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浄土宗の皇室関連寺院
出典:安藤希章著『神殿大観』(2011-)
2017年6月18日 (日) 時点におけるWikiSysopKARASUYAMA (トーク | 投稿記録)による版
目次 |
概要
皇室に関係の深い浄土宗寺院を紹介する。仏教各派はそれぞれに皇室との関係を築いてきたが、浄土宗もまた皇室との関係を独自に築いてきた。一つは禁裏道場という形で、もう一つは祖先祭祀という形で、浄土宗は皇室に接近した。禁裏道場は、内裏の一施設としての仏道修行の道場のことである。同様のものとしては真言宗の真言院が知られている。これは内道場と呼ばれている。皇室の祖先祭祀において、浄土宗は一定の地位を占めていた。泉涌寺(現在は真言宗)や般舟三昧院を始め、皇室の陵墓がある主要寺院が浄土宗には存在している。また浄土宗の四つの寺院が皇室の仏式霊廟(仏壇)である御黒戸の管理を司っていた。死後の冥福を祈る浄土教の信仰が、祖先祭祀に的確だったのだろう。
系譜
禁裏道場
御黒戸寺院
いずれもかつては四宗兼学の寺院であった。
菩提寺
- 泉涌寺(かつては四宗兼学。現在は真言宗。)
- 安徳天皇:阿弥陀寺(廃絶。現・赤間神宮)
- 清和天皇:円覚寺
- 後嵯峨天皇・亀山天皇:浄金剛院(廃絶)(西山派嵯峨流の拠点)
- 後亀山天皇:福田寺
- 後花園天皇ほか:般舟三昧院(現在は天台宗)
- 慶光天皇:廬山寺(現在は天台宗)
門跡寺院
その他
各天皇との関係
- 天智天皇:誓願寺を勅願寺とする
- 清和天皇:清浄華院は清和天皇の勅願。禅林寺に勅額。
- 後白河天皇:法然に帰依。持仏堂が長講堂となる。
- 高倉天皇:法然に帰依
- 安徳天皇:菩提寺として阿弥陀寺が建てられた。
- 後鳥羽天皇:法然に帰依。法然に「慧光菩薩」下賜。
- 四条天皇:粟生光明寺に勅願。法然に「華頂尊者」下賜。
- 後嵯峨天皇:法然に「通明国師」号下賜。勅願寺として証恵?に歓喜心院を創建させる。証空に「弥天国師」号下賜。道観証慧に帰依して、道観証慧を開山として浄金剛院を創建し、陵墓を置いた。
- 後深草天皇:円空立信に帰依。真宗院創建。
- 亀山天皇:嵯峨浄金剛院に陵墓
- 伏見天皇:良忠に「記主禅師」下賜。道光了慧から円頓戒を受ける。孫の敬法が清浄華院に入る。
- 後伏見天皇:法然上人絵伝の制作を命令。皇女の進子内親王が光照院門跡を創建
- 花園天皇:真宗院に「円福寺」号下賜。西山派の本道と頓恵に帰依。
- 後醍醐天皇:百万遍知恩寺で百万遍念仏を執行させる。大利劔名号下賜。善導寺を勅願寺とする
- 後亀山天皇:福田寺
- 後光厳天皇:金戒光明寺に「金戒」の名を授ける。後光厳天皇の皇女見子内親王が三時知恩寺を創建。
- 後円融天皇:敬法から円頓戒を受戒。現在の清浄華院の地を下賜?
- 後小松天皇:金戒光明寺に「浄土真宗最初門」の宸筆下賜。清浄華院等煕に帰依。
- 称光天皇:清浄華院等煕の祈祷で病気が治ったという(等煕の時代に皇室との関係が非常に強くなる)。
- 後花園天皇:清浄華院等煕に「仏立慧照国師」を授ける(浄土宗初の国師号)。法然に「天下上人無極道心者」号下賜。二尊院の臨空中統から受戒。知恩寺の法香が臨終の十念を授ける?知恩寺を勅願寺とする。
- 後土御門天皇:善導寺、鎌倉光明寺を勅願寺とし、光明寺住職を紫衣とした。浄土教に篤かった。(真盛にも帰依)。華開院霊宝が臨終の十念を授ける。清浄華院玄周に「一代和尚号」を授ける
- 後柏原天皇:御忌会と称することを許可
- 後奈良天皇:嵯峨法然寺を勅願寺とする。「光照大士」下賜。
- 後陽成天皇:皇子が知恩院に入り、門跡寺院となる。増上寺存応に「普光観智国師」号下賜。
- 東山天皇:法然に大師号下賜。
- 中御門天皇:法然に大師号下賜。50年ごとの大師号下賜の先例を開く。
- 桃園天皇:法然に大師号下賜。
- 光格天皇:法然に大師号下賜。弁長に「大紹正宗国師」号下賜。証空に「鑑智国師」号下賜。
- 孝明天皇:法然に大師号下賜。
- 明治天皇:法然に大師号下賜。
- 昭和天皇:法然に大師号下賜。
- 今上天皇:法然に大師号下賜。