廟
  • 国母廟
  • 横岳
  • 南壇_(百済)
  • 五帝:『冊府元亀』によれば毎年2・5・8・11月に五帝と天を祭った。
  • 温祚廟:李氏朝鮮時代に創建。
  • 崇烈殿:京畿道広州市南漢山城面山城里。李氏朝鮮が前王朝のための祭祀として建てた
  • 百済王神社:日本大阪府枚方市。日本に移り住んだ百済王室の末裔が祖神を祀った。

陵墓

寺院

  • 忠南・大通寺:忠清南道公州市班竹洞。百済初の本格的な寺院。元号寺
  • 扶余・定林寺:忠清南道扶余郡扶余邑東南里。
  • 王興寺:忠清南道扶余郡窺岩面新里
  • 陵山里寺:忠清南道扶余郡扶余邑陵山里。陵山里古墳群に付属し、王陵の陵寺だったとみられている。
  • 漆岳寺:跡地不詳。

歴代国王

  • 廟号はなかった。
  • 諡号の初例は501年崩御の東城王。
  • 陵墓が明らかになっているのは墓誌が発見された武寧王陵のみ。
代数 王名 生没年 在位年 諡号 略歴 陵墓
東明王 生没年不詳 百済王室の遠祖。高句麗の東明聖王と同一人物とする説もあるが不詳。王都に東明廟が建てられた。 不詳
1 温祚王 ?-28 前18-28 初代国王。東明王の王子とも。前18年に慰礼城(現ソウル近郊)で即位。28年2月崩御。 不詳
2 多婁王 ?-77 28-77 温祚王の第一王子。 不詳
3 己婁王 ?-128 77-128 多婁王の第一王子。 不詳
4 蓋婁王 ?-166 128-166 己婁王の王子。 不詳
5 肖古王 ?-214 166-214 蓋婁王の王子。素古王ともいう。古事記に記載のある「照古王」に当てる説もある。 不詳
6 仇首王 ?-234 214-234 肖古王の第一王子。貴須王ともいう。 不詳
7 沙伴王 生没年不詳 234-234 仇首王の第一王子。沙伊王、沙沸王ともいう。 不詳
8 古爾王 ?-286 234-286 肖古王の舅に当たる。蓋婁王の第二王子。久爾君、古慕王ともいう。 不詳
9 責稽王 ?-298 286-298 古爾王の王子。青稽王ともいう。 不詳
10 汾西王 ?-304 298-304 責稽王の第一王子。 不詳
11 比流王 ?-344 304-344 仇首王の第二王子。 不詳
12 契王 ?-346 344-346 汾西王の第一王子。 不詳
13 近肖古王 ?-375 346-375 扶余句 比流王の第二王子。実質的な初代国王という説がある。371年、漢山城に遷都。「近肖古王」は通称で「肖古王」が正確な名。速古王ともいう。古事記に記載のある「照古王」に当てる説もある。 不詳
14 近仇首王 ?-384 375-384 扶余須 近肖古王の第一王子。「近仇首王」は通称で正式には「仇首王」。貴首王ともいう。 不詳
15 枕流王 ?-385 384-385 近仇首王の第一王子。初めて百済に仏教を導入し、摩羅難陀を招き、漢山に寺院を開いたという。 不詳
16 辰斯王 ?-392 385-392 近仇首王の第二王子、枕流王の弟。 不詳
17 阿〓王 ?-405 392-405 辰斯王の姪。枕流王の第一王子。阿芳王、阿花王ともいう。 不詳
18 腆支王 ?-420 405-420 扶余映 阿〓王の第一王子。諱は扶余腆とも。直支王、真支王ともいう。 不詳
19 久爾辛王 ?-427 420-427 腆支王の第一王子。南宋武帝は「鎮東将軍」から「鎮東大将軍」に昇格させた。 不詳
20 毘有王 ?-455 427-455 扶余毘 久爾辛王の第一王子。 不詳
21 蓋鹵王 ?-475 455-475 扶余慶司 毘有王の第一王子。高句麗軍に攻められ処刑された。諱は扶余慶とも。近蓋婁王ともいう。 不詳
22 文周王 ?-477 475-477 扶余牟都 蓋鹵王の王子。475年、蓋鹵王の処刑後、熊津(公州)に逃れてその地を王都として即位した。諱は扶余都とも。〓洲王、文明王ともいう。 不詳
23 三斤王 ?-479 477-479 文周王の第一王子。文斤王、三乞王、壬乞王ともいう。 不詳
24 東城王 ?-501 479-501 扶余牟大 東城王 三斤王の姪か。臣下の大臣に暗殺された。初めて諡号を贈られた。諱は扶余摩牟とも。 不詳
25 武寧王 462-523 501-523 扶余斯摩 武寧王 東城王の第二王子。日本書紀によると、日本の加唐島で生まれたとされる。「武寧王陵墓誌」が発見されている。諱は扶余斯痲または扶余隆とも。斯痲王、嶋王、虎寧王ともいう。 武寧王陵
26 聖王 ?-554 523-554 扶余明〓 聖王 武寧王の王子。538年、泗〓(扶余)に遷都。国号を「南扶余」とした。仏教を重視し、527年、梁の皇帝の命で大通寺を建てた。538年もしくは552年に日本に仏教を伝えた。明王、聖明王ともいう。日本では稲佐神社の祭神となっている。日本の大内氏の祖の琳聖太子は聖明王の王子とされる。 不詳
27 威徳王 ?-598 554-598 扶余昌 威徳王 聖王の第一王子。陵山里寺で供養。昌王ともいう。 不詳
28 恵王 ?-599 598-599 扶余季 恵王 聖王の王子とも、威徳王の王子ともいう。献王ともいう。 不詳
29 法王 ?-600 599-600 扶余宣 法王 恵王の第一王子とも威徳王の王子ともいう。仏教を重視し、王興寺創建を発願。漆岳寺で祈雨祈願。諱は孝順とも。 不詳
30 武王 ?-641 600-641 扶余璋 武王 法王の王子か。王興寺益山・弥勒寺を創建。諱は武康または献丙とも。虎王、武康王、武広王ともいう。 不詳
31 義慈王 599-660 641-660 扶余義慈 武王の第一王子。洛陽ボウ山に埋葬された。近年、扶余近郊の陵山里古墳群に接して陵墓が築かれた。 ボウ山義慈王陵

百済王族・末裔

  • 扶余隆(615-682):義慈王の第一王子。太子。父と共に唐に連行され、熊津都督に任命される。68歳で死去。洛陽に埋葬。墓誌が現存する。
  • 扶余豊璋(生没年不詳):義慈王の第二王子。631年(643年とも)、人質と来日。660年の百済滅亡後、鬼室福信らに擁立され百済に帰還。662年5月、正式に即位。しかし内紛でうまく態勢が整わないところを唐新羅に攻められ663年に敗退。高句麗に逃げて行方不明となった。余豊、扶余豊、豊章
  • 扶余善光(生没年不詳):義慈王の第三王子。631年(643年とも)に豊璋と共に日本に人質として送られる。百済滅亡後、日本では、臣属の扱いをされず、特殊な扱いを受けていたという。百済王氏の祖。693年頃死去か。百済王善光、扶余禅光。
  • 三松家:百済王氏の末裔とされる。百済王神社の社家
  • 高野新笠(?-789):光仁天皇夫人。桓武天皇の母。武寧王の末裔という。
  • 鬼室福信(?-663):義慈王の従兄弟。660年の百済滅亡後、日本で人質となっていた王子余豊璋を擁立して王に立てたが、内紛で殺害された。扶余の恩山別神堂に祀られた。
  • 鬼室集信(生没年不詳):鬼室福信の同族とみられる。日本に渡来して近江国蒲生郡に居住。671年に天智天皇から大山下の官位を授かる。
  • 鬼室集斯(生没年不詳):鬼室福信の子か。日本に渡来して近江国蒲生郡に居住。鬼室神社祭神。鬼室集斯墓がある。
  • 琳聖太子:日本に渡来。聖明王(?-554)の第三王子とされ、大内氏の始祖と伝える。推古天皇の時代に日本に渡り聖徳太子から多々良氏の名を賜ったという。妙見信仰鎮宅霊符を伝えたともされる。
  • 禎嘉王:百済滅亡時に日本に亡命したという。神門神社祭神。禎嘉王墓もある。
  • 之伎野:禎嘉王の妃。鴫野大年神社祭神。之伎野墓
  • 福智王:禎嘉王の子。比木神社祭神。福智王墓もある。
  • 華智王:禎嘉王の子。福智王の弟。日向・伊佐賀神社祭神。
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