興福寺

出典：安藤希章著『神殿大観』（2011-）

2017年8月28日 (月) 時点における版

興福寺（こうふくじ）は、奈良県奈良市にある藤原氏ゆかりの南都仏教の本山寺院。本尊は釈迦如来。官寺七大寺・四大寺の一つで、歴代の公武政権の崇敬を受けた。延暦寺と共に南都北嶺として恐れられた。法相宗の中心道場として発展。神仏習合を唱え、春日大社を鎮守として支配下に取り込んだ。藤原氏の隆盛と共に多くの荘園を持ち、繁栄。鎌倉幕府から大和国守護職に任ぜられ、一国を支配した。一乗院と大乗院の二つの門跡が本坊となった。明治初年、神仏分離の影響で一時廃絶したが、まもなく復興した。不空羂索観音を祀る南円堂は特に信仰を集め、西国三十三所第9番札所。法相宗大本山。興福寺関連旧跡も参照。（参考 同名寺院興福寺 (同名)）

歴史

組織

住職

興福寺別当

• 1慈訓（691-777）：船氏。
• 2永厳：弟子に行賀や常騰（740-815）。
• 3行賀（729-803）：法相宗六祖の一人。
• 4修円（771-835）：弘仁3年、興福寺別当。興福寺伝法院、室生寺を創建。
• 5隆慧
• 6寿朗
• 7興昭（?-883）：
• 8孝忠
• 9房忠（832-893）：仁和2年興福寺別当。
• 10仙忠
• 11真覚
• 12基継：弟子に義光。
• 13平源（861-949）：承平元年興福寺別当。
• 14空晴（878-957）
• 15助精
• 16延空
• 17安秀（?-971）：応和の宗論に出仕。康保4年、興福寺別当。
• 18定昭（906-983）：一乗院門跡を創建。（略歴は、興福寺一乗院#組織を参照）
• 19真喜（927-1000）<983->：永観元年、興福寺別当。
• 20定澄
• 21林懐（951-1025）
• 22扶公（966-1035）：万寿2年（1025）別当。
• 23経救（978-1044）：
• 24真範（986/987-1054）：一乗院門跡3世。（略歴は、興福寺一乗院#組織を参照）
• 25円縁
• 26明懐（988-1072）：
• 27頼信（1010-1076）：一乗院門跡4世。（略歴は、興福寺一乗院#組織を参照）
• 28公範：興福寺別当28世。法隆寺26世。
• 29頼尊：一乗院門跡5世。（略歴は、興福寺一乗院#組織を参照）
• 30覚信（1065-1121）：一乗院門跡6世。（略歴は、興福寺一乗院#組織を参照）
• 31永縁（1048-1125）：
• 32玄覚：興福寺別当32世・34世。一乗院門跡7世。（略歴は、興福寺一乗院#組織を参照）
• 33経尋：興福寺別当33世。法隆寺別当32世。
• 34玄覚：再任。
• 35隆覚（1074-1158）：法隆寺別当35世・38世。
• 36覚誉：興福寺別当36世。法隆寺別当33世。
• 37覚晴：興福寺別当37世。法隆寺別当34世。
• 38隆覚（1074-1158）：再任。
• 39恵信（1124-1171）：一乗院門跡9世。九条兼実の兄。覚継とも。（略歴は、興福寺一乗院#組織を参照）
• 40尋範（1101-1174）：大乗院門跡。
• 41覚珍：
• 42教縁：
• 43玄縁：
• 44信円：一乗院門跡10世と大乗院門跡を兼務。
• 45覚憲：
• 46範玄：興福寺別当46世。法隆寺別当39世。
• 47雅縁（1138-1223）：興福寺別当47世・49世・51世・53世。
• 48良円：一乗院門跡11世。興福寺別当48世・52世。（略歴は、興福寺一乗院#組織を参照）
• 49雅縁（1138-1223）：再任。
• 50信憲：
• 51雅縁（1138-1223）：再任。
• 52良円：再任。
• 53雅縁（1138-1223）：再任。
• 54範円：興福寺別当54世。法隆寺別当43世。
• 55実尊：大乗院門跡。
• 56実信：一乗院門跡12世。興福寺別当56世・58世・61世・63世・66世。（略歴は、興福寺一乗院#組織を参照）
• 57円玄：
• 58実信：再任。
• 59円実：大乗院門跡。
• 60定玄：
• 61実信：再任。一乗院門跡。
• 62覚遍：
• 63実信：再任。一乗院門跡。
• 64円玄：再任。
• 65公縁：
• 66実信：再任。一乗院門跡。
• 67親縁：
• 68良盛（1196-1262）<1256->：法隆寺別当48世。（略歴は、法隆寺#組織を参照）
• 69円実：
• 70尊信：大乗院門跡。
• 71頼円：興福寺別当71世。法隆寺別当49世。
• 72実性：
• 73信昭（1253-1286）：一乗院門跡14世。興福寺別当73世・76世。（略歴は、興福寺一乗院#組織を参照）
• 74性誉：興福寺別当74世。法隆寺別当54世。
• 75尊信：再任。
• 76信昭：再任。
• 77慈信：大乗院門跡。
• 78玄雅：興福寺別当78世。法隆寺別当50世。
• 79宗懐：
• 80慈信：再任
• 81尊清：
• 82実懐（1235-1291）<1289->：興福寺別当82世。法隆寺別当52世。（略歴は、法隆寺#組織を参照）
• 83慈信：再任。
• 84性誉：再任。
• 85慈信：再任。
• 86顕覚：
• 87尊憲：
• 88実昭：
• 89範憲：
• 90慈信：再任。
• 91経誉：
• 92範憲：再任。
• 93覚昭（?-1308）：一乗院門跡17世。（略歴は、興福寺一乗院#組織を参照）
• 94尋覚：大乗院門跡。
• 95宗親：興福寺別当95世。法隆寺別当56世。
• 96範憲：再任。
• 97良信（1278-1329）：一乗院門跡。興福寺別当97世・100世・105世・114世。（略歴は、興福寺一乗院#組織を参照）
• 98公寿：興福寺別当98世。法隆寺別当55世・57世。
• 99尋覚：再任。大乗院門跡。
• 100良信：再任。
• 101信顕：
• 102範憲：再任。
• 103尋覚：再任。大乗院門跡。
• 104実聡：興福寺別当104世。法隆寺別当58世。
• 105良信：再任。
• 106良覚：一乗院門跡19世。（略歴は、興福寺一乗院#組織を参照）
• 107隆遍（生没年不詳）<1318->：興福寺別当107世。法隆寺別当59世。（略歴は、法隆寺#組織を参照）
• 108良覚：
• 109覚円：
• 110良覚：
• 111顕親：
• 112覚尊：
• 113慈信：
• 114良信：再任。
• 115顕昭：
• 116範憲：
• 117良覚：
• 118覚尊：
• 119良覚：
• 120乗円：
• 121覚実：興福寺別当121世・123世・125世。一乗院門跡21世。（略歴は、興福寺一乗院#組織を参照）
• 122覚円：
• 123覚実：再任。
• 124孝覚：大乗院門跡。
• 125覚実：
• 126良暁（1285-?）<1347->：法隆寺別当66世。興福寺別当126世。（略歴は、法隆寺#組織を参照）
• 127孝覚：大乗院門跡。
• 128懐雅：興福寺別当128世。法隆寺別当69世。
• 129孝覚：大乗院門跡。
• 130頼乗（生没年不詳）：興福寺別当130世。法隆寺別当70世。（略歴は、法隆寺#組織を参照）
• 131盛深：
• 132顕遍：
• 133盛深：
• 134実遍：興福寺別当134世・137世・139世。法隆寺別当72世。
• 135印覚：
• 136隆円：
• 137実遍：再任。
• 138円守：興福寺別当138世・140世。法隆寺別当74世。
• 139実遍：再任。
• 140円守：再任。
• 141孝憲：興福寺別当141世。法隆寺別当73世。
• 142覚成：
• 143覚家：
• 144円兼：
• 145良昭（1385-1414）：一乗院門跡25世。興福寺別当145世・151世。（略歴は、興福寺一乗院#組織を参照）
• 146孝尋：大乗院門跡。
• 147長懐（1342-1396）：興福寺別当147世。法隆寺別当75世。
• 148孝尋：再任。大乗院門跡。
• 149長雅：
• 150円兼：再任。
• 151良昭（1385-1414）：再任。一乗院門跡。
• 152実恵：
• 153孝円：大乗院門跡。
• 154円尋：
• 155隆俊：
• 156良兼：一乗院門跡27世。（略歴は、興福寺一乗院#組織を参照）
• 157実照：
• 158兼覚（1361-1422）<1412->：興福寺別当158世。興福寺慈恩院住職。法隆寺別当76世。（略歴は、法隆寺#組織を参照）
• 159光暁：
• 160孝俊：興福寺別当160世。法隆寺別当77世。
• 161空昭：
• 162光雅：
• 163隆雅：
• 164乗雅：
• 165経覚：大乗院門跡。蓮如の師。
• 166昭円：一乗院門跡28世。（略歴は、興福寺一乗院#組織を参照）
• 167光暁：再任。
• 168経覚：再任。
• 169兼昭：
• 170覚雅：
• 171隆秀：
• 172実意：
• 173俊円：
• 174兼暁：
• 175貞兼：
• 176重覚：
• 177良雅：
• 178空俊：
• 179教玄：一乗院門跡29世。（略歴は、興福寺一乗院#組織を参照）
• 180尋尊：大乗院門跡。
• 181光憲：
• 182経覚：再任。大乗院門跡。
• 183兼円：
• 184兼雅：
• 185孝祐：
• 186経覚：再任。大乗院門跡。
• 187光淳：
• 188任円：
• 189尊誉：
• 190政覚：大乗院門跡。
• 191隆憲：
• 192空覚：
• 193光慶：
• 194良誉：一乗院門跡31世。（略歴は、興福寺一乗院#組織を参照）
• 195兼継：
• 196経尋：大乗院門跡。
• 197円深：
• 198孝縁：
• 199実憲：
• 200晃円：興福寺別当200世。法隆寺別当79世。
• 201兼継：再任。
• 202覚誉（?-1562）：一乗院門跡32世。（略歴は、興福寺一乗院#組織を参照）
• 203尋円：大乗院門跡。
• 204空実：
• 205光尊：
• 206実暁：
• 207光実：
• 208尋円：再任。大乗院門跡。
• 209尋憲：大乗院門跡。
• 210兼深：
• 211尊勢：一乗院門跡34世。（略歴は、興福寺一乗院#組織を参照）
• 212光助：
• 213空慶：
• 214信尊：大乗院門跡。
• 215尊覚法親王：一乗院門跡35世。興福寺別当215世・217世。（略歴は、興福寺一乗院#組織を参照）
• 216信尊：再任。大乗院門跡。
• 217尊覚法親王：再任。
• 218信尊：大乗院門跡。
• 219実雅：
• 220真敬法親王（1649-1706）：一乗院門跡36世。興福寺別当220世・222世・224世。（略歴は、興福寺一乗院#組織を参照）
• 221信賀：大乗院門跡？
• 222真敬法親王（1649-1706）：再任。一乗院門跡。
• 223信覚：大乗院門跡。
• 224真敬法親王（1649-1706）：再任。
• 225隆尊：大乗院門跡。
• 226尊賞法親王（1699-1746）：一乗院門跡37世。（略歴は、興福寺一乗院#組織を参照）
• 227隆尊：再任。大乗院門跡。
• 228隆遍：大乗院門跡。
• 229尊映法親王：一乗院門跡39世。（略歴は、興福寺一乗院#組織を参照）
• 230隆範：大乗院門跡。
• 231昭尋：
• 232隆範：再任。大乗院門跡。
• 233昭尋：再任。
• 234隆温（1811-1875）：二条治孝の子。大乗院門跡。還俗して松園隆温。男爵。
• 235尊応法親王（1824-1891）：一乗院門跡43世。還俗して久邇宮朝彦親王となる。（略歴は、久邇宮#組織を参照）
• 236隆温（1811-1875）：再任。大乗院門跡。
• 237隆芳（1840-1903）：大乗院門跡。還俗して松園尚嘉。
• 238応昭：一乗院門跡44世。還俗して水谷川忠起。春日大社宮司となる。男爵。（略歴は、春日大社#組織を参照）

近代の住職

• （佐伯泓澄）：本務は西大寺。明治8年5月14日から明治15年4月1日まで「元興福寺守護職」（「元興福寺堂塔守護」とも。のち「奈良公園取締」）を務めた。
• 239園部忍慶（1842-1890）<1882-1890>：本務は清水寺。
• 240千早定朝（1823-1899）<1890-1891>：本務は法隆寺。忍慶の死去で明治23年3月23日から翌年2月16日まで興福寺住職兼清水寺住職を兼務。
• 241雲井良海（-1894）<1891-1894>：明治24年2月16日、興福寺住職兼清水寺住職に就任。明治27年5月20日、清水寺のトラブルの責任感から自害。
• 242千早定朝（1823-1899）<1894-1899>：本務は法隆寺。良海の死去で明治27年5月から興福寺住職兼清水寺住職を兼務。
• 243大西良慶（1875-1983）<-1942>：のち清水寺中興。昭和17年3月、興福寺住職を退任。
• 244板橋良玄（-1954）<1942-1954>：昭和11年、61歳という異例の高齢で竪義遂業。昭和17年3月、就任。
• 245多川乗俊（1904-1984）<1954-1984>：明治37年10月10日生。法隆寺の近くの出身。大正6年入寺。樋口定俊、佐伯良謙に師事。昭和17年竪義。昭和21年興善院住職。翌年、執事長・菩提院住職・勧善院住職。昭和29年3月、興福寺住職就任（2月とも）。昭和59年7月16日死去。（『現代人物誌第十八編』）。（奈良県人物・人材情報リスト2017では明治43年入寺。12歳で得度。昭和10年執事、20年執事長、29年貫主、35年管長初任とある）
• 246多川乗覚（）<1984->：乗俊の子。
• 247多川俊映（1947-）<1989->：乗俊の子。立命館大学卒業。

（『日本仏教基礎講座』より）