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大町・専修寺

出典:安藤希章著『神殿大観』(2011-) 最終更新:2022年9月14日 (水)

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専照寺が大町専修寺跡地に建てた記念碑

専修寺(せんじゅじ)は、越前国足羽郡大町(福井県福井市)にあった浄土真宗本山級寺院大町門徒(三門徒)の発祥地。開山は如導。廃絶。現在の勝授寺が後継寺院とされる。跡地には如導墓がある。大町専修寺大町道場。(参考:同名寺院専修寺_(同名)

目次

歴史

創建

開山は和田門徒円善門下の如導。専照寺の伝承では如導は弘安8年(1285)、越前に来て波多野通貞から帰依。正応3年(1290)8月に専修寺を建てたと伝える。ただ『存覚一期記』などによると、如導は応長元年(1311)5月、存覚と共に大町専修寺に滞在した本願寺3世覚如から『教行信証』の伝授を受けたとされる。高田門徒専修寺4世専空が越前国坂井郡熊坂(福井県あわら市)に建てた熊坂道場を如導が大町に移したともいう(『大谷遺蹟録』)。

分立と中絶

多くの門弟と末寺を擁して発展するが、長男良如は浄土宗に帰参。次男の如浄が2世を継ぐが、浄土宗との間で揺れたため、康安2年(1362)、如導弟子の道性が如浄を批判。3世良全の時代にもこの傾向は続いたため、至徳2年(1385)頃、道性の証誠寺が分立した。「横越大町引分」と呼ばれる事件である。証誠寺からはさらに毫摂寺誠照寺が分立した。 この時期、本願寺教団とは一線を画して活動し、一向一揆と対立する朝倉氏の庇護を受けたため、一向一揆とも交戦する。

ついで永享7年(1435)、教義が浄土宗西山派に近づいたとされ、本願寺から破門されたという。この本願寺の処分を寺内から主導したグループが分裂して創建したのが専照寺と考えられている(小泉義博説)。そして年代は不明だが、4世某が突然還俗。事実上専修寺は中絶した。如導の木像が捨て置かれた有様だったという。『中野物語』は朝倉氏とのトラブルが原因ともいう。

本願寺帰参と加賀移転

法系が近い勝鬘寺高珍が兼務し、入寺。高珍は吉崎御坊にいた蓮如を訪ね帰依。以後は三門徒でなく本願寺教団の一員として行動することとなる。 蓮如の周旋で西光寺永存の三男蓮慶が高珍の娘と結婚して継承した。 蓮慶はまもなく大野郡中野村を経て加賀国石川郡諸江村に移転。 年代ははっきりしないが、文明15年(1483)には諸江にいたという。 天正2年(1574)、越前国から一向一揆持ちの国となると、専修寺は越前に帰還。 天正3年、鉢伏山に籠り織田信長軍と衝突し、住職賢会の討死で滅亡した。

滅亡後

旧末寺の多くは京都・興正寺末となった。 子の唯賢(1562-1621)らは越前を脱出し、諸江坊に避難。天正10年(1582)織田信長が討たれると、活動を再開。天正17年(1589)頃、越前国に帰還し、本願寺顕如に帰依して勝授寺として再興した。 一方、大町の寺跡には了願という僧が庵を建て、慶安5年(1652)興正寺末となる。正徳3年(1713)正覚寺の寺号を得た。 また承応3年(1654)8月、専照寺が専修寺跡地に如導の墓を建立した。

伽藍

塔頭

一老として瑞応寺があった。

歴代

  • 1如導(1253-1340):
  • 2如浄(?-1375):如導の次男。兄の良如は浄土宗に帰して敦賀・西福寺を建てたため、次男が継いだ。
  • 3良金(1341-1404):如浄の子。専照寺の伝承にいう「了泉」のことで「良金」は「良全」の誤りという(小泉論文)。
  • 4某():還俗して大町助四郎を名乗る。
  • 高珍():勝鬘寺9世。了通。兼務。
  • 5蓮慶(-1504):鯖江西光寺永存の三男。母は如祐尼(蓮如の妹)。高珍娘と結婚。本願寺6世巧如の曽孫にあたる。本願寺蓮如に帰参。1504年(永正1年)死去。
  • 6顕誓(1488-1529):蓮慶の次男。1529年(享禄2年)死去。
  • 7興預():勝鬘寺了顕の三男。顕誓の甥。顕誓娘の妙忍尼と結婚。諸江坊賢了の兄。誓玄。
  • 8大弐:諸江坊賢了。
  • 9賢会(?-1575):最後の住職。初名は唯受。興預の甥。賢了の子。鉢伏山に一向一揆の一員として籠城したが、織田信長軍の攻撃で1575年(天正3年)8月17日、討死。

(日本歴史地名大系) (大町専修寺の研究)

資料

大町門徒を参照。

http://shinden.boo.jp/wiki/%E5%A4%A7%E7%94%BA%E3%83%BB%E5%B0%82%E4%BF%AE%E5%AF%BA」より作成

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