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御霊信仰
出典:安藤希章著『神殿大観』(2011-)
2017年11月11日 (土) 時点におけるWikiSysopKARASUYAMA (トーク | 投稿記録)による版
御霊信仰 |
目次 |
概要
御霊信仰は、祟りを起こす不慮の死を遂げた人物の神霊に対する信仰。霊神信仰、招魂社も参照。 御霊神社と呼ばれる他、若宮神社、大王神社とも呼ばれる。
祇園御霊会などの疫神信仰(牛頭天王信仰)とは一応、区別しておく。
「祟りを起こしたというが神社はない」、「明確な祟りの記録はないが憤死して神社に祀られている」など、御霊信仰と呼んでいいのかどうか曖昧な事例も多いが、「祟りがあった」と認識されていたこと、神社などに祀られたことの2点を目安として、総合的に判断する。
歴史
系譜
主な神社
- 五条・御霊神社:奈良県五條市。祭神は井上内親王。霊安寺鎮守。
- 火雷神社
- 宮前霹靂神社
- 上御霊神社:京都府京都市上京区。上出雲寺鎮守。
- 下御霊神社:京都府京都市下京区。下出雲寺鎮守。
- 北野天満宮:京都府京都市北区。祭神は菅原道真。
- 上桂御霊神社:京都府京都市西京区。祭神は伊予親王など。
- 下桂御霊神社:京都府京都市西京区。祭神は橘逸勢など。
- 西寺御霊堂:京都府京都市南区。西寺鎮守。
- 八所御霊神社:奈良県奈良市秋篠町。秋篠寺鎮守。
- 元興寺・御霊神社:奈良県奈良市薬師堂町。祭神は井上内親王・他戸親王など。元興寺鎮守。
- 崇道天皇社:奈良県奈良市紀寺町。祭神は崇道天皇。璉珹寺鎮守。
人物と神社
以下のリストは没年順とする。
奈良時代
- 長屋王(684-729):高市皇子王子。天武天皇の皇孫。「長屋王の変」で自害に追い込まれた。事件当時ではなく後世になってから怨霊になったと語られた。そのため目立った祭祀の対象にはなっていない。奈良県奈良市にある長屋王神社は長屋王邸跡に近年建てられたもの。奈良県生駒郡平群町に長屋王墓と妃の吉備内親王墓がある。
- 舎人親王(676-735):天武天皇皇子。藤森神社の祭神で、御霊神にみなされることがあるが理由は不明。墓所は所在不明だが、候補地として黄金塚陵墓参考地がある。
- 藤原広嗣(?-740):藤原宇合の長男。天平10年、大宰府に左遷。「藤原広嗣の乱」を起こして討たれた。玄昉に祟り殺したという。鏡神社、南都・鏡神社
- 吉備真備(695-775):貴族。学者。吉備氏。左遷と出世を繰り返すが、怨霊になる動機がないと昔から指摘されている。
- 井上内親王(717-775):光仁天皇の皇后。聖武天皇の皇女。天皇を呪詛したとして廃后され、幽閉。藤原百川に毒殺されたともいう。百川は祟りを受けて死んだという。顕著な怨霊の初例とされる。五条・御霊神社祭神。
- 他戸親王(761-775):光仁天皇第四皇子。生母の井上内親王の呪詛事件で廃太子となり、幽閉。藤原百川に毒殺されたともいう。
- 崇道天皇(750-785):本名は早良親王。光仁天皇第二皇子。藤原種継射殺事件に関連して謀反を企てたとされ、幽閉。淡路島に配流の途中で死去。桓武天皇に祟ったという。
- 藤原吉子(?-807):桓武天皇妃。伊予親王の生母。「伊予親王の変」で親王と共に自害。「藤原夫人」。
- 伊予親王(?-807):桓武天皇皇子。「伊予親王の変」で謀反の疑いをかけられ、乙訓寺に幽閉。生母藤原吉子と共に服毒して自害。平城天皇に祟ったという。
- 藤原仲成(764-810):藤原種継の長子。薬子の兄。「観察使」。「薬子の変」で討たれた。
- 橘逸勢(?-842):官僚。橘氏。承和の変で配流。遠江で死去。下桂御霊神社
- 文室宮田麻呂(生没年不詳):官僚。謀反を疑われ、承和10年(843)伊豆配流。
平安時代
- 菅原道真(845-903):北野天満宮、太宰府天満宮
- 平将門(?-940):神田神社
- 源義平(1141-1160):御霊神社(埼玉県東松山市)
- 崇徳天皇(1119-1164):白峰神宮、金刀比羅宮
- 今井兼平(1152-1184):木曽義仲に従い挙兵。近江で討死。今井神社
- 弁慶(?-1189):弁慶社(闘鶏神社内)
- 源義経(1159-1189):白旗神社
- 平景清(生没年不詳):生目神社祭神。
- 曽我兄弟:
- 寛算(寛筭・桓算)(生没年不詳):僧侶。藤原師輔に祟ったという。天満宮に祀られることが多い。
鎌倉時代
- 土御門天皇(1195-1231):水無瀬神宮、新宮神社、阿波神社
- 後鳥羽天皇(1180-1239):水無瀬神宮、新宮神社、隠岐神社
- 順徳天皇(1197-1242):水無瀬神宮、新宮神社、真野宮
- 道智(1217-1269):禅林寺15世。園城寺長吏。九条道家の子。南禅寺最勝院に祀られる。
- 矢瀬主馬佑:御津賀社(人吉城、廃絶)
- 平河藤高:山田大王神社
- 平河義高:荒田大王神社
- 平河盛高:横瀬大王神社
- 平河師高:深田大王神社
- 平河重高:平川大王神社
- 緒方惟栄:二宮八幡社
- 大野泰基:二宮八幡社、臼杵御霊神社
南北朝・室町時代
南朝関係は南朝人物旧跡を参照
戦国時代
- 九鬼澄隆:九鬼岩倉神社
- 菊姫:増福院
- 相良治頼:西村大王神社、治頼神社
- 城井鎮房:城井神社
- 城井朝房:祟りが起こったので宇都宮神社(玉東町木葉)に合祀。
- 城井鎮房の家臣:扇城神社
- 上村長種:若宮神社(上村白髪神社内)
- 上村頼孝:正宮八幡(上村白髪神社内)
- 上村頼継:大王神社(上村白髪神社内)
- 大友政親(-1496):戸室御霊社
- 大野泰基:野村御霊神社、二宮八幡社
- 波多親:朝鮮出兵の遅参などで秀吉の怒りを買い滅亡。一族郎党の怨霊は「岸岳末孫」などの名で佐賀県各地に祀られている。
- 小野道好(政次):井伊家の家老。主君を裏切り処刑されたが、祟ったとされ、但馬明神として祀られたという。二宮神社内の天王社に合祀された。
- 吉川興経(1508-1550):戦国武将。毛利元就の策略で家を乗っ取られ殺害された。吉香神社に祀られた。
- 島津忠兼(?-1565):讒言され殺された。若宮大明神。
- 明智光秀(1528-1582):戦国武将。豊臣秀吉に敗れた。福知山・御霊神社
- 築山殿(1542-1579):徳川家康の正室。信康の生母。信康と共に処刑された。岡崎八柱神社。
- 松平信康(1559-1579):徳川家康の長男。武田勝頼と内通を疑われて自害。山形中山神社、岡崎若宮八幡宮。復鎮霊社。
- 吉良親実(1563-1588):戦国武将。長宗我部家の継承争いで自刃。吉良神社(木塚明神)に祀られた。
- 江田隆貫:三次市松原八幡神社に御霊神社がある。
- 大蔵(生没年不詳):飯道寺岩本院の山伏。伊賀で自害。大蔵八幡宮に祀られた(下柘植の日置神社境内に遷座)。
江戸時代
- 清玄坊:清玄坊神社
- 佐倉惣五郎(生没年不詳):怨霊となった義民。東勝寺宗吾霊堂、口ノ宮神社、義雲宮。
- 山家清兵衛(1579-1620):宇和島藩家老。政敵に暗殺された。和霊神社、今治・和霊神社
- 小野尊俊:日御碕神社神職。松江・推恵神社、隠岐・推恵神社
- 薫的(1625-1671):曹洞宗瑞応寺住職。異を唱えて投獄され獄死。薫的神社祭神。
- 村上兄弟:吾清霊社
- 松平永兼:暘谷霊社。松本神社。
- 牧野秀成:弥彦神社五所宮(祭祀は廃され十柱神社となる)
- 多田加助:義民。貞享義民社。
- 高橋安之丞(?-1688):義民。若宮神社。
- 大竹与茂七(1678-1713):義民。五十志霊神社
- お岩:四谷於岩稲荷田宮神社、新川於岩稲荷田宮神社。
- お菊:お菊神社(姫路・十二所神社)
- 柏巌門昌:祟りを起こすが、神社はない。
- お花:林下寺お花大権現。
- お綱:真光院お綱堂。
- お花:お花善神(徳守神社内)
- 井原与右衛門:隠田の罪で一家処刑。六人塚。桜井神社に祀られた。
- 松平頼雄(-1718):西条藩世嗣。廃嫡された。邦安神社(日前神宮内)
- 門馬隆経:中村藩家老。体興霊神(涼ケ岡八幡神社内)。
- 僧侶某:今治の正福寺(現在の高野山今治別院。蔵敷八幡宮別当)住職。政治批判をして捕まり簀巻きにされて海に投じられた。のち藩主に祟る。恕霊神という名で蔵敷八幡(吹揚神社に合祀)の近くに祀られた。
- 恵林:弓立円通寺の僧。桜木明神に祀られた。
- 豊島忠松:神社はない?
- 日忌様:謀殺した代官豊島忠松の亡霊に殺された25人の若者。
- 七人童子(-1750):権兵衛神社(香川県笠岡)
その他
- 鎌倉権五郎信仰
- 那須・御霊神社:那須与一を祀る。
- 小野御霊神社:惟喬親王を祀る。
- 大津御霊神社:弘文天皇を祀る。
- 木津御霊神社
- 満昌寺御霊神社:神奈川県横須賀市。三浦義明を祀る。
- 御霊神社:山城国分寺跡
- 衣笠御霊神社:六請神社
- 正代御霊神社:源義平
- 御霊神社:大友政親
- 恩智御霊神社
- 御霊明神社:金子近範。入間市木蓮寺
- 大国魂神社:主祭神の他に御霊大神を祀る、