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行基旧跡

出典:安藤希章著『神殿大観』(2011-)

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行基(ぎょうき)(668-749)は、奈良時代の僧侶聖武天皇良弁菩提僊那と共に東大寺四聖の一人。法相宗僧侶。渡来系の高志氏。和泉国出身。道昭義淵に学んだと言われる。諸国を巡り、寺を建て、架橋や築堤を行い、民衆を教化したという。伝説的な事蹟が多い。東大寺大仏の造立の勧進職を務め、日本初の大僧正となった。後世には文殊菩薩の化身として、また観音菩薩の化身として信仰された。薬師寺5代とされる。通称は行基菩薩

各地の温泉の開基と伝わり、東大寺龍松院を本所とする三昧聖の祖ともされた。

目次

略歴

信仰

  • 文殊菩薩の化身とする説は『日本霊異記』を初出とする。
  • 国分寺の開山とされることも少なくない。
  • 坂東三十三所観音霊場秩父三十四所観音霊場では各寺院を開いた観音菩薩の化身の僧侶の一人として縁起にしばしば登場する。
  • 四国八十八所霊場の寺院でも行基を開山として伝える寺が多い。
  • 関東地方では、社会事業など庶民と交流した伝承は少なく、霊仏の作者とする伝承が多い。
  • 三昧聖の祖とされた。奈良県を中心に、複数の集落による古い共同墓地(総墓)に行基千年忌の記念碑がある。
  • 行基焼:東海地方を中心にみつかる素朴な須恵器
  • 行基葺:元興寺極楽坊にのみ伝わる素朴な瓦の葺き方。ただし行基より古い。
  • 行基図:最古の日本地図を作ったのが行基だとされ、行基図と呼ばれる。
  • 東大寺大仏建立祈願のために伊勢神宮を参拝したとされ、神仏習合の創始者とされることもある。
  • 「いろは歌」を始めたという伝説もある。
  • 時宗寺院も割とあるか?

行基奉斎堂一覧

  • 東大寺行基堂:奈良県奈良市。近世初期の建築と推定され、旧俊乗堂を再利用したと伝える。像は1728年(享保13年)制作の竹林寺像(現唐招提寺蔵)の模刻。
  • 家原寺開山堂:大阪府堺市西区。行基、空海叡尊を祀る。建築年代は不詳。
  • 家原寺御影堂:大阪府堺市西区。行基誕生塚にある。絵像を祀る。
  • 久米田寺開山堂:大阪府岸和田市。1822年(文政5年)の再建と伝える。
  • 喜光寺行基堂:没地。奈良県奈良市。2014年(平成26)6月2日建立。像は1999年(平成11年)制作の旧竹林寺像(現唐招提寺蔵)の複製。
  • 昆陽寺行基堂:兵庫県伊丹市。元禄年間の再建と伝える。阪神淡路大震災で被災し、1998年(平成10年)に修復。像は行基自作と伝える。
  • 水間寺行基堂:大阪府貝塚市。江戸時代(17世紀中期)の建築。天正年間以前の建築を改築した可能性もある。水間寺で最古の建造物。像は江戸時代前期の制作とみられる。市指定文化財。
  • 高倉寺御影堂:大阪府堺市南区。空海、行基を祀る。 堺市指定有形文化財。 1766年(明和3年)再建。


  • 土佐国分寺開山堂:高知県南国市。再建不詳だが1849年(嘉永2年)改築。1923年(大正12年)、現在地に移設。
  • 行基寺行基堂:岐阜県海津市。行基寺は美濃高須藩主松平家の菩提寺。『新撰美濃志』に行基堂の記述がある。
  • 随願寺開山堂:兵庫県姫路市。像は市文化財。
  • 長慶寺開山堂:大阪府泉南市。多宝塔の形式を取る。1918年(大正7年)頃建立。
  • 医王寺大師堂:静岡県磐田市。行基、空海、覚鑁を祀る。
  • 大慈寺開山堂:栃木県下都賀郡岩舟町。小堂。
  • 西芳寺開山堂:京都府京都市西京区。行基、真如法親王夢窓疎石、藤原親秀夫妻を祀る。
  • 久安寺御影堂:大阪府池田市。行基、空海、賢実を祀る。
  • 万勝院開山堂:兵庫県赤穂郡上郡町大冨。行基を祀る。
  • 教安寺行基堂:奈良県磯城郡田原本町。浄土宗。

旧跡一覧

生誕地

  • 行基誕生塚:家原寺にある。
  • 家原寺:行基の生誕地。大阪府堺市西区にある真言宗寺院。行基建立四十九院の一つ。現在は高野山真言宗。
  • 般若院:静岡県浜松市引佐町四方浄。生誕地という。

墓所など


大和

  • 竹林寺行基墓。奈良県生駒市にある南都仏教寺院。生駒山
  • 往生院:行基の火葬塚。奈良県生駒市にある行基ゆかりの南都仏教寺院。
  • 霊山寺:奈良県奈良市。
  • 長岡院:奈良県奈良市。廃絶。
  • 高宮寺:行基が受戒した寺院(行基菩薩伝)。
  • 戒那寺葛城山系の大和葛城山にあった寺院。廃絶。戒那千坊という多数の子院があったという。
  • 高天寺:葛城山系の金剛山東麓にあった寺院。廃絶。

和泉

河内

その他


東大寺建立関連

伊勢神宮参拝伝承

神社関係

社会事業

  • 九布施屋:
    • 大江布施屋:山城国乙訓郡大江里。京都市西京区大枝
    • 泉寺布施屋:
    • 崑陽布施屋:
    • 垂水布施屋:摂津国豊島郡垂水里。大阪府吹田市垂水。
    • 度布施屋:
    • 楠葉布施屋:
    • 石原布施屋:河内国丹比郡石原里。のち八上郡。堺市東区石原町。
    • 大鳥布施屋:
    • 野中布施屋:
  • 五泊:
    • 河尻泊:
    • 大輪田泊:
    • 魚住泊:
    • 韓泊:
    • 室泊:
  • 十五池:久米田池、狭山池、鶴田池、昆陽池
  • 六橋:山崎橋、泉大橋、高瀬大橋、長柄橋、中河橋、堀江橋

文殊信仰

薬師信仰

観音信仰

霊山伝承

温泉開創伝承

三昧聖関連

国分寺

関連人物

親族

  • 高志才知:父
  • 蜂田古爾比売:母

師匠

弟子

  • 志阿弥(生没年不詳):伝説上の弟子。三昧聖の祖とされる。
  • 光信():行基が喜光寺で亡くなる時、後事を託された。
  • 勝虞(732-811):行基の弟子という。勝悟。
  • 信厳():『日本霊異記』。
  • 澄光():『峰相記』。飯出寺の開山。
  • 離念():『峰相記』。性海寺・近江寺の開山。
  • 景静():火葬した遺骨を拾って舎利瓶に収めた。
  • 信阿():
  • 真成():『大僧上舎利瓶記』を記す。

崇敬人物

  • 聖武天皇(701-756)<在位724-749>:
  • 最澄(767-822):最澄は『顕戒論』で大乗仏教に沿った寺として行基の四十九院を挙げる。
  • 道昌(798-875):空海の弟子。堤防を修築して行基の再来と呼ばれた。山城・法輪寺の開山。
  • 仁範():行基の化身と言われた。粉河寺に大卒塔婆を建てた。
  • 重源(1121-1206):
  • 源頼朝(1147-1199):東大寺大仏再建への協力を通じて行基に関心を持ち、関東地方の伝承の成立を促したという見方がある。
  • 叡尊(1201-1290):真言律宗西大寺流の開祖。興正菩薩。
  • 忍性(1217-1303):真言律宗西大寺流の僧侶。叡尊の弟子。東大寺大勧進14代。四天王寺別当65世。忍性菩薩。
  • 慶恩():
  • 寂滅():
  • 円照(1221-1277):
  • 凝然(1240-1321):
  • 円空(1632-1695):
  • 公慶(1648-1705):

資料

古典籍

  • 「大野寺土塔文字瓦」:
  • 『天平十三年辛巳記』:『行基年譜』に引用される史料。741年(天平13年)に喜光寺が朝廷に提出した行基の履歴書。『天平十三年記』。
  • 『行基墓誌』:行基の骨蔵器に記された銘文。749年(天平感宝1年/天平勝宝1年)3月23日成立。真成著。1235年(嘉禎1年)8月25日に行基墓の発掘された時に発見され、書写された。現物は断片のみが奈良国立博物館に現存(国重要美術品)。『大僧正舎利瓶記』『大僧上舎利瓶記』とも。
  • 『大僧正記』:成立不詳。死後間も無くとの見方がある。弟子の名が列記される。
  • 『続日本紀』卒伝:797年(延暦16年)成立。749年(天平感宝1年/天平勝宝1年)2月2日条に死去の記事と共に伝記が掲載されている。80歳とする享年は誤りとされる。
  • 『日本霊異記』:景戒著。787年(延暦6年)に原型ができ、822年(弘仁13年)に現在に伝わる形ができたとみられる。行基に関する伝説的な逸話も少なくない。
  • 『顕戒論』:820年(弘仁11年)成立。最澄作。行基の建てた四十九院を大乗仏教の寺院だと評価。
  • 『三宝絵詞』:源為憲編。984年(永観2年)成立。本来は絵があったが、文章部分のみ伝わる。
  • 『日本往生極楽記』:慶滋保胤著。987年(永延1年)頃成立。
  • 『本朝法華験記』:1043年(長久4年)頃成立。鎮源著。
  • 『扶桑略記』:皇円著。1094年(嘉保1年)以後の成立。仏教関係を中心とした史書で、行基の記述もある。『国史大系』に所収。
  • 『行基菩薩伝』:著者不詳。行基の死後に来日したはずの菩提僊那と会ったとする記述が特徴。同系統の書が『行基年譜』の典拠の一つだと推定されており、そのため1175年(安元1年)以前の成立とみられる。1255年(建長7年)に書写した東寺観智院本が伝わる。『続群書類従』に収録。
  • 『行基年譜』:1175年(安元1年)9月10日成立。泉高父著。1214年(建保2年)に書写された彰考館本が唯一無二の写本だったが、東京大空襲で焼失。それを1885年(明治18年)に東京大学史料編纂所が写したものが現存。『続々群書類従』に収録されるが誤読が多い。偽書とされることもあるが、土塔出土の文字瓦の記述と年代が一致する点などから信頼できるとも言われる。『安元記録』とも。
  • 『重源狭山池改修記念碑』:1202年(建仁2年)成立。1993年(平成5年)に狭山池の工事中に発見。
  • 『生駒山竹林寺縁記』:寂滅著。1235年(嘉禎1年)9月。『生駒山竹林寺縁起』とも。『大日本仏教全書』収録[1]。『行基事典』に読み下し文収録。
  • 『大和国生馬山有里村行基菩薩御遺骨出現事』:『続群書類従』収録。
  • 『新勅撰和歌集』:1235年(嘉禎1年)の成立。藤原定家編。9番目の勅撰和歌集。行基の辞世の歌という「のりの月ひさしくもがなとおもへどもさ夜ふけにけりひかりかくしつ」の歌を収録。
  • 『行基菩薩舎利供養事』:1259年(正元1年)3月16日、東大寺大仏殿で行基の舎利供養を行った時の記録。『大日本仏教全書』収録[2]
  • 『行基菩薩骨舎利供養事』:1261年(弘長1年)4月2日、東大寺大仏殿で行基の舎利供養を行った時の記録。『大日本仏教全書』収録[3]
  • 『阿娑縛三国明匠略記』:1275年(建治1年)成立。良含著。高僧の伝記など。『明匠略記』とも。『続群書類従』収録。
  • 『通海参詣記』:1287年(弘安10年)頃の成立。通海著。行基の伊勢神宮参詣を記す。『大神宮参詣記』とも。
  • 『行基菩薩講式』:作者不明。1235年(嘉禎1年)から1301年(正安3年)の間の成立。行基を顕彰する和歌伽陀
  • 『竹林寺略録』:凝然著。1305年(嘉元3年)閏12月24日。『大日本仏教全書』収録[4]
  • 『清涼山歓喜光律寺略縁記』:『清涼山歓喜光律寺略縁起』とも。『大日本仏教全書』収録[5]
  • 『玉葉和歌集』:1313年(正和2年)成立。京極為兼編。14番目の勅撰和歌集。行基作という「山どりのほろほろとなくこゑきけばちちかとぞおもふ母かとぞおもふ」の歌を収録。
  • 『行基大菩薩行状記』:室町時代の成立。『続群書類従』収録。
  • 『菅原寺本記』:書名のみ伝わる。『行基菩薩縁起図絵詞』の典拠に使われている。
  • 『行基菩薩縁起図絵詞』:1316年(正和5年)成立。家原寺の行覚が作成。原本は失われたが1479年(文明11年)に書写した高野山正智院本が現存。『行基事典』に翻刻解説。
  • 『行基菩薩縁起図』:1316年(正和5年)成立。『絵詞』に基づいて制作した三幅の絵軸。家原寺蔵。国指定重要文化財。『行基菩薩絵伝絵巻』『行基菩薩行状絵伝』『行基絵伝』とも。
  • 『行基菩薩伝絵巻』:高倉寺宝積院蔵。
  • 『狭山池修復記』:1608年(慶長13年)成立。秀雅作。
  • 『行基式目』:江戸時代の書。1622年(元和8年)成立。良定著。
  • 『行基菩薩草創記』:1734年(享保19年)成立。三昧聖が記した。
  • 「行基菩薩和讃」:


  • 『弘法大師遺告』:
  • 『菅原寺起文遺戒状』:行基の著作に擬す。『大日本仏教全書』収録[6]
  • 『隆池院縁起』:行基の著作に擬す。738年(天平10年)成立を主張する。『大日本仏教全書』収録[7]
  • 『国府記』:行基の著作に擬す。書名のみ伝わる。
  • 「昆陽寺鐘銘」:

行基図

日本地図の最初の製作者を行基に仮託する説。行基が諸国を巡行して制作したという。

  • 「輿地図」:805年(延暦24年)作成で、賀茂御祖神社に伝わっていたというが不詳。江戸時代の模本がある。
  • 「日本図」:1305年(嘉元3年)成立。仁和寺蔵。行基作と記されている。
  • 「大日本国図」:『拾芥抄』(14世紀前半成立)所収。
  • 「南瞻部洲大日本国正統図」:16世紀半ば成立。唐招提寺蔵。
http://shinden.boo.jp/wiki/%E8%A1%8C%E5%9F%BA%E6%97%A7%E8%B7%A1」より作成

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