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浄土宗鎮西派藤田流

出典:安藤希章著『神殿大観』(2011-)

2015年2月22日 (日) 時点におけるWikiSysopKARASUYAMA (トーク | 投稿記録)による版
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浄土宗鎮西派藤田流(じょうどしゅう・ちんぜいは・ふじたりゅう)は、良忠弟子の唱阿性心を開祖し、関東・東北・北陸地方に広まったが、江戸時代に消滅した浄土宗の一流派。埼玉県寄居町の藤田善導寺を発祥の地とするため、「藤田流」「藤田派」と呼ばれる。「土塔派」「水沼義」「秩父派」ともいう。

関東地方の藤田善導寺、猿島高声寺、猿島無量寿寺を中心とし、越後の高田善導寺などの北陸地方に進出し、会津高巌寺から東北地方に広まった。知恩院知恩寺の総本山争いの中で、糸魚川・善導寺岌翁が知恩寺住職に招聘され、京都に進出。藤田派から五代続けて、「岌」の名が付く知恩寺住職を輩出したが、白旗流西山派のような中央集権的な本末関係を築くことができず、江戸時代初期に幡随意呑龍が白旗流に転じたことで、多くの寺院が白旗流の末寺となり、やがて消滅した。東北地方では名越流との交渉があり、やはり江戸時代に名越流に吸収された。

善光寺信仰の影響が大きいとされる。「」の名が付く僧侶の多くは、藤田流だと言われている。

秩父派」「水沼義」の語源は地名に由来し、秩父も領した藤田氏が治めた藤田郷は「秩父藤田」とも言われ、聖聡著『註記見聞』によると、水沼も秩父の地名とされ、開祖性心が、「秩父上人」「水沼上人」とも呼ばれたためである(『浄土宗全書』「寺誌宗史」)。「土塔派」の呼称は、性心の弟子で藤田流の教義を整えた良心が、下総・無量寿寺に経典を奉安した土塔を築いたためとされる。


主な寺院

  • 高巌寺 福島県会津若松市にある、浄土宗鎮西派の藤田流の拠点だった寺院。陸奥国会津郡。会津藩主蒲生忠郷の菩提寺。
  • 高声寺 茨城県坂東市にある、浄土宗鎮西派の藤田流の拠点だった寺院。下総国猿島郡。当初は中根にあったが、江戸時代に現在地に移転。
  • 下総・無量寿寺 茨城県猿島郡五霞町にある、浄土宗鎮西派の藤田流の拠点だった寺院。下総国葛飾郡。創建したのは良心で、経典を納めた土塔を築いたため、藤田流は「土塔派」とも呼ばれる。「小福田無量寿寺」
  • 大野・正定寺 茨城県古河市下大野にある浄土宗鎮西派の藤田流の拠点だった寺院。談義所だったという。古河藩土井家の菩提寺。江戸時代には、古河城城下町に同名寺院が建てられた。
  • 古河・正定寺 茨城県古河市大手町の古河城下にある、古河藩土井家の菩提寺である浄土宗寺院。藤田流の拠点だった大野・正定寺の住職を招いて創建した。
  • 武蔵・善導寺 埼玉県大里郡寄居町にある浄土宗鎮西派の藤田流の発祥地となった寺院。現在は浄土宗知恩院派。武蔵国榛沢郡藤田郷。「藤田善導寺」「藤田道場」。
  • 武蔵・林西寺 埼玉県越谷市にある、浄土宗鎮西派の藤田流の拠点だった寺院。呑龍旧跡。もと「大善寺」と言ったが、呑龍のときに藤田流から白旗流に転じた。


  • 越後・新善光寺 新潟県東蒲原郡阿賀町津川にある、浄土宗鎮西派の藤田流の拠点だった寺院。越後国蒲原郡。「津川新善光寺」。唱名弟子の感誓が越後松木谷に再興し、その後、岌梅が津川に移した。岌天が蘆名盛高の要請で、会津の高巌寺の開山となり、東北地方へ教線を広げた。知恩寺30世の岌州の出身寺院でもある。

もとは善光寺聖の定尊が善光寺如来を祀ったのが始まりで、時宗寺院だったともいう。

  • 越後高田・善導寺 新潟県上越市越後高田にある、浄土宗鎮西派の藤田流の寺院。越後国頸城郡。京都知恩寺第28世岌長や第33世幡随意の出身寺院。「高田善導寺」。高声寺8世岌伝の弟子の心誉蓮海(蓮開?)が文明5年(1473)に創建。あるいは岌長が創建したともいう。現在は浄土宗知恩院派。
  • 糸魚川・善導寺 新潟県糸魚川市にある、浄土宗鎮西派の藤田流の拠点となった寺院。越後国頸城郡。岌翁が当寺を創建した後、後奈良天皇の勅命で京都知恩寺第27世になったことで、藤田流は京都に進出した。現在は浄土宗知恩院派。


  • 三河・悟真寺 愛知県豊橋市にある、浄土宗鎮西派の藤田流だった寺院。
  • 知恩寺 京都府京都市左京区にある、現在の浄土宗知恩院派大本山。室町時代、知恩院と総本山を争った。「百万遍知恩寺」ともいう。
http://shinden.boo.jp/wiki/%E6%B5%84%E5%9C%9F%E5%AE%97%E9%8E%AE%E8%A5%BF%E6%B4%BE%E8%97%A4%E7%94%B0%E6%B5%81」より作成

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