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吉田神社

出典:安藤希章著『神殿大観』(2011-)

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吉田神社
よしだ じんじゃ
Yosida-jinja (5).jpg
概要 奈良春日大社の分社。
奉斎 健御賀豆智命、伊波比主命、天之子八根命、比売神
(土岐昌訓論文)
所在地 京都府京都市左京区吉田神楽岡町30
所在地(旧国郡) 山城国愛宕郡
所属(現在) 神社本庁
格式など 二十二社朱印地拝領神社官幣中社別表神社
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吉田神社(よしだ・じんじゃ)は、京都府京都市左京区にある春日信仰の神社。吉田神道を唱えた社家の吉田家が神道管領長上を称し、中世から江戸時代末まで全国の神職を支配した。吉田神道の根本道場とされる大元宮がある。二十二社朱印地拝領神社官幣中社別表神社。(参照:同名神社吉田神社_(同名)

目次

祭神

  • 第一殿:祭神は健御賀豆知命。
  • 第二殿:祭神は伊波比主命。
  • 第三殿:祭神は天之子八根命。
  • 第四殿:祭神は比売神。


歴史

  • 859年(貞観1年)4月、藤原山蔭(824-888)が平城京の春日大社を勧請し平安京の守護神として創建。この時、神霊は大和国より神鹿に乗って渡御したという。
  • 987年(永延1年)、一条天皇が行幸。山蔭が天皇の外祖父であったことによるものという。


同年、春日大社大原野神社と同様に官祭に預かるとされ、二十二社となった。祭日は11月25日で吉田祭と呼ばれる。

  • 991年(正暦2年)、大社となる。
  • 1081年(永保1年)、二十二社となる。
  • 1107年(嘉承2年)、四度官幣に預かるようになる。
  • 1206年(建永1年)3月19日、後鳥羽上皇が御幸。
  • 1255年(建長7年)6月5日、後嵯峨上皇が御幸。
  • 代々、卜部氏が神職を務め、室町時代の卜部兼倶(吉田兼倶)が独自の神道説を提唱。文明16年(1484)根本道場として大元宮を創建した。
  • 近世、590石。
  • 1876年(明治9年)12月15日、皇后が行啓。

境内

本社周辺

  • 本社:1468年(応仁2年)兵火で焼失。1534年(天文3年)再建。1648年(慶安1年)改造。1911年(明治44年)、1936年(昭和11年)、1977年(昭和52年)修復。四脚中門、御廊、神供所、舞殿、直会殿、着到殿、行事所、竈神殿がある。
  • 若宮社:摂社。祭神は天忍雲根命。春日大社の若宮に倣ったものだろう。当初は社殿なしで本社第二殿と第三殿の間に祀られていたが、1336年(延元1年/建武3年)社殿造営。1648年(慶安1年)、現在地に遷座。1877年(明治10年)、吉田神社摂社に定められた。
  • 神龍社:末社。祭神は吉田兼倶(1435-1511)。1513年(永正10年)2月に鎮座。1880年(明治13年)末社となる。
  • 山蔭神社:祭神は藤原山蔭。相殿に恵比須神を祀る。藤原山蔭は吉田神社の創設者であると共に、日本料理道の祖ともされる。1957年(昭和32年)、吉田神社鎮座1100年大祭を機に全国料理関係者の協賛を得て1959年(昭和34年)5月に創建された。
  • 菓祖神社:祭神は田道間守命と林浄因命。相殿に菓子関係功労者の霊を祀る。京都菓子業会の総意により菓祖神社創建奉賛会を設立し、1957年(昭和32年)11月11日、中嶋神社、橘本神社、林神社の祭神を鎮祭した。逐次、菓子関係功労者の霊を相殿に合祀している。
  • 今宮社:末社。祭神は大己貴神・大雷神・健速須佐之男命。鎮座年代は不詳。1215年(建保3年)の『吉田小神社註進状』に名前がある。1816年(文化13年)、現在地に造営された。木瓜大明神。吉田町の氏神。
  • 稲荷社:末社。祭神は宇賀御魂神・猿田彦神・天鈿女神。創建不詳。在原業平の屋敷が神楽岡の稲荷神社の近くに建てたと古記にあり、古代からあったとされる。江戸時代末期に京都の子女が群参したといい流行り神として一躍信仰を集めたようだ。その結果、1840年(天保11年)、社殿を造営。1872年(明治5年)末社に定められた。竹中稲荷講社がある。竹中稲荷社。
  • 稲荷小社:末社。祭神は宇賀御魂神・猿田彦神・天鈿女神。吉田山の東麓にあったのを1872年(明治5年)に竹中稲荷神社境内に遷座し、末社とした。
  • 天満宮:末社。祭神は菅原道真。元は地福院にあった。1852年(嘉永5年)に現在地に遷座。1872年(明治5年)に末社に定められた。
  • 神楽岡社:摂社。祭神は大雷神・大山祇神・高〓神。鎮座年代は不詳。『延喜式』に式内社(官社)とは別に「霹靂神、神楽岡坐す」とあるのに該当すると考えられている。神楽岡の地主神とされる。1877年(明治10年)摂社となる。
  • 三社社:末社。祭神は多紀理毘売命・狭依毘売命・多岐津毘売命・金山毘古命・金山毘売命・菅原神。もとは吉田家の邸内にあったのを1844年(弘化1年)現在地に遷座。1872年(明治5年)に末社に定められた。
  • 祖霊社:
  • 竈神殿:

大元宮周辺

  • 大元宮:末社。1484年(文明16年)、吉田家邸から遷座。
  • 東神明社:祭神は天照皇大神。
  • 西神明社:祭神は豊受比売神。
  • 吉田家八神殿代:1590年(天正18年)創建。廃絶。
  • 東西諸神社:式内神3132座。

その他

  • 吉田山神道墓地
  • 宗忠神社
  • 神龍院:吉田兼倶の子の九江妙亀が創建。臨済宗。南禅寺末。廃絶。
  • 神光院:本尊は阿弥陀如来。臨済宗。吉田兼熙(1348-1402)の位牌所。神光寺とも。廃絶。
  • 神光霊社
  • 神恩院:吉田兼好が住んだ旧跡という。吉田兼名の位牌所。吉田兼倶の子の教誉が住した。
  • 敬田寺:臨済宗。兀庵普寧が中興。
  • 吉田・新長谷寺:本尊は千手観音。藤原山蔭が自邸を寄進して創建したと伝える。千手観音は山蔭が大和国長谷寺に参詣した時に出現した童子が彫ったものという。唐より請来の栴檀を用いたもので、同じく山蔭創建の摂津・総持寺の本尊と「同じ霊像」という。近くの真正極楽寺に移転して現存。
  • 智福院:本尊は虚空蔵菩薩。
  • 明星院:大元宮の門前の東方にあったという。明星水または落星水という井戸があったが埋められたという。
  • 浄宝寺
  • 須賀神社:京都府京都市左京区聖護院円頓美町。祭神は須佐之男命・櫛稲田比売命・久那斗神・八衢比古神・八衢比売神。現在の平安神宮内の西天王塚の場所にあったが、1332年(元弘2年/正慶1年)に吉田神楽岡に遷座。近世には今宮社のそばにあった。1924年(大正13年)に御旅所があった現在地に遷座した。西天王社。
  • 吉田家御霊屋:吉田家邸にあった。
  • 吉田寺:本尊は観音。この観音は吉備真備作と伝え、のち金戒光明寺に遷されたという。
  • 南松院
  • 性功徳院
  • 豊国神社:1619年(元和5年)12月11日、梵舜は「豊国鎮守」の「璽」を移し、神龍院の鎮守として豊国大明神を祀ったという。梵舜の死去まで毎月18日に神事があり、高台院から神供があった。[1]

組織

大宮司・宮司

  • 角田信道(1846-1884)<-1878>:角田忠行の弟。:(略歴は広田神社#組織を参照)
  • 吉田良義(1837-1890)<1879-1884>:幕末維新期の吉田家当主。(略歴は、吉田家#組織を参照)
  • 香西大見(1898-1979)<1943-1946>:(略歴は、北野天満宮#組織を参照)
  • 矢田収蔵(1980-1959)<1952-1956>:1952年(昭和27年)吉田神社宮司。1956年(昭和31年)大原野神社宮司。(経歴は照国神社#組織を参照)
  • 阿知和安彦()<>:日光東照宮宮司、朝鮮神宮宮司を歴任。皇典講究所所長。
  • 森口奈良吉(1875-1968)<>:奈良県小川村出身。県尋常師範学校卒。教員を務めた後、大正10年、春日大社禰宜となる。昭和6年6月、吉田神社宮司。昭和9年、宇都宮二荒山神社宮司。昭和11年、建部神社宮司。昭和22年1月、春日大社権宮司。23年12月退職。業績としては丹生川上神社の旧地考証が何よりも知られている。研究成果を受けて小川村の蟻通神社が丹生川上神社に定められた。『春日神社小志』(勝部月子「奈良の近代: 国際遊覧都市奈良を支えた花街・元林院」)
  • 多村知興()<>:
  • 大爺恒夫()<>:北野天満宮権宮司。貴船神社宮司。
  • 沢井隆男(1950-)<>:国学院大学卒。石清水八幡宮に奉職。平成元年に吉田神社権宮司となる。澤井隆男。

画像

参考文献

  • 土岐昌訓 平成7「旧官国幣社と延喜式内社」『神社史の研究』

脚注

http://shinden.boo.jp/wiki/%E5%90%89%E7%94%B0%E7%A5%9E%E7%A4%BE」より作成

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