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重源旧跡
出典:安藤希章著『神殿大観』(2011-) 最終更新:2016年3月17日 (木)
(重源から転送)
重源(ちょうげん)(1121-1206)は、東大寺を復興した真言宗の僧侶。紀氏。浄土教を篤く信仰し、浄土宗開祖法然(1133-1212)にも帰依したため、浄土宗の僧侶とみなされることもある。臨済宗の栄西(1141-1215)とも親交が深かった。俊乗房、南無阿弥陀仏。墓所は奈良の三笠霊苑。 東大寺関連旧跡も参照。
目次 |
一覧
修行時代
- 醍醐寺:京都府京都市伏見区にある真言修験の本山寺院。重源が出家した寺。真言宗醍醐派総本山。
- 四国:青年期に修行。
- 大峰山:奈良県吉野郡にある修験道の霊山。青年期に修行。
- 高野山:和歌山県伊都郡高野町にある真言宗の霊山。青年期に修行。
- 明州:現在の寧波。入宋後、偶然に栄西と出会う。
- 阿育王寺:中国浙江省寧波市ギン州区の太白山麓にある、阿育王塔信仰の禅宗寺院。栄西と二人で参詣。重源はのち伽藍再建のため周防の材木を日本から寄進する。
- 福岡・誓願寺:福岡県福岡市西区にある真言宗寺院。入宋の時に重源が滞在したという。栄西が発願した当寺の阿弥陀如来像に重源も結縁。真言宗御室派。
- 善光寺:長野県長野市にある善光寺信仰の寺院。帰国後、重源は善光寺如来の託宣を受ける。何度か参詣したという。
- 高野山延寿院:金剛峰寺の一院。鐘を寄進(現在泉福寺(和歌山県海草郡紀美野町)にある)。高野山真言宗。
活躍時代
- 大和国
- 東大寺:奈良県奈良市にある真言宗の本山寺院。法然の推薦で大勧進を務める。同職はのち栄西に譲る。華厳宗大本山。
- 東大寺浄土堂:東大寺にある東大寺七別所の一つ。重源が亡くなった場所。東大寺念仏堂。
- 東大寺俊乗堂:東大寺にある重源の御影堂。
- 五劫院:奈良県奈良市にある東大寺末寺の浄土宗寺院。重源が創建。重源の供養塔がある。華厳宗所属だが、浄土宗西山派の法灯を伝える。
- 三笠霊苑:奈良県奈良市にある霊園。重源の墓がある。
- 奈良・称念寺:奈良県奈良市にある浄土宗寺院。重源が中国悟真寺から善導の像を請来して創建したという。浄土宗知恩院派。
- 慶恩寺:奈良県宇陀市にある浄土宗寺院。大仏殿造営に先駆け、重源は試みの伽藍をここに建てたという。浄土宗知恩院派。
- 大和・法然寺:奈良県橿原市にある浄土宗寺院。本尊は重源の念持仏で、もと高野山円通律寺にあったという。法然上人二十五霊場第10番札所。浄土宗知恩院派。
- 伊勢国
- 近江国
- 播磨国
- 備前国・備中国・美作国(建久4年(1193)4月、備前国が東大寺造営料国として寄進された。)
- 備前・浄土寺:岡山県岡山市中区にある天台宗寺院。報恩大師が創建した備前四十八寺の一つ。重源はここを備前の拠点とした。大湯屋を建てた。『作善集』にある「国府大湯屋」がこれと思われる。天台宗延暦寺派。
- 備前・吉備津彦神社常行堂:岡山県岡山市北区一宮の備前国一宮吉備津彦神社の神力寺(現在の徳寿寺)にあった阿弥陀堂。跡地から「重源瓦」が出土。『作善集』にある「備前国常行堂」がこれと思われる。
- 備前・豊光寺:瀬戸内市邑久町豊原にあった寺院。重源が創建。湯屋もあった。『作善集』にある「豊原庄豊光寺」がこれと思われる。
- 阿保田神社:岡山市東区瀬戸町万富にある八幡宮。手向山八幡宮の分社という。国内神名帳に記載の神社。万富東大寺瓦窯跡がすぐ側にある。
- ひ爪神社:岡山市東区瀬戸町にある神社。東大寺と同型の石製狛犬があった。
- 備前・金山寺:岡山県岡山市北区にある天台宗寺院。『作善集』に国内22カ所の寺院を修造したとあるうちの一つと推定されている。天台宗延暦寺派。
- 東大寺備中別所:備中国にあった東大寺七別所の一つ。跡地は不明で、備中・吉備津神社(岡山市北区吉備津)周辺説や、新山廃寺(総社市黒尾新山)説がある。
- 備中・吉備津神社:岡山県岡山市北区吉備津にある神社。重源が修復。神宮寺や仏堂を建てたらしい(『作善集』)。
- 庭瀬堂:岡山県岡山市北区吉備津周辺にあった仏堂。現在の真如院(吉備津神社神宮寺)周辺にあったと推測されている。跡地から「重源瓦」が出土。『作善集』にある「庭瀬堂」。
- 新山廃寺:岡山県総社市黒尾新山にあった寺院。備中別所説がある。跡地から「重源瓦」が出土。
- 美作・金剛頂寺:岡山県苫田郡鏡野町にある真言宗寺院。重源が参籠し、[熊野権現]]を勧請。美作国。高野山真言宗。
- 周防国
- 周防・阿弥陀寺:山口県防府市にある真言宗寺院。東大寺七別所の一つ周防別所。現在、華厳宗に所属するとともに真言宗御室派にも所属するという。
- 防府・春日神社:山口県防府市にある春日信仰の神社。重源が阿弥陀寺鎮守として再興。
- 防府天満宮:山口県防府市にある天満宮。重源は社殿を再建し、本地堂(現存)を創建。
- 安楽寺:山口県防府市にあった寺院。廃絶。重源が建久年間に創建。周防国分寺の末寺で、仏像が伝わる。
- 周防・東昌院:山口県防府市にあった寺院。廃絶。重源が建久年間に創建。東林寺と改称。
- 周防・宝林寺:山口県防府市にあった寺院。廃絶。重源が建久年間に創建。
- 佐波神社:山口県防府市にある神社。金切宮。重源が創建したという日吉神社を合祀した。
- 玉祖神社:山口県防府市にある神社。周防国一宮。重源が再建。
- 周防・西方寺:山口県山口市徳地にあった寺院。行基が創建し、文治2年重源が再興。現在の新田上公民館の場所にあり、石塔、墓碑が残る。廃絶後、曹洞宗西宗寺として再興されている。浄土寺にあった伝重源作の阿弥陀如来像があるという。
- 周防・月輪寺:山口県山口市徳地にある曹洞宗寺院。文治5年、重源が創建。現存する薬師堂は重源が清涼寺から移築したと言われる。
- 周防・安養寺:山口県山口市徳地にあった寺院。跡地に曹洞宗法光寺がある。本尊像の材木の年輪が東大寺仁王像と一致。文治3年創建。
- 周防・観念寺:山口県山口市徳地にある浄土宗寺院。重源の石風呂が現存。
- 周防・蓮華寺:山口県山口市徳地にあった寺院。重源弟子の蓮華坊が佐波川で用材を運ぶ途中に事故死したため、重源が菩提を弔うために創建したという。徳地野谷の大原に移り源徳寺と改称したが廃絶。跡地に釈迦堂が残る。
- 周防・金徳寺:山口県山口市徳地の狗留孫山(下関市にあるのとは別)にあった寺院。重源が中興。跡地に床方観音堂がある。
- 周防・大見寺:山口県山口市徳地にあった寺院。跡地に観音堂があり、観音、広目天持国天が重源作とされる。
- 周防・寿福院:山口県山口市徳地にある曹洞宗寺院。弟子の蓮秀坊源覚が創建。のち万治2年(1659)に現在地に移転した。
- 袈裟岩堂:山口県山口市徳地にある堂。重源が袈裟を掛けた岩を祀る。袈裟岩霊場。石風呂がある。
- 千人塚:山口県山口市徳地にある塚。巨木搬出で多くの作業員が亡くなったため供養のために建てたという。壊れた石塔がある。
- 周防・林光寺:山口県山口市徳地にあった寺院。文治年間創建。法光寺に合併か。
- 周防・正光庵:山口県山口市徳地にあった寺院。観音堂が残る。
- 周防・昌福寺:山口県山口市徳地にある寺院。東大寺の末寺福生寺といった。石風呂が残る。
- 周防・浄土寺:山口県山口市徳地にあった寺院。西宗寺に浄土寺にあった伝重源作の阿弥陀如来像があるという。
- 周防・極楽寺:山口県山口市徳地にあった寺院。西村集会所の場所にあった。仏像が残る。
- その他
東大寺七別所
俊乗堂