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インド仏教
出典:安藤希章著『神殿大観』(2011-)
2017年3月15日 (水) 時点におけるWikiSysopKARASUYAMA (トーク | 投稿記録)による版
目次
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宗派
- 上座部:北伝仏教では小乗部というが、現代では差別的としてこの語を用いない傾向にある。現在の南伝仏教の起源。西北インドを拠点とした。
- 説一切有部:アビダルマ(論蔵)研究を中心とする宗派。迦多衍尼子(迦多衍那、迦旃延、カタヤーヤニプトラ)を開祖とみなす。この部派が編纂した主な仏典に『十誦律』(五部律の一つ)などがある。薩婆多部、一切有部、有部、説因部、サルバースティバーディンとも。南伝仏教では化地部の分派と伝える。北伝仏教では倶舎宗に引き継がれる。華厳宗では「法有我無宗」と呼ばれる。
- 雪山部:説一切有部に属さなかった上座部の保守派の呼称。ヒマラヤ(雪山)を拠点としたためこの名がある。南伝仏教では伝わらない。根本上座部、ハイマバタともいう。
- 犢子部:五蘊の他に輪廻の主体としての自我(アートマン)の存在を認めた。説一切有部の分派の一つ。西インドにいた。華厳宗では「我法倶有宗」と呼ばれる。婆麁富羅部(娑麁富羅部)、跋私弗底梨与とも。南伝仏教では跋闍子部とも。
- 法上部:犢子部の分派。詳細不詳。達磨鬱多梨部ともいう。
- 賢冑部:犢子部の分派。詳細不詳。跋陀羅耶尼部、賢部とも。南伝仏教では賢乗部という。
- 正量部:犢子部の分派。詳細不詳。三弥底部、サンミティーヤともいう。
- 密林山部:犢子部の分派。詳細不詳。南伝仏教では六城部、善蔵部とも。
- 化地部:北伝仏教では説一切有部の分派とするが、南伝仏教ではその逆と伝える。この部派が編纂した仏典として『五分律』(五部律の一つ)が伝わる。弥沙部、弥沙塞部とも。
- 法蔵部:化地部の分派。大乗仏教の成立に影響を与えた。この部派が編纂した『四分律』(五部律の一つ)が、北伝仏教でも律宗の根本律典として用いられている。通常、仏典を経蔵、律蔵、論蔵の三蔵に分類するが、法蔵部では呪蔵と菩薩蔵を加えて五蔵とする。曇無徳部とも。
- 飲光部:説一切有部の分派。迦葉遺(カシヤピーヤ)を開祖とする。この部派が編纂した仏典として『解脱律』(五部律の一つ)の名が挙げられるが、内容は伝わらない。戒本の『解脱戒経』が伝わる。迦葉維部、善歳部、迦葉遺部とも。
- 説転部:飲光部の分派。南伝仏教でのみ伝わる。
- 経量部:インドで最後に登場した上座仏教の分派。北伝仏教では説一切有部の分派とするが南伝仏教では、説転部から別れたと伝える。鳩摩羅駄(童受、クマーララータ)を開祖とし、室利羅多(シュリーラータ)が大成した。論蔵(アビダルマ)を中心とする説一切有部を批判して、経典を重視した、つまり計量の基準としたことから経量部と呼ばれるが、加藤純章によれば、その教学は必ずしもその通りとは言えないという(世界大百科事典)。大乗仏教の唯識・瑜伽行派に影響を与えたという。大乗仏教の世親も元は所属していたとされる。成実宗に引き継がれた。日本の奈良時代の「修多羅宗」が経量部を指すという説もあるが不詳。説経部、僧伽蘭多部、経部、サウトラーンティカとも。
- 大衆部:根本分裂で別れた分派。大天(マハーデーヴァ)を開祖とする。『摩訶僧祇律』(五部律の一つ)が伝わる。通常、仏典を経蔵、律蔵、論蔵の三蔵に分類するが、大衆部では雑集蔵と禁呪蔵を加えて五蔵とする。南方インドを拠点とした。マハーサンギカ、マハーサンギヤ。華厳宗では「法無去来宗」と呼ばれる。
- 一説部:大衆部の分派。詳細不明。華厳宗では「諸法但名宗」と呼ばれる。
- 説出世部:大衆部の分派。詳細不明。説出世部の影響を受けた『マハーヴァストゥ』という経典が伝わる。世間部とも。華厳宗では「俗妄真実宗」と呼ばれる。
- 鶏胤部:大衆部の分派。詳細不明。灰山住部、窟居部ともいう。南伝仏教では牛家部とも。
- 多聞部:大衆部の分派。詳細不明。僧侶としては馬鳴が知られる。得多聞部とも。
- 説仮部:大衆部の分派。詳細不明。分別説部、施設部とも。華厳宗では「理通仮実宗」と呼ばれる。
- 制多山部:大衆部の分派。大衆部の開祖でもある大天(マハーデーヴァ)が立てたともいう。詳細不明。支提山部、支提迦部、遊地部とも。南伝仏教では安達羅派ともいう。
- 西山住部:大衆部の分派。詳細不明。阿羅説部とも。
- 北山住部:大衆部の分派。詳細不明。鬱多羅施羅部とも。
一覧
仏跡
仏塔
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- 金子芳夫「原始仏教聖典の仏在処・説処一覧」[1]より。
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