専修寺

出典：安藤希章著『神殿大観』（2011-）

専修寺（せんじゅじ）は、三重県津市にある浄土真宗の本山寺院。真宗高田派の本山。高田門徒の根拠地。専修阿弥陀寺、無量寿寺、高田本山。一身田専修寺。各地に別院がある。（参考：同名寺院専修寺 (同名)、阿弥陀寺、無量寿寺）

歴史

10代真慧（1459-1512）は、北陸や東海に布教。伊勢に拠点として無量寿寺を創建。後土御門天皇から綸旨、上人号公認。12代堯慧のころに本山の地位が確立したらしい。

伽藍

• 御影堂
• 如来堂：「証拠の如来」を祀る。阿弥陀堂
• 御廟：親鸞の墓。歴代住職の墓もある。拝堂がある。
• 納骨堂

子院

高田門徒を参照

歴代住職

• 1親鸞（1173-1262）<>：浄土真宗の開祖。
• 2真仏（1209-1258）<>：親鸞より早く死去。
• 3顕智（1226-1310）<>：出自不詳。伝説的な経歴を伝える。最初は比叡山の天台僧で賢順と称した。のち真仏に師事。親鸞にも面授を受ける。霊光院門跡。伊勢・如来寺で姿を消した。
• 4専空（1292-1343）<1310-1343>：真岡城主大内国行の三男。大内行弘。延慶3年、住職就任。興国4年12月18日死去。
• 5定専（1317-1369）<1343-1369>：専空の次男。文保元年8月生。興国4年6月、住職就任。正平13年、『自要集』。正平24年7月11日死去。53歳。
• 6空仏（1314-1380）<1369-1380>：専空の長男。定専の兄。正和3年6月生。正平24年1月、住職就任。天授6年4月14日死去。67歳。
• 7順証（1331-1390）<1380-1390>：専空の親族。大内証西の子。元弘元年生。天授6年4月住職就任。元中7年6月16日死去。60歳。
• 8定順（1389-1457）<1390-1443>：順証の子。元中6年生。翌年6月、2歳で住職就任。嘉吉3年退任。長禄元年1月28日死去。69歳。
• 9定顕（1416-1465）<1443-1465>：定順の子。応永23年生。嘉吉3年4月、住職就任。寛正5年5月24日死去。49歳。
• 10真慧（1434-1512）<1465-1502?>：中興。定顕の子。永享6年生。長禄3年、高田を離れ、諸国を巡る。寛正元年、伊勢に入る。寛正5年、一身田に滞在。同年5月に住職就任。翌年、寺地を伊勢に移したとされる。同年6月、延暦寺に赴く。文明9年6月、後土御門天皇から住職綸旨。翌年3月、天皇の祈願所とする綸旨。長享元年10月12日法印大僧都。文亀2年8月、退任。永正元年10月8日、規則を定める。永正9年10月22日死去。79歳。天台宗西教寺中興の真盛と親しく真慧の墓は西教寺に設けられた。
• （真智）（1504-1585）<1512-?>：後柏原天皇皇子。永正元年生。常盤井宮。永正8年6月14日入室。翌年11月、後柏原天皇から綸旨。永正10年、紫衣参内勅許。応真、尭慧と後継争いで敗れる。越前国に逃れ熊坂専修寺を創建。天正13年7月4日死去。82歳。喜雲院宮。
• 11応真（1490-1537）<1502?-1537>：真慧の子。延徳2年生。文亀2年、住職就任。8月27日、後柏原天皇から住職綸旨。永正10年2月、再び同天皇から綸旨。翌年3月5日法眼。永正13年11月3日、権少僧都。永正18年6月、天皇から3回目の綸旨。大永2年12月6日大僧都。享禄2年9月8日後奈良天皇から綸旨。天文6年5月25日死去。48歳。京都別院を創建。永禄3年、贈権僧正。
• 12尭慧（1527-1609）<1537-1580>：飛鳥井雅綱の三男。大永7年生。天文4年、将軍足利義晴の猶子として入室。天文6年5月23日、住職就任。永禄3年権僧正。天正2年11月28日、門跡となる。天正10年大僧正。慶長14年1月21日死去。83歳。光徳院。
• 13尭真（1549-1619）<1580-1619>：尭慧の長男。天文18年生。幼名は尭応。近衛前久の猶子。永禄5年得度。天正8年5月、正親町天皇の綸旨で住職就任。権僧正となる。天正13年、正親町天皇から綸旨。天正15年、後陽成天皇から綸旨。天正17年8月、越前国を巡教。慶長16年、後水尾天皇から綸旨。元和5年9月20日死去。71歳。超光院。
• 14尭秀（1582-1666）<1619-1641>：尭真の長男。近衛信尹の猶子。天正10年生。慶長3年得度。元和5年、権僧正。同年住職就任。寛永15年明正天皇から綸旨。寛永18年大僧正。同年、尭朝に譲り退任。祥雲院と称す。しかし、尭朝の自害で、正保3年、再び寺務を司る。寛文6年12月19日死去。85歳。「報恩講御書」。
• 15尭朝（1615-1646）<1641-1646>：尭秀の長男。近衛信尋の猶子。元和元年生。寛永6年得度。寛永15年、権僧正。寛永18年、住職就任。親鸞真蹟を献上せよとの幕府の命令に抗議して、正保3年8月22日、江戸唯念寺で自決。32歳。同寺に墓がある。光曜院浄慧。
• 尭秀（1582-1666）<1646-1654>：再住。
• 16尭円（1641-1716）<1654-1710>：花山院定好の四子。寛永18年生。慶安元年2月25日、近衛尚嗣の猶子として入室。承応3年2月28日得度。同年住職就任。明暦2年10月24日、後西天皇から住職綸旨。延宝4年11月3日、大僧正。宝永7年11月、退任して香光荘厳院と称す。享保元年7月27日死去。76歳。
• 17円猷（1694-1753）<1710-1753>：伏見宮貞致親王の王子。元禄7年1月22日生。幼名は勝宮。元禄10年10月15日入室。宝永5年10月15日得度。宝永7年11月23日住職就任。享保13年8月一光三尊仏を初めて開扉し、翌年、本山で初めて開帳。宝暦3年1月2日死去。60歳。歓喜心院宮。死去後しばらく内室の紫雲光院が寺務を司った。
• 18円遵（1746-1819）<1758-1811>：有栖川宮家の音仁親王の第一王子。延享3年11月23日生。職仁親王の孫で、同親王の養子となり第五王子とされた。霊元天皇皇曾孫。初名は徳猷円智。宝暦3年9月7日入室。宝暦8年3月20日、得度。同年、住職就任。安永7年後桃園天皇綸旨。勧学堂を興す。文化8年3月、退任。無上上院宮。文政2年10月22日死去。74歳。
• 19円祥（1788-1837）<1811-1837>：有栖川宮織仁親王の第三王子。天明8年7月10日生。天明5年2月23日（ママ）入室。享和3年10月25日得度。文化8年3月10日住職就任。同年10月光格天皇から綸旨。親鸞550年遠忌を勤める。文政5年2月20日、法眼大僧都。翌年1月28日法印。10月4日僧正。文政7年8月16日、大僧正。天保8年11月21日死去。50歳。真無量院宮。漢詩を好んだ。
• 20円禧（1817-1861）<1838-1861>：円祥の子。有栖川宮韶仁親王の猶子。文化14年1月17日生。天保3年6月入室。天保7年10月25日得度。天保9年3月21日、仁孝天皇から住職綸旨。弘化元年5月6日、法眼大僧都。弘化2年2月16日法印。6月12日僧正。文久元年3月、親鸞600年遠忌を勤める。同年5月8日死去。45歳。清浄楽院宮。
• 21常磐井尭熙（1844-1919）<1861-1913>：近衛忠煕の子。有栖川宮幟仁親王の養子となり、第二王子とされる。幼名は規宮。弘化元年12月27日生。嘉永7年2月5日入室。万延元年4月10日得度し円禔と称す。文久元年9月22日、孝明天皇から住職綸旨。惑乱が起こり、決判して鎮める。明治元年6月、法眼大僧都。明治4年7月、寺領を返し、政府から家禄を与えられる。明治5年3月7日、華族となる。明治5年6月、教導職大教正。同年10月、家名を常磐井とし、名を尭熙と改めた。明治6年2月、従五位。明治8年、家禄を返還。明治9年、東西本願寺と錦織寺と連合して一人の管長を置くが、5月22日、四派各派に管長を置くこととなり、真宗専修寺派管長となる。明治14年、高田派と改称。明治18年3月、門跡号復帰。大正8年5月23日死去。76歳。
• 22常磐井尭猷（1872-1951）<1913-1951>：近衛忠房の三男。明治5年3月15日生。幼名は鶴松。明治18年2月25日入室。明治19年11月、英独に留学。シュトラスブルク大学でマックス・ミュラーに師事し、サンスクリット文学を学ぶ。明治32年7月帰国。京都帝国大学教授。同年9月27日、伊勢神宮参拝。10月25日得度。尭猷と改名。大正2年、住職就任。大正8年男爵襲爵。昭和26年1月27日死去。78歳。
• 23常磐井尭祺（1905-1992）<1951-1992>：尭猷の第二子。京都帝国大学文学部卒。専精学舎を創設。
• 24常磐井鸞猷（1932-）<1995-2013>：昭和7年9月25日生。
• 25常磐井慈祥（1959-）<2013->：昭和34年11月18日生。

（専修寺史要、専修寺ウェブサイトなど）

真智に関して『望月仏教大辞典』では歴代に数えているが、現在の専修寺では歴代と認めていないようだ