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紀氏旧跡
出典:安藤希章著『神殿大観』(2011-) 最終更新:2020年5月23日 (土)
紀氏は古代氏族。現代まで紀国造及び日前神宮・国懸神宮の宮司職を世襲する一族と、武内宿禰を祖とし古代の朝廷で活躍した一族の二系統があり、ここでは後者を中心に扱う。二系統には婚姻関係があり、武内宿禰生母の影媛は、紀伊国造6代宇遅比古命の娘とも、妹ともいう。
末裔に石清水八幡宮社家の田中家・善法寺家(菊大路家)、八坂神社執行宝寿院の建内家、津島神社社家の氷室家、高良大社社僧の丹波家、同社家の宗崎家、香椎宮社家の武内家、鷹尾神社社家の鷹尾家、鹿児島神宮執印家、枚聞神社社家紀氏、宇都宮氏の配下で宇都宮二荒山神社に奉仕した紀氏(紀清両党の一。末裔に益子家など)などがある。忌宮神社社家の武内家も紀氏か。八幡信仰とゆかり深い国東半島にも古来、紀氏が多かった。
紀国造系では、丹生都比売神社に仕える丹生氏がいる。
一覧
- 平群坐紀氏神社:奈良県生駒郡平群町上庄。紀氏の氏神。
- 紀寺:奈良県高市郡明日香村小山。紀氏の氏寺。
- 璉珹寺:奈良県奈良市西紀寺町。紀氏の氏寺。
- 粟井神社:香川県観音寺市粟井町。県社。
- 梅田神社:京都府亀岡市旭町宮ノ元。村社。
- 禅寂寺:大阪府和泉市阪本町。紀氏の同族坂本氏の氏寺。坂本寺。
人物
- 武内宿禰():
- 紀道成():道成寺を創建。紀道神社祭神。
- 紀橡姫(?-709):光仁天皇の生母。771年(宝亀2年)か翌年に皇太后を贈られた。
- 真済(800-860):空海の弟子。神護寺別当。東寺長者。
- 紀静子(?-866):惟喬親王の生母。
- 行教(生没年不詳):石清水八幡宮を創建。
- 安宗(813-887):行教の甥。石清水八幡宮神宮寺の護国寺の初代別当。山城極楽寺の本願主。
- 益信(827-906):行教の弟。鹿ケ谷・円成寺を創建。東寺長者。石清水八幡宮検校。宇多上皇の師。諡号は本覚大師。
- 康済(828-899):天台宗の僧。光定・円珍に学ぶ。天台座主。園城寺長吏。
- 紀友則(851?-905):『古今和歌集』選者。三十六歌仙の一人。
- 寛印(生没年不詳):天台宗の僧。良源・源信に師事。子の行円が八坂神社初代執行となる。
- 紀貫之(868?-945):薩摩の伊集院家の祖。
- 観修(945-1008):天台宗の僧。勧修。園城寺長吏。藤原道長の帰依を得た。解脱寺、浄妙寺を創建。
- 重源(1121-1206):東大寺大勧進。
- 孤山至遠(1278-1366):臨済宗の僧。無本覚心の法嗣。興国寺、建仁寺住職。諡号は広照禅師。
- 紀正泰(?-1349):南北朝時代の武将。津島神社と関連。四條畷で戦死。
- 小中村清矩(1821-1895):国学者。小中村家は石清水八幡宮の紀氏の系統という。東京大学教授。『古事類苑』編纂委員長。